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マイクロソフトはAIを全製品に展開 日常とビジネスはどう変わる? AIとの向き合い方は?(1/2 ページ)

» 2023年03月17日 12時30分 公開

 日本マイクロソフトは3月16日、同日開催の「Azure AI Day 2023」に先駆ける形で「Microsoft AI」についての最新事情を紹介する報道関係者向け説明会を開催した。

 折しも開催前日にあたるタイミングで、OpenAIが最新のAI言語学習モデル「GPT-4(Generative Pretrained Transformer-4)」を発表した直後であり、否応なくMicrosoftとAIに関する取り組みに注目が集まる中での開催だ。説明会では、これまでのMicrosoftのAIに関する取り組みについて説明しつつ、あらゆる製品にAIが組み込まれることによる変化について解説された。

製品への統合が着々と進むOpenAIの技術

 既報の通り、MicrosoftとOpenAIの関係は2019年から続いているものだが、両者の取り組みが改めて注目を集めるようになったのは2022年11月に「ChatGPT」が公開されて以降だろう。

 しかし、Microsoftはそれ以前から「GitHub Copilot」や「Azure OpenAI Service」といったOpenAIの技術をベースとする関連サービスを複数発表している。恐らく、より自然言語に近い形でコンピュータが利用者の対話に応じてくるインパクトから、特にChatGPTへの注目が集まったのではないかと考えている。

 また同社はOpenAIとの提携のみならず、Computer Visionを含む複数のAI系サービスを「Azure Cognitive Services」という名称で提供しており、OpenAIとの提携は同社ポートフォリオを拡充する取り組みの一環といえるかもしれない。

MSとOpenAI OpenAIとMicrosoftの提携と取り組みは、2019年から始まっている

日本で注目を集める「新しいBing」 利用者数は世界一

 OpenAIを主な軸としたMicrosoftのAI分野での快進撃は、2023年に入っても続いているが、直近において最も大きなトピックは「新しいBing」だろう。

 古くは「MSN Search」の流れを汲むBingは、2009年に華々しくローンチされたが、ライバルのGoogleとは異なるアプローチで「より目的の情報にたどり着きやすい検索エンジン」を志向して、試みそのものは興味を引くものであった。しかし、実際のユーザーの伸びはそれほどでもなく、期待したほどの評価を得られなかったといっていい。

 新しいBingはOpenAIの力を借りて、従来の検索エンジンの考え方を根本から変えるような特徴を備えつつある。特にWebページを探し出すのではなく「目的とする情報を要約する」「対話型問答で情報を深掘りする」「旅行プラン作成など提案が行える」といった具合に、利用者のアシスタント的に振る舞えることが大きな特色となっている。

新しいBing OpenAIが開発した技術により、新しいBingは今までにない「検索エンジン体験」を得た

 新しいBingでは、ChatGPTのような対話による情報出力が可能なため、「ChatGPTのベースとなっている『GPT-3.5』という学習モデルをそのまま流用している」とよく誤解される。一方で、GPTの学習モデルはトレーニングが行われた時点までの情報までしか集約していないため、検索エンジンで求められる「最新情報へのニーズ」に合致しない(応えられない)という指摘もある。

 実際、新しいBingは内部で「Prometheus(プロメテウス)」というエンジンが動作しており、GPTの学習モデルによる「言語能力」と、Bingで培った「最新情報や精度に関わる処理能力」が互いに協調し合い、検索エンジンとして適切な結果を返せるようなチューニングが行われている。現在では処理の一部に最新のGPT-4が用いられているようだが、最新テクノロジーで常にブラッシュアップが行われていると考えていいだろう。

Prometheus 新しいBingのコアである「Prometheus」はOpenAIのGPTと、MicrosoftがBingで培ってきた最新情報に対する処理能力を協調動作させることが特徴である

 この新しいBingには、サービスを利用するための「窓口」がいくつか用意されている。

 基本的にはWebブラウザ「Microsoft Edge」からのアクセスが必要だが、Windows 11であれば検索ウィンドウから直接アクセスできる他、スマートフォンやタブレット向けの「Bing」「Skype」アプリなどからも利用可能だ。新しいBingの“目玉”であるチャット機能の利用には、「Microsoftアカウント」を用意した上で事前登録して“順番待ち”を通過する必要があるが、非Windowsユーザーであっても、Edgeやモバイルアプリを通して手軽にサービスを試すことはできる。OpenAIで提供される「新しいAI」の世界への入門としては悪くない。

 なお日本マイクロソフトによれば、この新しいBing(プレビュー版)の登録者は全世界で100万人以上いて、そのうち日本からの登録者は10万人以上で全体の1割ほどを占めているという。日本からのチャットでの質問は200万件以上行われており、1人当たりの検索数でも日本がトップに位置しているという。

新しいAI 新しいBingによるチャットや文章生成は、Microsoft Edgeを使えばMac(macOS)からも試せるようになっている。文章生成はぜひとも試してみてほしい機能の1つである

新しいBingによって「Microsoft Rewards」にも注目が集まる?

 さらに興味深いのは、Bingの利用をより促すためのロイヤリティプログラム「Microsoft Rewards」というロイヤルティプログラムを用意している点だ。Microsoft Rewardsは、「Microsoft Store」の利用、Edgeの利用、Xboxでのゲームプレイだけでなく、Bing検索を利用するだけでもポイントが蓄積されていく。たまったポイントは「Amazonギフト券」などと交換可能だ(一部商品はポイントを使った抽選となる)。

 「会話式の検索」という点で話題が沸騰している新しいBingだが、「Bingで検索する」という行動を日常化させ、Google検索などからユーザーをシフトさせていきたいのだろう。話題性と実用性の両方を兼ね備えつつ、どこまでユーザーに行動変容を起こせるか楽しみな動きだ。

Microsoft Rewards Windows 10/11を使っている人は何となく認知していたかもしれない「Microsoft Rewards」だが、実はBingで検索するだけで継続的にゲットすることもできる。日常的にBingを使ってほしいというメッセージなのだろう
Microsoft Rewards Microsoft RewardのWebサイトでは、ポイントをより稼ぐための「アクティビティ」もチェックできる。そのほとんどはBingの利用に関わるもので、アクセスするだけでポイントが付与されるものも少なくない。検索結果がヒントとなる「クイズ」があるのも面白い
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