アマゾンジャパンは7月4日、同社のAIエージェントサービス「Amazon Alexa」スマートホーム市場の概況と、スマートホームデバイスの共通規格「Matter(マター)」への取り組みに関する記者説明会を開催した。
スマートホームデバイスは無線通信でつながり合い、AIエージェントサービスと連携することでより便利に使える。しかし、その通信規格は乱立傾向にあり、対応規格を“そろえないと”利便性が低下してしまうという問題を抱えている。しかし、規格に縛られてしまうということは、見方を変えるとデバイスの選択肢を狭めることにもなってしまう。
そんな状況を打開すべく登場した共通規格がMatter……なのだが、正式規格化が2022年10月と日が浅いこともあって、対応デバイスはまだそれほど多くないことも事実である。Matterに対して、Amazonはどのように取り組んでいくのだろうか。
Alexaに対応した初めてのデバイスは、2014年11月に米国で発売された初代「Amazon Echo」である。当時、Alexaの対応言語は英語のみで、「スキル」(プログラム)は米Amazonが自社開発した13種類のみと、現在からは考えられないほどに“小機能”だった。
その後、2017年10月に登場した2代目Echoは日本でも発売され、上位モデル「Echo Plus」や小型モデル「Echo Dot」といったバリエーションモデルも加わった。
現在、Echoを含めたAlexa対応スマートデバイスは14万種類を超え、スキルも10万を超える開発者から13万種類以上がリリースされている。対応言語も日本語を含む17言語に対応するようになった。現在も、Alexaは進化を続けているという。
Alexaは“声がけ”をすることで機能するものだが、日本では「おはよう」「ただいま」「大好き」という声がけが多いそうだ。
先述の通り、Matterはスマートホームデバイスの通信面における共通規格である。この規格はAmazon、AppleやGoogleなどが参加する「Connectivity Standards Alliance(CSA:旧Zigbee Alliance)」が策定しており、2022年10月に初版である「Matter 1.0」がリリースされた。
Matter 1.0では、機器の無線通信にWi-Fi(IEEE 802.11シリーズの無線LAN)またはThreadを用い(※1)、コミッショニング(ホームネットワークへの登録)にBluetooth Low Energyを利用する。従来のスマートデバイスは“同一規格”の機器同士でないと連携できず、特にAI音声エージェントとの連携において足かせが多かった。
しかし、Matterに対応している機器はAlexaだろうと、GoogleアシスタントだろうとSiriだろうと、好きなエージェントと連携させられるようになるため、利便性が大きく向上する。
(※1)有線接続ではイーサネットを利用する
AmazonはCSAの中核メンバーの1社である。そのこともあって、規格が発効した2022年10月から順次、同社は自社のスマートデバイスやAlexaをMatterに対応させる作業を進めている。時系列で対応状況を並べると以下の通りとなっている。
現行のEchoシリーズも、Matterデバイスに対するコントローラーとして利用できる。そのうち第4世代Echoなど、一部モデルはThread規格で通信するデバイスを統括する「ボーダールーター」としても利用可能だ。
Amazonでは、Matterをより広く普及するための取り組みも進めている。
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