AMDは5月3日(米国太平洋夏時間)、モバイル向けAPU(GPU統合型CPU)「Ryzen 7040シリーズ」の追加ラインアップを発表した。今回発表されたのは薄型ノートPCでの利用を想定した「Uプロセッサ」で、搭載製品はPCメーカーを通して順次発売される予定だ。
Ryzen 7040シリーズのUプロセッサ(Ryzen 7040Uシリーズ)の基本的な仕様は、先行して登場したハイパフォーマンスモデル向けの「H/HSプロセッサ」と共通している。ただし、一部モデル(SKU)でAIプロセッサ「Ryzen AI」を省略するなど、用途に応じた仕様変更も行われている。
CPUコアは4nmプロセス化された「Zen 4アーキテクチャ」で、4コア8スレッド/6コア12スレッド/8コア16スレッドの3構成を用意している。最大クロックはモデルによって4.7GHz〜5.1GHzとなる。
GPUコアはRadeon RX 7000シリーズと同じく「RDNA 3アーキテクチャ」で、モデルによって「Radeon 740M(4コア)」「Radeon 760M(8コア)」「Radeon 780M(12コア)」のいずれかを搭載している。AV1形式のエンコードに対応するメディアエンジンを2基搭載しているので、特に動画編集時のパフォーマンスは良好だ。
メモリはDDR5-5600規格またはLPDDR5(X)-7500規格に対応している。
AMDによると、最上位モデルである「Ryzen 7 7840U」(8コア16スレッド/Ryzen AI搭載)の絶対パフォーマンスは、競合CPUの「Core i7-1360P」(Pコア4基8スレッド+Eコア8基8スレッド)はもちろん、省電力性に定評のある「Apple M2チップ」(Pコア4基+Eコア4基)よりも上だという。
Intelの「Core i7-1360P」とパフォーマンスを比較した図。GPUコアに2基のメディアエンジンを搭載していることもあり、メディアエンコードのテストでは2倍を超えるパフォーマンスを発揮できるという
「Apple M2チップ」との比較。単純比較が難しいからか、メディアエンコードのテスト結果が掲載されていないことは気になるものの、特にCPUコアの“絶対的性能”が必要なテストでのスコアは大きく勝っている
主要なPCゲームの「フルHD(1920×1080ピクセル)/低画質設定」における最大フレームレートをCore i7-1360Pを比べたグラフ。フレームレートの絶対値は分からないものの、約1.3〜2.4倍に向上するようである。Ryzen 7040Uシリーズのラインアップは以下の通りとなる。TDP(熱設計電力)は15〜30Wの範囲内でメーカーが設定する(定格は28W)。
Ryzen AIは、Windows 11の「Windows Studio Effects」でも活用できる。ただし、「Ryzen AI対応=Windows Studio Effects対応」とは限らないので注意が必要だ
「AMDのAPUはバッテリーを外すとパフォーマンスが低下しやすい」という競合からの指摘を意識してか、Ryzen 7040Uシリーズはバッテリー駆動時でも優れたパフォーマンスを発揮するとしている。ただし、この点に関する具体的なベンチマークテストは行っていないようだ
AI処理パフォーマンスを大きく改善 4nmプロセスのモバイルAPU「Ryzen 7040シリーズ」登場 搭載製品は3月以降に登場
AMDがモバイル向けプロセッサの「モデル名」のルールを改定 2023年以降の新製品から適用
Zen 4は「AVX-512」対応 Zen 5は2024年にも登場へ――AMDがCPU/GPUの最新ロードマップを披露
AMDが新GPU「Radeon RX 7000シリーズ」を正式発表 米国では12月13日発売(899ドルから)
AMDの新CPUアーキテクチャ「Zen 4」は5nmプロセスに 「第4世代Ryzen」発表会で改めて言及Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.