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約250台のカメラでデジタルツイン構築 人とロボットが協調――累計4000万台超のPCを作り続けてきた「島根富士通」の生産ラインが進化中(3/4 ページ)

» 2023年09月13日 12時30分 公開
[大河原克行ITmedia]

ノートPC組み立てライン

 ノートPCの基板は、完成すると「ノートPC組み立てライン」へと運ばれる。このラインは20本が稼働しており、近くには「部品保管エリア」も用意されている。各ラインは異なる製品が流れてくることもある「混流生産」だが、一部製品を対象に、1人の作業員が複数の工程をこなす「セル生産方式」の考え方も取り入れている。

 このラインは随時改善が行われている。常に新たな装置も導入されており、近いうちにヒートシンクの取り付け作業などを自動的に行う装置が導入される予定だ。

ノートPC組み立てライン全景 ノートPCの組み立てラインの様子。最大20ラインでの生産に対応可能だ
部品保管エリア ノートPCの部品保管エリアでは、デジタルピッキングシステムが導入されている
ノートPC組み立てライン先頭 ノートPC組み立てラインの先頭部
ノートPC組み立てラインマザーボード 組み立てラインに投入される
ノートPC組み立てラインネジ止め装置 軽量さが特徴のモバイルPC「LIFEBOOK UHシリーズ(コンシューマー向け)」「LIFEBOOK Uシリーズ(ビジネス向け)」専用の自動ネジ締め機。最新の世界最軽量モデルでは、キーボードの裏側に70本のネジを使用しているという
ノートPC組み立てラインネジ止め装置 この自動ネジ止め機は、最新の組み立てラインでは、ラインの背後に設置されている

 ノートPC組み立てラインでは、LIFEBOOKのようなノートPCはもちろん、FMV LOOXのようなタブレットPCの組み立ても行う。

 FMV LOOXを組み立てる様子を写真と共にチェックしていこう。

LOOXの組み立て FMV LOOXを組み立てるラインの様子。作業台に基板とケース(バッテリー据え付け済み)が置かれている
LOOXの組み立て マザーボードにシールを貼り付けた後で……
LOOXの組み立て ケースにはめ込む。合わせて細かな内部部品も取り付けていく
LOOXの組み立て マザーボードの取り付け時は、専用の治具を使うことでネジ止め順序を間違えないようにしているという
LOOXの組み立て 細かい配線も慣れた手つきで取り付けていく
LOOXの組み立て 配線が終わったところ
LOOXの組み立て 続けて有機ELディスプレイユニットを取り出して……
LOOXの組み立て 裏側にシールを貼り付ける
LOOXの組み立て ヒートシンク(ヒートスプレッダー)をネジ止めする際も、専用の治具を用いる
LOOXの組み立て 部品の組付けが完了したディスプレイユニットとケース
LOOXの組み立て ディスプレイユニットとケースを結線したら……
LOOXの組み立て ディスプレイユニットをひっくり返して、ケースにはめ込む
LOOXの組み立て ディスプレイユニットは、加圧器を使ってさらにしっかりとはめ込む。こうすることで、耐水性が高まる
LOOXの組み立て 組み立ての完了後は、試験プログラムをインストールして、各種機能が正常に動作するかチェックしていく
LOOXの組み立て こうして、FMV LOOXは完成する(キーボードとペンは別売)

 続けて、法人向けの「LIFEBOOK U9シリーズ」を組み立てる様子を見ていこう。

LIFEBOOKの組み立て こちらは、LIFEBOOK U9シリーズを組み立てているラインである
LIFEBOOKの組み立て LIFEBOOK U9シリーズの部品の組み付けと配線を終えたところ
LIFEBOOKの組み立て スピーカーとマイクのテストは、「VST(Visual Sound Testor)」という装置で自動的に行われる
LIFEBOOKの組み立て キーボード入力のテストも自動化されている
LIFEBOOKの組み立て こちらは「AVIS」と呼ばれる外観テスト装置。カメラとロボットアームを使って、24部品/38カ所の検査を自動で行える。こちらも、島根富士通が自社開発したものだ
LIFEBOOKの組み立て テストとOSのインストールを行うブース。ソフトウェアはLANケーブルを介して伝送される
LIFEBOOKの組み立て PCに貼付されるシール。このような形で見られるのも、工場ならではだ
LIFEBOOKの組み立て 最終段階では、人による目視検査も行われる
LIFEBOOKの組み立て 検査が終わったPCは梱包(こんぽう)工程に回される
LIFEBOOKの組み立て 完成したLIFEBOOK U9シリーズ

 先述の通り、島根富士通の生産ラインは随時改善が行われている。この組み立てラインでは、約250台のカメラが100分の1秒単位でビデオ分析を行っているという。なお、2023年度中にはカメラの台数を約400台まで増やし、さらに精緻な分析をできるようにするそうだ。

生産ラインの改善 組み立てラインでは100分の1単位でのビデオ分析を行い、作業改善につなげている
生産ラインの改善 組み立てラインに設置されているカメラ。現在の約250台を、2023年度中には約400台に増やすという
解析 画像の解析には、富士通の「COLMINA デジタル生産準備 VPS GP4」を活用。デジタルツインによる製造現場構築の事前検証を行っている

 続いて、デスクトップPCの組み立てラインを見てみよう。

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