東京から車で3時間半、新幹線なら2時間弱の地にある長野県飯山市。ここにはBTO(Build To Order)パソコンを中心に展開するマウスコンピューターの飯山事業所がある。同社の「mouse」「G-Tune」「NEXTGEAR」「DAIV」「MousePro」といったパソコンブランドの製品は、全てここで組み立てられ、日本全国に出荷されている。
BTOパソコンを検討するなら、必ず候補に挙がるといっても過言ではない“マウス"だが、なぜ飯山の地に拠点を構えているのか。7年ぶりにPC USERへ復帰した記者が、マウスコンピューター飯山事業所に訪れた。
飯山に事業所を構えるきっかけとなったのは、飯山を創業の地としてPCディスプレイなどを製造していたiiyama(旧・飯山電機、1972年創業)を、さまざまな出来事を経て、2008年にマウスコンピューターが吸収合併したことだ。
BTOパソコンは、そもそも同じ規格のPCパーツを組み合わせる以上、他社と差別化するには工夫が必要だ。マウスコンピューターは受注生産のBTOパソコンメーカーとして、開発から生産、サポートまでをワンストップで実施。製品の質を追求するため国内生産にこだわっている企業でもある。その拠点として、製造に関するノウハウを持っていた(iiyama時代から続く)飯山事業所を生かしているという。
飯山事業所で、BTOパソコンの製造に関わる主な事業部は「開発本部」「品質管理本部」「生産本部」の3つだ。
開発本部では、製造工程で必要な資料を作成したり、新たに採用する部品の組み合わせを評価したりといった役割を持っている。特に後者は、PCに組み込む部品の動作試験や、PC本体の組み立て試験など、製品の品質に関わる重要な部分だ。
長時間の使用を想定した耐久テストを短時間で再現するために、事業所内には-30度から80度までの室温を再現できる恒温槽(こうおんそう)や、主にノートPCの開閉部(ヒンジ)をテストする開閉試験機、ハードウェアの耐久性に関わる振動試験機、ファンの音を計測する音響試験室などを用意している。
例えば、恒温槽では規定の動作環境外となる氷点下の環境でPCの電源が入るか、高温の状態から低温に室温を下げて、ディスプレイ部に結露が発生しないか、あるいは高温の環境下でノートPCに搭載するバッテリーがどのように劣化していくのかといった実験を行っている。
振動試験機では、ノートPCやタブレットといった小型の製品を台の上に置いて耐久性をチェックする。問題がある製品だと、1分ほどでネジが抜けてしまったり、基板上のハンダが取れてしまったりするという。
世に送り出す製品が実用に耐える耐久性を持っているか、ここでしっかりと確認する重要な場所だ。
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