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AIで余白を“塗りつぶし” Adobe Photoshop(β版)に新機能 日本語での生成指示も可能に

» 2023年07月27日 22時00分 公開
[井上翔ITmedia]

 アドビは7月27日、画像編集アプリ「Adobe Photoshop」のデスクトップ向けβ版において、生成AI機能に関する新機能を実装した。β版アプリを利用しているユーザーは、β版アプリをアップデートすることで新機能を利用できる。

 なお、製品版アプリとβ版アプリは併存できる。Photoshopを利用できる「Adobe Creative Cloud」の契約(無料試用を含む)を持っているユーザーは、β版アプリをインストールすることで新機能を試用可能だ。ただし、β版では生成機能を使ったコンテンツの商用利用は認められていないので注意したい。

新機能の概要

 Photoshopのβ版アプリでは現在、コンテンツ生成AI「Adobe Firefly」を活用した「生成塗りつぶし(ジェネレーティブ塗りつぶし)」を利用できる。

 今回のアップデートでは、以下の2つの機能を利用できるようになる。

プロンプトの対応言語追加

 プロンプト(文字列)を使った生成指示は従来、英語のみ対応していた。今回のアップデートによって、日本語を含む100超の言語のプロンプトを受け付けるようになった

 なお、Mac(macOS)向けのβ版アプリでは、日本語プロンプトの入力途中でコンテンツの生成が始まってしまうことがある不具合が確認されているが、近日中に解消するためのアップデートが行われる予定だ。

「生成拡張」の実装

 生成AIを利用した新機能として、新たに「生成拡張(Generative Expand)」が実装される。

 この機能は、画像のアスペクト比を変更する際にありがちな「画像の余白を埋めたい」というニーズに応えるべく搭載されたという。切り抜きツールでアートボード(キャンパス)を拡大した後に「生成(Generate)」をクリックすると、生成AIが拡張(余白)部分を自動的に埋めてくれる。ツールで一度切り抜いた画像のアートボードを再度拡大して、その余白を補完することも可能だ。

余白埋め 山岳を写した映像を下方に拡張してアスペクト比を変更した後、Generative Expandをクリックすると……
余白埋め 生成AIが余白を補完してくれた。見る限り、画質面での破綻や映像面での矛盾は見られない
ポートレート 縦長で撮ったポートレート。左右が切れているので生成拡張に補完をお願いすると……
ポートレート 写っていない髪の毛や服なども補完され、バッチリとした「胸像」となった。補完部をよく見ると若干の違和感を覚えるかもしれないが、パッと見では「少しピントが合ってないかな?」程度でよく補完できている

 使われる技術は先行実装された生成塗りつぶしと基本的には同様である。「生成」をクリックする前にプロンプトで指示を行うと、その指示に沿って余白を補完してくれる。補完時に使われる素材は、「Adobe Stock」に所蔵されているものをベースとしているという。

プロンプト埋め 生成塗りつぶしと同様に、生成拡張ではプロンプトによるコンテンツ補完も行える。少し小さめのビーチの画像に対して「Beautiful beach(美しい海辺)」というプロンプトで指示を与えると……
プロンプト埋め 余白に指示に見合ったコンテンツを補完してくれる。よく見ると、違和感を覚える箇所も所々にあるが、パッと見では気にならない

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