日本マイクロソフトは3月14日、「Microsoft 365 & Teams Day 2023 〜ハイブリッドワークの進化と “Do More with Less” とは〜」をテーマにイベントを、オフラインでは同社の品川本社で、オンラインではMicrosoft Teamsでのライブ配信で開催した。
本イベントは、企業の経営層や情シス部門など企業向けのもので、Microsoft 365とTeamsの最新情報を交えつつ日本マイクロソフト品川本社での活用事例、また、これまで“ライバル”として語られることもあったシスコシステムズとのコラボというトピックも紹介された。
「日本マイクロソフトが実践するハイブリッドワーク」というセッションで最初に登壇したのは、同社 クラウド&ソリューション事業戦略統括本部 ビジネスマネージャー 兼 ワークスタイル変革推進リード 織田開智(おだ かいち)氏だ。
日本マイクロソフトでは、ハイブリッドワークを「社員の多様性と主体性をベースにチーム力を上げていく働き方」と定義している。その背景として、全社横断のワークスタイル変革チームがあり、「ワークスタイル変革NEXT」を宣言したというものがある。
従来、ワークスタイル変革といえば“従業員の”働き方を変えていくという側面が強かったが、働き方を通して、企業の生産性や組織力、チーム力を上げていくこと、求められているものを提供して社会に貢献することをビジョンとして掲げたという。
また、社員がワークとライフを自由に選べる働き方「ワークライフチョイス」を2019年から同社では実践している。自分で選ぶことにより、従業員の主体性と多様性が引き出され、より創造性の高い仕事を行えるようになったという。
とはいえ、ハイブリッドワークを行うようになって、従業員の意識に変化が見られるようになった。
「ハイブリッドワークによって、チーム以外の同僚との人間関係が希薄になったと考える人が51%に上り、出社の目的が仕事ではなく同僚との交流になった人が84%に増えた。スキルを身につけるための支援をしてくれるのであれば、会社に長くとどまりたいと、自主性が強くなった従業員は76%にも上るようになった」(織田氏)
そこで、「社員コラボレーションの活性化、多様性のある共創の場作り、社員の主体性向上に取り組むことにした」と織田氏は説明する。
「社員コラボレーションの活性化」では、社内で作ったWebアプリ「Buddy Hub」を使い、チーム以外のメンターや社員などとつながれるようにした。通常、出社していれば目につく人に話しかけることでつながりを持てるが、働く場所が多様なハイブリッドワークではそうはいかない。それで、社歴/経歴/趣味で検索して、気が合いそうな同僚を見つけられるようにした。
また、バーチャルと物理でのコミュニティー作りにも取り組んだ。バーチャルではMicrosoft TeamsのViva Enageを活用し、物理ではオフィスを会場としたイベントを行ったという。
「多様性のある共創の場作り」の取り組みも見てみよう。働く場が多様であったとしても、情報のギャップが生まれないよう、品川本社にある全会議室で、Teams Roomsを導入。これにより、リモートで参加している人でも、会議室で生じている全ての事象を把握できるようになり、疎外感を覚えにくくなったという。
さらに、すぐに出社可能な都市近郊の自宅だけではなく、実家のある地方に移住した人が、そこから会議に参加する、そこで仕事をするといったことも当たり前の働き方だと従業員同士がみなす文化を醸成できるよう、社内に向けて多様性のあるワークスタイル実践について発信している。
一方の「社員の主体性向上」についてはどうだろうか。織田氏はこれには「学習と社内業務の効率化という2つの柱がある」と説明する。
そして、学習については、ここでもVivaを活用していると解説された。お互いに使用教材をシェアできるよう「Viva!学習ひろば」を社内コミュニティーとして作ったのだ。これにより学び合いの文化が作り出されている。学びの時間を確保したいのであれば「Vivaインサイト」が役立つ。
社内業務の効率化については、マーケティング部門が得た知見や顧客とのリレーションを、セールスにヌケ/モレなくフィードバックできる仕組みを、AzureやDynamics、Teamsを使って構築した。これにより、マーケットについての調査のために、セールスが多大な時間を使わずに済むようになり、効率化が図れるようになった。
このように、同社ではTeamsの機能を最大限に活用して、従業員だけではなく企業や社会にインパクトを与えるワークスタイル変革を行ってきた。これからも改善していきたいと語り、最初のセッションを終了した。
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