ここからは、ベンチマークテストで本機の実力を探ってみよう。
本機が備えているIntel N100(開発コード名:Alder Lake-N)は、2023年1月に発売された比較的新しいCPUで、これまでのCeleronやPentiumに変わり、エントリークラスのノートPCなどへの採用が進んでいる。
Intelの第12世代/13世代Coreでは、省電力なEコア(高効率コア)と高性能なPコア(パフォーマンスコア)で構成されるが、Intel NシリーズはPコアを省いて全てEコアのみで構成されている。
このように聞くと、低消費電力な“遅い”CPUという印象だが、製造プロセスがIntel 7(従来「10nm Enhanced SuperFin」と呼ばれていたもの)になり、Jasper Lake世代の10nmよりも性能は上がっている。
CINEBENCH R23の結果は、シングルコアが941pts、マルチコアが2592ptsだった。少なくとも、CINEBENCHのランキング上からは、シングルコアの処理能力は第4世代のCore i7-4850HQ(4コア8スレッド/2.3GHz〜3.5GHz)を上回っていることが分かる。
なお、同じくランキングからのデータとなるが、前世代となるJasper LakeのCeleron N5100(4コア4スレッド/1.1GHz〜2.8GHz)のスコアはシングルコアが68pts、マルチコアが1729ptsであり、大きく性能アップしているといえる。
PCの総合的なパフォーマンスを測るPCMark 10の結果は、総合スコアが3206だ。Webブラウジングやビデオ会議など、一般的なPCの使い方の指標となる「Essentials」は7378と高く、こういった用途であれば問題なく利用できそうだ。
一方、オフィスアプリのパフォーマンス指標となる「Productivity」は4966とやや低く、写真編集や動画編集などクリエイティブ作業の「Digital Content Creation」は2441とさらに低くなっている。オフィスアプリ中心の作業では使えそうだが、写真編集などの用途には向かないだろう。
参考までに、Jasper Lake世代のCeleron N5100を搭載した10.51型のノートPC「CHUWI MiniBook X」(メモリは12GB LPDDR4X、ストレージは512GB) のスコアは、総合で2265、Essentialsは5524、Productivityは2939、Digital Content Creationは1945だった。これと比べると、Intel N100はかなりパフォーマンスがアップしていることが分かる。
最後に、ものは試しで3Dの描画性能を測る3DMarkも実施してみた。こちらもMiniBook X(Intel Core UHD Graphics)と比較してみたが、やはりGeeLarks X2が上回っている。とはいえ、どちらもスコアは全体的に低く、3Dのグラフィックを使うゲームのプレイなどは難しい。
実際に本機を触って見た印象だが、動作自体は全体的に快適とはいえず、アプリの起動やWindowsの設定画面を開く際などにもたつくことも多かった。それでも、Webブラウザの操作や、ちょっとしたドキュメント作成なら問題なく利用できる。
もちろん、YouTubeやNetflixなどの動画視聴にも使えるが、その用途であればChromecastやFire TVで十分かもしれない。
公式にUbuntuもサポートしているとのことなので、外付けSSD/HDDなどをつなげてNAS的に使ったり、家庭内サーバーしたりするのも面白そうだ。こういった使い方を模索するのも、ミニPCの楽しみ方の1つかもしれない。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.