「Radeon」の開発方針は? なぜ「超ハイエンドGPU」で勝負をしない? 「競合」との関係は? AMDのキーマンに聞く(5/5 ページ)

» 2023年03月10日 12時00分 公開
[西川善司,ITmedia]
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まとめ:明らかに異なるAMDとNVIDIAの戦略

 インタビューの内容を簡単にまとめると、AMDはGPUの製品開発においてNVIDIAを競合として認めてはいる一方で、以前のように“頂上決戦”を挑むような開発を行う心づもりはないということだ。幅広いPCゲーミングファンに向けて、特に価格設定に重きを置いて製品開発を進める――そう考えているという手応えを感じた。

 一方のNVIDIAはNVIDIAで、AMDのことは競合として意識することなく最高性能のGPUを、価格レンジ度外視で開発し、コンシューマー向けGPUにおけるイメージリーダーたるGeForceブランドの地位を揺るぎないものにするという考えのようでもある。この方針の結果生まれた“モンスター級GPU”はコンシューマー向けでは大ヒットしなくとも、それをHPC/GPGPU分野では高く買ってもらえるからそれでいい――ある意味での「プランB」を持てることは、同社の強みといえる。

 意図的かどうかは分からないが、CPU製品は競合のIntelがAMDに勝負を挑んできている。そのため、AMDもガチンコ勝負を行っているだけ……ということのようだ。

NVIDIAは他社比較をしない傾向にある ことコンシューマー向けGPUにおいて、NVIDIAは他社(AMDやIntel)との比較はせず、ひたすらに自社内での比較を行う傾向にある。AMDが絶対性能よりも価格に重きを置いたGPU開発を進められるのも、競合の姿勢による面が大きいのかもしれない

 GPUのレイトレーシング技術において、AMDはNVIDIAに数年遅れた。しかし、その性能向上については精力的に続けていく姿勢が見て取れる。「レイトレを進化させる」という点ではNVIDIAも同様の姿勢を見せているのだが、筆者は、両社が考える「進化」の方向性が若干異なるように感じる。今回のインタビューで言及こそなかったが、筆者が「GeForce RTX 40シリーズ」と「Radeon RX 7000シリーズ」のレイトレーシング処理における性能向上ポイントに関して精査してみると、このことが確信に近づいた。

 まずAMD(Radeon RX 7000シリーズ)の方だが、レイトレーシングに対応する既存ゲームを特に改変せずともパフォーマンスの向上を見込めるような改善を行っている。

 対して、NVIDIA(GeForce RTX 40シリーズ)は、レイトレーシングの性能改善のために搭載された新機能を明示的に使わないと(≒ゲーム側の改修を行わないと)、その恩恵にあずかれない

 この違いは、今後の両社GPUに対するユーザーの評価に関して幾らかの“違い”を生んでいくことになるかもしれない。

OME GeForce RTX 40シリーズに新規実装された「Opacity Micromap Engine(OME)」は、レイがぶつかったポリゴンに対するテクスチャ描画を、プログラマブルシェーダー側に外注せず、レイトレーシングユニット側で先取り処理することで処理パフォーマンスを向上する。しかし、OMEを利用するためにはゲーム側でも対応の必要がある
ハードウェア化 一方、Radeon RX 7000シリーズでは、インタビューでも言及があった通り、レイのフラグ処理をハードウェアで行えるようになっている。OMEほど高度な機能ではないものの、既にレイトレーシングに対応しているゲームであれば、プログラムの改修をすることなく効果が得られるという大きなメリットがある
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