最後に、グラフィックスカードを増設してゲーミングPCに仕立ててみよう。
前述したように、mouse DT3は標準でCPU内蔵のグラフィックス機能を利用しており、BTOでもグラフィックスカードの追加は行えない。ただ、マザーボードにはPCI Express x16スロットがあるので、動作保証対象外ではあるがグラフィックスカードを任意に追加可能だ。
ここでは、本機が搭載するCPU、価格や性能のバランスを考えて、GeForce RTX 3060搭載カードを選んだ。今回用意したのは、MSIの「GeForce RTX 3060 VENTUS 2X 12G OC」だ。グラフィックスメモリは12GB(GDDR6)、ブースト時のコアクロックは1807MHzで、負荷が低い場合は2基のTORX Fanが停止するなど静音性も高い。
一時は価格が高騰していたグラフィックスカードだが、3060クラスなら5万円以下で入手できるようになり、今回もちょうど5万円で入手できた。
ただし注意したいのは、グラフィックスカードの追加に伴う消費電力の増加だ。GeForce RTX 3060のTDPは170Wで、推奨の電源ユニットは550Wとなる。mouse DT3の標準構成の電源ユニットは350Wで、BTOメニューでは500W/700W(80PLUS BRONZE)か700W(80PLUS GOLD)が用意されている。
将来的にグラフィックスカードを追加する予定があるのなら、あらかじめ700Wを選択しておくと安心だろう。今回は、別途CORSAIRの750W電源「RM750x」(80PLUS GOLD)を用意してユニットを交換した上でテストを行った。費用は1万7000円だった。
メモリを16GB、SSDを1TBに増強した上でグラフィックスカードを加えてベンチマークテストをしたところ、笑ってしまうほどスコアが目に見えて向上した。当然といえば当然だが、やはり外付けグラフィックスカードの追加は効果が絶大だ。
ゲーム用途だけではなく、静止画や動画の編集、配信、さらにはビデオ会議といったさまざまな作業で恩恵を受けることができる。ただし、あまりにハイエンドなグラフィックスカードを追加しても、今度はCPUがボトルネックとなったり、電源が不足したりする場合もあるため、この辺りはバランスが肝要だ。
今回のパワーアップにかかった費用は、総額で8万円(電源ユニットを除けば6万3000円)程度かかった。予算が許せば、最初からゲーミングPCなりハイエンドPCを選んでおけばいいのだが、そうは問屋が卸さないという人も多いはずだ。
ここで検証したのはあくまで一例であり、CPUの換装を含めてバリエーションは豊富にある。繰り返しになるが一連の作業は動作保証対象外であり、故障時のサポートも受けられないが、まずはベースモデルとして手持ちのPCから乗り換えて、お金がたまり次第パーツを順次強化していく醍醐味(だいごみ)を得られるのも、デスクトップPCならではだろう。手持ちのパーツを流用できるなら、それを使うのもアリだ。
このmouse DT3は、ボディーサイズが約170(幅)×419(奥行き)×360(高さ)mmとコンパクトで、重量も約6.1kgと軽い。ドライブベイは5インチオープンベイが2基、3.5インチオープンベイが1基、3.5インチシャドウベイが2基、2.5インチシャドウベイが1基と豊富だ。
ユニークなところでは、BTOオプションで「外付け電源スイッチ」を選ぶことができる。これを使うとPC本体から離れたところから電源のオン/オフができるようになる。ケーブルの長さは約2mあり、付属のキーボードとマウスもワイヤレスのため、本体の設置場所の自由度がグンと上がる。机の下やモニターの奥など手の届きにくい場所に設置した際も便利に使える。
デスクトップPCを設置するスペースがあるのが前提にはなるが、一から自作PCをスタートするのは面倒だったり、手持ちのPCが古すぎたりする場合は、Windows 10からのリプレースを兼ねてmouse DT3のようなモデルを買うのも大いにアリだ。
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