「マイクロソフトが見据える『働き方の進化』〜Do More with Less with Microsoft 365 〜」と第するセッションでは、日本マイクロソフト モダンワークビジネス本部 本部長 山崎善寛氏が登壇した。
2011年に誕生したOffice 365(現Microsoft 365)は、コラボレーションワークを離れた場所でも行えるよう、働き方の改革をもたらした。
2017年にはTeamsが投入され、離れた場所でもスムーズにコミュニケーションが行えるようになった。そして、コミュニケーションをさらに円滑にすべく、2021年にはVivaをTeamsに導入。「新しい働き方の価値を届け続けている」と山崎氏は語った。
そんな山崎氏が「これから数年で起こる」と考えているパラダイムシフトが、「柔軟な働き方とAIテクノロジーによる業務サポート」だという。
「グローバルでは、出社不要の働き方ができる求人が14%であるのに対し、求職者の52%は出社不要の職場で働きたいと考えている。優秀な人材を獲得したくても、求職者とのギャップが今後生まれてくるだろう」(山崎氏)
出社する人のオフィスに求める役割への認識が変化しているのは同社内だけではなく、グローバルでも見られるという。
「従業員の独創性や高いモチベーションを支えるために、オフィスに設置する機材が、今後変わってくるのではないか」と山崎氏は述べる。
AIテクノロジーによる業務サポートについては、Bingの例を引き合いに出した。「検索したい場合、いくつものキーワードを入力し、複数のタブを開き、その間を往復しながらまとめを作るというのがこれまでの流れだった」と山崎氏。「しかし、Bing AIチャットは自然な質問文を投げかけることで、まとめを作ってくれる。Webを一緒に歩くためのCopilot(副操縦士)の役割を担ってくれる」と説明した。
会場では実際に「本イベントの案内メールを作成する」というデモを行った。日本マイクロソフト モダンワークビジネス本部 GMTマネージャー 上本詩織氏が「Microsoft 365 & Teams Day 2023について、顧客に案内するメールを作成して」とWindows PCのタスクバーにある検索窓に入力すると、コマンドについての確認文が表示された後、メール文をAIが作成した。
「独創性」「バランス」「厳密」という3つのスタイルから、カジュアル寄りにするのか、ていねい寄りにするのかなどを選べば、少しの修正で顧客にそのまま出せるような案内文ができあがった。
16日(現地時間)に発表された「Microsoft 365 Copilot」はMicrosoft 365の新機能で、チャットの指示でビジネス業務をサポートする。大規模自然言語モデル「GPT-4」と、各アプリを仲介する「Microsoft Graph」で構成され、Teams/Excel/Word/PowerPoint/Outlook/といった同社の主要オフィスアプリで作業の指示を出せるようになる。
また、2月に提供が始まったばかりのMicrosoft Teams Premiumに採用されたOpenAIのGPT-3.5活用についても紹介した。今後搭載される機能の1つに「インテリジェント リキャップ」がある。これは、Teamsを利用して会議を行えば、話された内容をAIが認識し、自動的にサマリーを作ってくれるというものだ。
Microsoft Teams Premium契約者が現在でも使えるAI活用の機能には、字幕による同時通訳がある。ライブキャプションをオンにし、相手の話す言語と、自分が理解できる言語を設定すれば、相手の言語を習得していなくても、母語/母国語で内容をリアルタイムに読むことができる。これにより、言語の壁を超えたコミュニケーション、コラボレーションが容易になる。
このように、同社ではオンラインツールにさまざまな改良を重ねたり、新機能を追加したりしているが、織田氏は「日本マイクロソフトではハイブリッドワークにオンラインと物理、両面の高度化が求められると考えている」と語っていた。
品川本社の会議室で導入しているTeams Roomsのデバイスが一体何なのかということが気にかかる。
そこで登場したのがシスコシステムズ 執行役員 コラボレーション アーキテクチャ事業担当 菊池政宏氏だ。
シスコシステムズもWeb会議システムを提供しているため、Teamsのベンダーであるマイクロソフトはいってみればライバルのような存在だった。それが、シスコシステムズのデバイスの上でネイティブにTeamsが動くというのだ。
「シスコは20年以上にわたってハードウェアにこだわって開発してきた。北欧をイメージしたおしゃれなデザイン、クオリティーの高い映像など機能面でも負けることがなく、グローバルで約60%のシェアがある。クラフトマンシップをもって開発してきたDNAをTeams Roomsに注ぎ込んでいるので、Teams導入の際には、シスコのデバイスも検討してもらえればうれしい」(菊池氏)
続いて山崎氏が、Microsoft 365は、生産性とコラボレーションを提供するSaaSとOffice 365アプリ、最適なエクスペリエンスを提供するWindows 11 Enterprise、ゼロトラストセキュリティを提供するEnterprise MobilityとSecurityという3つのコンポーネントから成っていると解説。事例紹介を行って2つ目のセッションを終了した。
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