生産性 vs エンゲージメント? 企業向けSNS「Viva Engage」を日本マイクロソフトが社内実践して分かったこと

» 2023年05月19日 11時00分 公開
[石井徹,ITmedia]

 日本マイクロソフトは5月18日、同社が提供するビジネスコミュニケーションプラットフォーム「Microsoft Viva」に関するオンラインイベントを開催した。4月20日にグローバル発表された言語モデルベースのAI「GPT(Generative Pre-trained Transformer)」を活用した新機能や、日本マイクロソフト社内でのVivaの活用状況を紹介した。

Microsoft Viva Microsoft Vivaの概要。一言で「Viva」といっても、複数のツール(サービス)が用意されており、結構奥が深い

 Microsoft Vivaは、従業員体験(Employee Experience:EX)を向上するためのビジネス支援ツールという位置付けだ。

 リモートワークを取り入れた新しい働き方「ハイブリッドワーク」の浸透が進む中で、企業の社内コミュニケーションには、新たな課題も生じている。リモートワークが浸透すると、社内での従業員同士の“つながり”が薄くなる。このつながりを保ち、一層深めるためにデジタルツールを活用した交流はますます重要になっている。

 従業員が仕事に前向きに取り組む姿勢(ワーク・エンゲージメント)を高い状態で維持すれば、企業としての生産性が高まる――これが日本マイクロソフトの基本的な考え方である。

Microsoft Viva Microsoft Vivaはワーク・エンゲージメントの維持と生産性向上の両方を目的としている

 ただし、社内コミュニケーションの活発化は、目の前の作業から注意をそらし、生産性を落とす要因ともなりうる。Microsoftの調査によると、Microsoft 365製品の利用時間のうち57%はメールやTeams会議、Teamsチャットなどに費やされているという。

Microsoft Viva コミュニケーションの活性化は、仕事の生産性を高める上での阻害要因ともなりうる

 Microsoft Vivaは、ワーク・エンゲージメントと生産性の両方を高めることを目的に開発されたツールだ。Teamsなどに機能を追加する「モジュール」として提供されている。

 Vivaブランドでは10個のツールがあり、WindowsやMicrosoft 365の利用履歴からより良い時間の使い方をアドバイスする「Viva Insights」や、企業が提供するオンライン学習コンテンツを集約する「Viva Learning」などが提供されている。

日本マイクロソフトが「Viva Engage」で社内SNS導入を実践

 イベントでは、日本マイクロソフトの嶋内愛氏が企業向けSNS「Viva Engage」の日本マイクロソフト社内での活用事例を紹介した。Viva Engageは業務フローに“自然に溶け込むように”設計された企業向けSNSだ。投稿画面やコメント機能などは、まるでFacebookのような見た目を備えている。

Microsoft Viva 企業向けSNS「Microsoft Viva Engage」

 社内コミュニケーションには、従業員に組織の文化・理念を伝え、ビジネス戦略を共有する役割がある。また、従業員の自社への愛着を育み、発信を通して企業ブランド価値を向上させる効果も期待できる。

Microsoft Viva 社内コミュニケーションの目的

 Vivaシリーズを提供するマイクロソフトでも、Viva Engageのような社内SNSを新規に導入して、従業員に利用してもらうには、それなりの工夫が必要となる。

 嶋内氏は社内コミュニケーション担当者として、まず役員へツールの活用を相談して、Engageで全社員を意識した発信を積極的に行ってもらうことを試みた。

 3カ月ほど利用促進策を続けた結果、従業員の利用率は9割に上った。従業員に実施したアンケートからは、気軽に使えて仕事のモチベーションを高まったとか、同僚の人となりを知れたというコメントが多く、社内の人のつながりを活性化する効果がみられた。今後は従業員が自発的にコミュニティーを運営するような、自走できる状態を目指すという。

Microsoft Viva 日本マイクロソフトでリーダー層に積極的に発信してもらうキャンペーンを実施したところ、Viva Engageの利用率は従業員の90%まで高まった
Microsoft Viva Viva Engageを利用した日本マイクロソフト従業員の声

 課題としては、役員に積極的に情報発信を行ってもらうことで発生した業務負荷の軽減や、Engageや実際の業績へどのような効果をもたらしているのかの把握が難しいことを挙げた。

Microsoft Viva 社内コミュニケーションの活性化が、実際の業績へどのような影響を与えているのかを定量的に評価するのは難しい(嶋内氏)

AIが投稿を下書きするVivaシリーズのCopilot

 Microsoftは3月に、あらゆる製品で生成AIを活用する方針を発表しており、VivaシリーズでもAI支援機能「Copilot」を2023年度中に導入する方針を発表している。

Microsoft Viva Microsoft VivaにもチャットAI機能Copilotが実装される

 Viva EngageのCopilotでは、社内SNSの投稿のハードルを下げるような機能が実装される。営業資料などを読み込ませると、AIが投稿文を下書きして提示する。チャット形式で指示して文体を柔らかくしたり、目にとまりやすくするためのイメージ画像を添付したりといった操作も行える他、投稿文面から想定される質問を表示することもできる。

Microsoft Viva Viva EngageのCopilotは、資料ファイルから投稿の下書きを自動生成する機能を備える

 企業戦略を従業員に共有するOKRツール「Viva Goals」では、営業目標を記録したExcelファイルを読み込ませて、目標を自動で提案する機能が追加される。

 7月から新たにVivaシリーズに加わる従業員満足度の調査ツール「Viva Glint」では、Copilot機能を通じて多角的な分析をサポートする。チャットAIとの問答で、アンケート結果を文章で要約したり、地域毎の傾向や拠点毎の結果を比較したりといったことが可能になる。

Microsoft Viva Microsoft VivaにおけるCopilot機能の概要

 なお、マイクロソフトは、CopilotにOpenAI社が開発したGPT4などのAIエンジンを使用している。法人向けのMicrosoft 365 CopilotやVivaのCopilot機能でデータの秘匿性を維持し、機械学習には利用しないことを保証している。

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