Matterの普及を図るべく、Amazonでは「利用者」「(デバイスやサービスの)開発者」の双方に対する利便性向上策に取り組んでいるという。
Amazonでは、通販サイト(Amazon.co.jpなど)で販売されている自社デバイスについて、購入時点でAmazonアカウントとひも付けることでセットアップ工程の一部を簡略化する「フラストレーションフリーセットアップ(FFS)」という仕組みを用意している。これをMatterデバイスに拡張すべく、同社は「Matter Simple Setup(MSS)」という仕組みを導入した。
Wi-Fi通信機能が付いているMatterデバイスの場合、通常は以下の手順でセットアップが行われる。
上記のうち、コミッショニングに関わる2〜4番の手順は特に“面倒臭さ”を感じる部分といえる。
そこでMSSでは、デバイスの出荷段階でAmazonアカウントとMatterデバイスのIDをひも付け、Echoシリーズ(またはAlexaアプリを導入したスマホ/タブレット)が当該デバイスを検出すると2〜4の手順を省けるようにしている。この仕組みは、Amazonで販売されるThread通信を行うMatterデバイスでも活用できる。
従来のFSSは「オプトアウト方式(利用を希望しない場合はチェックを外す)」だったが、MSSについては「オプトイン方式(利用を希望する場合のみチェックを入れる)」で提供される。7月4日にNatureが発売した「Nature Remo nano」が、日本におけるMSS対応デバイスの第1弾となる予定だ(記事掲載時点では非対応)。
スマートデバイスをAlexaのスキルを介して制御する場合、仕組み上、どうしてもインターネット通信が必須となる。インターネット回線が何らかの理由で不通になると、“自宅内”でつながっているはずのデバイスを制御できないという事態も考えられる。
この問題を解決すべく、AmazonではEchoデバイスをMatterデバイスの「プロビジョナー(指示配信者)」とすることで、デバイスに“直接”指示を行えるようにする「コミッショナブルエンドポイント(CEP)」を開発した。
CEPを使ってローカルモードで制御すれば、インターネット回線の状況を問わずデバイスを迅速かつ安定してコントロールできるようになる。なお、CEP対応デバイスはAlexaスキルを介して制御することも可能なので、外出先からのコントロールも引き続き行える。
開発者向けの取り組みとして、AmazonはAlexaをより活用してもらうための開発キット「Ambient Home Dev Kit」を2023年内をめどに提供する。実装を予定している主な機能は以下の通りだ。
これらを利用することにより、特にAlexaとサードパーティー製アプリとの間で“重複して”行う設定を減らせるようになるため、エンドユーザーの利便性が向上する。
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