以上のように、ざっと見る限り一通りの機能がそろっている本製品だが、気をつけるべき点が大きく分けて2つある。1つは、さまざまな機能を搭載しつつも、それらに付随するオプションが非常に少ないことだ。
例えばモーション検知による録画機能はゾーンを指定できず、それゆえ検出範囲は全画面一択となる。また人や荷物など検知対象を判別して通知方法を変えるといった、昨今のネットワークカメラでは当たり前となりつつある機能もない。
このモーション録画の履歴はタイムライン上に表示されるのだが、頭出し機能がないことに加えて、タイムライン上のどこにデータがあるかも表示されないので、モーションを検知したことを知らせる通知が飛んできても、それを探すだけで一苦労だ。
この他、パンチルト機能は動作自体は比較的スムーズだが、特定の位置を登録しておいてワンタップで移動できる機能などはない。また俗にプライバシーモードなどと呼ばれる、未使用時にはレンズが後ろを向くなどして撮影を行わない機能も省かれている。
つまり機能の大分類をチェックしていくと「◯」がつくのだが、あくまでもそれだけで、実用的なオプションが足りないケースが多い。カユいところに手が届かない、という表現がしっくりと来る。
他社製品はこのようにモーション検知のエリアを設定できるが、本製品は非対応だ(左)。他社製品はサウンド検出機能、動体に枠をつけるモーションタグ機能などを備えるが本製品は省略されている(中央)。録画データにタグが付与されないので、どの時間帯のデータがあるか分からない。この画像のように時刻が「21:23」なのに「21:30」のタイムラインが表示できてしまったりもする(右)
他社のパンチルトカメラでは、「お気に入り」などとして登録済みのアングルにワンタッチで移動できる機能があるが、本製品は省かれている(左)。最近採用例が増えてきたプライバシーモードも、本製品は非搭載だ(中央)。AlexaやGoogle Homeとの連携は、画面は用意されているが試した限り認識されなかった(右)もう1つ、実際に使っていて困りものなのが、アプリを起動しても接続できなかったり、途切れたりする頻度が高いことだ。電波状況が悪いのであれば別なのだが、今回の検証は、本連載で他社カメラをテストした環境と同一であり、本製品の画面を見ても、電波強度は常時80%程度と表示されていることから、電波の問題とは考えにくい。
中でも、特にアプリの起動時にプレビューに失敗しやすいのは困りものだ。こうしたネットワークカメラは、実際に表示されるまでは多少の時間差はあるものだが、本製品の場合、十数秒も待たされた上に結果表示されないケースが多々見られる。そのまま放っておくといつの間にか復帰しているのだが、見たい時に見られないのはやはりストレスだ。
アプリ起動直後は、この「チャンネルを暗号化中」というメッセージが出たまま十数秒待たされることもあった(左)。最終的に「暗号化に失敗」と表示され、その後もしばらく接続できないことがある(中央)。接続されてもこのように真っ暗なままという場合もあった(右)その一方で、スマホから操作した場合のレスポンスは良好で、今回比較したSwitchBotの屋内カメラと比べても劣っていることはない。またレンズも一定の画角を備えており、パンチルト機能と併用することで、広い範囲を見ることができる。それだけにこの確実性の低さは非常にもったいない印象だ。
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