日本マイクロソフトは11月16日、法人ユーザー向けの講演会「Empowering Japan's Future」 (日本の将来に力を与える)を開催した。この会において、Microsoft(日本マイクロソフトの親会社)のサティア・ナデラCEOが基調講演を行った。この記事では、講演の主な内容をお伝えする。
2019年末から猛威を振るってきた新型コロナウイルス感染症は、日本だけでなく世界の社会の様子を大きく変えた。この数年の世界情勢を振り返って、ナデラCEOは「2つの雑誌の1975年1月号を思い出した」という。1冊は電化製品全般を取り扱う「Popular Electronics」という雑誌で、もう1冊は時事的話題を取り扱う「Newsweek」という雑誌である。
Popular Electronicsの1975年1月号では、個人向けコンピュータの礎とされる「Altair 8800(アルテア8800)」が表紙を飾っていた。これから個人でもコンピュータが使えるようになるかもしれない――ある意味で未来への“期待”を象徴する表紙ともいえる。
一方で、Newsweekの1975年1月号では、当時の米国で社会問題となっていた「インフレ」「不況」「エネルギー不足」の“三頭竜”にフォード米大統領(当時)が戦いを挑む風刺画が表紙となっていた。これから社会はどうなっていくのだろうか――ある意味で未来への“不安”を示唆する表紙でもある。
Microsoftの創業者であるビル・ゲイツ氏は、知人のPopular Electronicsの1975年1月号にAltair 8800が掲載されていることを教えてもらった。一部では有名だが、このことは同社の創業につながった。
期待と不安の両方がある中での船出――これが、ある意味で現代社会、そして法人におけるDX化にも当てはまるとナデラCEOは考えているようだ。
ナデラCEOは、こんな社会情勢だからこそ、Microsoftの取り組みが明確になったと語る。
同社は、企業ミッションを「Empower every person and every organization on the planet to achieve more(地球上のすべての個人とすべての組織が、より多くのことを達成できるようにする)」と定めている。このミッションを実現するためのキーワードが「Do more with less」である。
Do more with lessは、日本語に直訳すると「より少ない手数で、もっとたくさんのことをしよう」ということである。少し古くからPCを使っている人なら知っているかもしれないが、Microsoftは2003年に初めてこのフレーズを初めて使った。それ以来、同社は時折Do more with lessを“復活”させている。
今回の講演内容に当てはめると、Microsoftが提供するクラウドサービス(Azureシリーズ、Github、Microsoft 365、Microsoft Teams、Microsoft Vivaなど)を活用することで、企業や団体における業務の効率化を進めることができ、文字通りの「Do more with less」が実現する――というわけである。
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