ソニーINZONEから新ヘッドセット2製品 連続12時間駆動でType-Cドングル、WF-1000XM5の技術も注入した完全ワイヤレスも登場(2/2 ページ)

» 2023年10月11日 10時00分 公開
[渡辺まりかITmedia]
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連続12時間駆動を実現する「INZONE Buds」

 INZONE Buds(以下、Buds)は、INZONE初の完全ワイヤレスイヤフォンだ。完全ワイヤレスタイプは一般的に、軽いことや携帯しやすいことなどのメリットと引き換えに「立体音響が弱い」「連続再生時間が短い」といったデメリットも発生する。また、ワイヤレス特有の“遅延”問題も気になる。

INZONE Buds 「INZONE Buds」

 これらの課題は解決したのだろうか。まずは仕様からチェックしていきたい。

 Budsのドライバーユニットは、WF-1000XM5で採用しているソニー独自開発の8.4mmドライバーユニット「ダイナミックドライバーX」を採用している。ドーム部に軽量で剛性の高い素材を、エッジ部には柔らかい素材を使った振動板構造を採用することで、ゲーム内でかすかに聞こえる敵の足音から、迫力のある爆発音まで、豊かな音で再現できるという。

カラーバリエーションはホワイトとブラック

 ヘッドフォンタイプのヘッドセットシリーズ同様の立体音響を実現すべく、Buds向けにサウンドトーンの個人最適化機能を搭載している。PC専用アプリ「INZONE HUB」でユーザーの外耳(いわゆる耳の形)だけでなく外耳道(いわゆる耳の穴の中)の形にあわせた音質最適化を実行できる。これにより、立体音響が効果的に発揮できるようになるという。

PC専用アプリ「INZONE HUB」

 連続再生時間はノイズキャンセルオフ時で最大12時間、バッテリー内蔵型充電台にもなっている収納ケースと合わせれば、最大24時間の利用が可能だ(なお、ノイキャンオン時ではそれぞれ1時間ずつ短くなる)。急速充電にも対応している。

 遅延に関しては、収納ケース中央に収められている2.4GHzトランシーバーのUSB Type-Cドングルを利用することで30ms未満という低遅延を実現するという。ドングルがUSB Type-Cになったことで、PlayStation 5だけでなく、USB Type-C搭載PCやスマートフォンでも利用できる。

 ただし、スマートフォンでは立体音響に対応していない。あくまでも「ソニー製品らしい、いい音」をBudsで再生できるようになるだけ、ということに注意したい。

Buds用のUSB Type-Cドングル Buds用のUSB Type-C レシーバー(2.4GHzワイヤレスで接続)
ケースから取り出しているところ ケースを横から見ると台形で、蓋をあけると手前側が低くなっている。そのため、本体もUSB Type-Cトランシーバーも取り出しやすく、プチストレスを軽減してくれる

 その他、スマートフォンとはBluetooth LE Audioでの接続も可能だ。2.4GHzトランシーバーとBluetoothの同時接続や、Bluetooth接続のみのマルチペアリングにも非対応だ。また、LDACなどによるハイレゾ再生にも対応していない。

 本体のデザインは、長時間の装着時でも耳や頭が痛くなりにくく熱を感じにくいという「エルゴノミック・サーフェス・デザイン」を採用した。熱を発しやすいチップ搭載部分が耳の外に出るような設計になっている。また、耳回りの凹凸に当たらないようなデザインにすることで痛みや圧迫感を軽減したとしている。重さは片側単体で約6.5gとなっている。

「エルゴノミック・サーフェス・デザイン」で熱を発しやすいチップ搭載部分が耳の外に出るような設計になっている

 このように、完全ワイヤレスタイプに見られるデメリットを解消することで、プロのゲームプレイヤーでも「使いたい」と感じるようなデバイスに仕上がっている。

 カラーバリエーションはホワイトとブラックだ。タッチコントロール部がどちらも黒で統一されているため、ホワイトバージョンではデザインのアクセントとなっている。

 パッケージには、イヤフォン本体の他、充電ケース、USB Type-Cトランシーバー(2.4GHz)、SSからLLまで5種類のイヤーピース、USB Type-Cケーブル(USB Type-A→USB Type-C)となっている。

背後から撃たれる感じにゾワゾワ

 H5とBudsの立体音響の実力を、実際に装着して試してみた。

 以前、筆者はオーバーイヤータイプで強力なノイズキャンセリング機能を持つヘッドフォンを使っていたことがあるが、カップ内部が真空状態になったような気がして、非常に息苦しさを感じていた。また締めつけ感も強く、すぐに頭が痛くなるため、音が非常に良いのにずっと着けていられなかったことを、H5装着直前にして思い出して身構えてしまった。

T5の装着イメージ(ソニー提供)

 しかしH5を装着してみると、周囲の音が聞こえなくなるものの、以前使っていたもののような息苦しさや“真空状態”を感じることはなかった。ヘッドセット自体が軽いことや無段階調整可能なヘッドバンドのおかげでぐらついたりズレたりすることはなく、快適だ。

 肝心の音の部分だが、まず正面から撃たれて体をのけぞらせてしまった。また、“敵”が砂利の上を移動するときに立てる小さな足音が左前方から真左へ、また背後へと回っているのを感じたときには身構えてしまったし、背後から撃たれたときにはゾワッとしてしまった。音でしっかりと位置関係を把握できるクオリティーになっている。

 続けて、Budsも試してみた。「“立体音響すごい”って言っても、完全ワイヤレスイヤフォンだしなぁ」と、あまり期待していなかったのだが、以前試したことのあるものより、よりリアルだと感じる音質だった。

Budsの装着イメージ(ソニー提供)

 未舗装の、もしくは小石の載ったアスファルトの上を移動する“敵”の足音、振動によって重火器の触れ合うカチャカチャという音、マシンガンの放つ「ガガガガ」という音がリアルで、しかも肌に触れている面積がH5と比べ少ないためか、より没入感が高まる。

 音質を個人向けにカスタマイズする前からこのような聞こえ方をしているのであれば、購入して、PCにINZONE HUBをインストールしてカスタマイズしたら、一体どうなってしまうのだろうかと、気になって仕方がない。今回の製品開発で監修を担当したプロeスポーツチームFNATICのメンバーたちがH5だけでなく、Budsも「使いたい」というのもうなずける。ヘッドバンドタイプに匹敵するような音質だと感じた。

 ソニーストア各店舗では実機を試せるとのことで、興味があるなら試してみてもよさそうだ。

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