「Privacy Talk」は、キヤノンマーケティングジャパンが7月に発表したマスク型の減音デバイスだ。自然な見た目を維持しつつ、場所を選ばずに快適なビデオ会議や会話を実現するもので、コンセプトモデルの発表から3カ月が経過し、クラウドファンディングサイト「Makuake」においてテスト販売が10月31日からスタートする。
今回は一足先に先行モデルを試せたので、実際の試用レポートをお届けしよう。なお、実際に提供される製品とは一部異なる可能性もあるので留意してほしい。
このPrivacy Talkは、同社の企業内起業「ichikara Lab」(イチカララボ)が手がけたデバイスだ。ichikara Labは、若年層マーケティングの強化と新たな顧客層へのリーチを目指して、社歴2〜3年前後の若手で構成されているという。
若年層のライフスタイルや購買行動、トレンド分析、若年層向け商品/サービスの企画/開発に取り組んでおり、Privacy Talkもその一環となる。
このPrivacy Talkだが、装着した姿自体はマスクをしてイヤフォンを利用している人にしか見えない。コロナ禍以降、見慣れたスタイルだ。いったい、どのような仕組みで動作しているのか、事前の内覧会などで確認できなかった部分でもあり、非常に気になっていた部分でもある。
いざ実機を見てみると、ファブリックカバー(マスク)の内側にはイヤフォンがじか付けされた本体ユニットと、マウスパッドが隠されている。ABS樹脂製で作られた本体は2つの面ファスナーでファブリックカバーと合体する仕様で、簡単に着脱できる。口元の接合部分には着脱式のマウスパッド(シリコン製)があり、これが口元を密着して覆う形になる。
ユニークなのは、本体内にバッテリーと共に2つの小型ファンが内蔵されており、利用時はファンが回転してマスク内の通気性を確保し、湿気も外部に逃がす役割を果たす。また2つのマイクも内蔵されており、ファンの動作音を取得や音声を取得し、ファンのノイズを打ち消すことでクリアな音声を実現しているとうたう。
これは電気的な処理でノイズキャンセリングを行うのではなく、本体内に音響メタマテリアル技術を導入することで、約20dBの減音効果とボディーの小型化を実現している。
具体的には、Acoustic Metamaterials Group(AMG)の音響メタマテリアル技術をベースに、音の通り道を細かい迷路状にすることで、人の声が持つ特定の周波数帯域を効率的に吸収しながら、呼吸のための空気の通り道を確保しつつ、コンパクト化を両立させたという。
これにより、周囲1m程度離れた際に会話内容を聞き取りづらくする減音効果を実現するという。
本体ユニット内に容量475mAhのリチウムイオンバッテリーを内蔵しており、約3時間の動作が可能だ。充電時間は約1.5時間で、付属のUSB Type-C→USB Type-Cケーブルを利用する。ACアダプター(5VDC/500mAh以上を推奨)は別売なので、別途ユーザーが用意する必要がある。
ファブリックカバーのサイズは約104(幅)×68.75(奥行き)×65.8(高さ)mmで、単体の重量は実測で19.5g、本体ユニットは105.5gだった。合計125gのマスクとして考えると重いと感じるかもしれないが、利用時は補助バンドでマウスパッドを口元に密着させる(バンドをきつめにする)ため、重量はそれほど体感できない。
以上の概要を把握した上で、実際に使ってみよう。
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