続いて品質管理本部では、発生してしまった不良品の原因を分析したり、不良が発生しないような設計を考えたり、製造工程を常に見直す品質改善の役割を持っている。例えば、事業所内で製造されたPCのうち、全体の10%をランダムで抜き取って製造上の品質を常に調査しているという。
これらの役割を製造部門内に置いてしまうと、納期を優先されてしまうなど、どうしても他の事情に引っ張られてしまう可能性もある。別部署として役割を全うすることで厳格化する狙いがある。PCの構成によっては、午前11時までにWebで注文すると翌日出荷できる製品もあるので、現場の人の苦労がしのばれる。
そして飯山事業所の要ともいえるのが、受注した製品を組み立てる生産本部だ。飯山事業所ではBTOで受注した製品だけでなく、店舗や量販店、法人向けに出荷する製品も一括して生産している。
生産工程には、効率化に向けたさまざまな創意工夫が施されている。マウスコンピューターでは、1台のPCをライン上で複数人が順に組み立てるのではなく、1人の専任者が最初から最後まで完成させるセル生産方式を採用している。BTOという仕組み上、あとから仕様変更を求められる場合もある。そういったケースに対応しやすいのだという。
組み立てのために納入された部品は、1点1点をシリアルコードで管理している。これによって担当者が必要な部品を保管場所からピックアップする際の効率化や、不具合が発生したときに問題があった工程を見つけやすくなる。製造工程のトレーサビリティーという観点でもメリットが大きい。
組み立てられた製品は、さまざまな機能検査を実施する。傷などのチェックはもちろん、実際に起動してハードウェアが正しく動いているか、しばらく動作させて問題が発生しないかといった負荷試験など、ソフトとハードの両面を専用のスペースで1台1台チェックしている。
無事テストをクリアした製品だけが、梱包(こんぽう)の工程に進み、めでたく出荷されるという流れだ。この「1台も不都合な製品を顧客の手元に渡らせない」という努力は、国内生産というブランドを末永く維持することにつながるはずだ。
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