あらゆる障害に希望を与える「Access コントローラー」のカスタマイズ性――テクノロジーの発展を加速してきたインクルーシブな試み【SIE編】林信行の「テクノロジーが変える未来への歩み」(2/4 ページ)

» 2023年12月14日 11時00分 公開
[林信行ITmedia]
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ハード/ソフト/使い方まで徹底してカスタマイズ性を追求

 製品はヒマワリの花びらのようなボタンに囲まれた円形の本体が特徴で、そこから一方に黒い台座が伸び、台座の先にジョイスティックが付いているという、これまでに見たことがないユニークな形状だ。

 ただし、マットなブラックとホワイトのカラースキームなどのデザイン言語を通して、しっかりPlayStation 5の関連製品だということも分かるようになっている。

Access コントローラー PlayStation 5 ソニー・インタラクティブエンタテインメント CFI-ZAC1J 林信行 インクルーシブな試み SIE ソニー・インタラクティブエンタテインメントの「Access コントローラー」。価格は税込み1万2980円だ

 では、このコントローラーはどのように使うのだろう。実は「コレ!」という決まった使い方がないことこそが、この製品の特徴だ。ジョイスティックや個々のボタンが何の役割をするかは全てユーザーが決める。

 腕があまり動かない人であれば、決定ボタンが手前にあった方が押しやすいだろうし、逆に身を乗り出してアゴなどを使って操作する人であれば、決定ボタンは遠くにあった方が押しやすいだろう。実際によくプレイするゲームなどで試してみて、ボタン配置を変えた方が良いと思ったらその都度、ボタンの役割を変更していく。

 進行性の障害などでは、時間の経過に伴い筋力が衰えることもある。前には届いていたボタンが筋力低下で操作しづらくなったら、再びボタンの配置を変える。このようにして常にボタンの配置を変えながら利用できるのがAccess コントローラーの最大の特徴で、実はPlayStation 5側でも、即座にカスタマイズ用の画面を呼び出して新しい配列を設定したり、試したりできる設計に既になっている。

 だが、本製品でカスタマイズ可能なのはボタンの配置だけではない。実はボタンそのものも、全て片手で取り外して交換できるようになっており、標準のピローボタンと呼ばれるものの他に、外周が起伏していてわずかな力で押せるフラットボタン、起伏が大きく指や棒などを左右に動かすことで押せるカーブボタン、押す代わりに手前側を引っ張って操作できるオーバーハングボタン、通常のボタンの2倍の大きさのワイドフラットボタンなど5種類のボタンがパッケージに付属する。

 ジョイスティックも丸型のボールスティックキャップ、大きくて平らなドームスティックキャップ、小型で指への引っ掛かりをよくしたスティックキャップなど3種類が用意されている。ボタン部とスティック部の距離や向きも自由に調整できれば、スティックの感度やデッドゾーンの設定(身体的特徴により意図せず特定の方向にスティックを倒してしまうことがある場合に備えて、特定方向への操作は無視するという機能)なども行える。

 どのボタンにどのボタンの役割を持たせるかの設定も自由で、○/×/△/□ボタン、L1/L2/R1/R2などどのボタンの役割を割り当てたかが分かるラベルをボタンに取り付けることもできる。

 このボタン割り当ての設定は、Access コントローラー側だけでなく、ボタンを押すだけでPlayStation 5側の設定機能もすぐに呼び出せるようになっているので、プレイしてみて操作がしづらければすぐに操作方法を変えるといった微調整がやりやすい。

 こうしてできあがった設定はプロフィールとして登録するが、ゲームによってボタンの配置を変えた方がプレイしやすければ、そうしたプロフィールを複数登録してボタン1つで切り替えられる。

 さらに2台のAccess コントローラー、あるいは「DualSense ワイヤレスコントローラー」や「DualSense Edge ワイヤレスコントローラー」を連動させ、組み合わせて利用することもできる。例えば指が左右に自由に動かせない人は片方の手にDualSense ワイヤレスコントローラーを握って、もう片方の手でAccess コントローラーの半分だけを使って操作といったことも可能だ。

Access コントローラー PlayStation 5 ソニー・インタラクティブエンタテインメント CFI-ZAC1J 林信行 インクルーシブな試み SIE Access コントローラー(下)は、PlayStation 5 標準の「DualSense ワイヤレスコントローラー」(上)と併用することもできる

 これでもまだ操作がしづらいという人、例えばそもそも腕がない場合などは、4つの3.5mm AUX端子があるので、そこにさまざまなタイプの外部ボタン/外部スイッチを接続することで対応できる。

 ロジクール(海外ではLogitec)クのゲーミングブランド「ロジクール Gシリーズ」には、8個のボタンとトリガーおよびそれらを自由にレイアウト可能な面ファスナー式のゲーミングマットをセットにした「ロジクールG アダプティブ ゲーミング キット」を発売しており、これを併用することでPlayStationの世界観を壊すことなく、さらに操作方法に柔軟性を生み出すことができる。

Access コントローラー PlayStation 5 ソニー・インタラクティブエンタテインメント CFI-ZAC1J 林信行 インクルーシブな試み SIE ロジクールが、アクセシビリティコミュニティーと協力して開発した公式のアクセサリーキット「ロジクールG アダプティブ ゲーミング キット」。8個のボタンとトリガーのセットで、それらを自由にレイアウトできる面ファスナー式の頑丈なゲーミングマットや、ボタンのマークをあしらったスティックオンラベルなどがセットになっている

 また同じAUX端子を使って、例えば息を吹きかけたり、アゴの動きを使って操作したりするためのスイッチや、フットペダルなど外部のスイッチを接続して利用することも可能なはずだ。

 障害の形は、人によって本当にさまざまである。でも、どんな障害を持つ人にでも可能性を与えようという姿勢を感じさせる仕様だ。

 このAccess コントローラーの使い勝手に柔軟性を与えているのが、底面にある3つのネジ穴だ(AMPSホール規格のマウントに固定できる10-24ネジ穴×2と、三脚などに固定できる4分の1-20ネジ穴)。これらを使って、Access コントローラーを車椅子のアーム部分に取り付けたりして使うプレーヤーも多い。

Access コントローラー PlayStation 5 ソニー・インタラクティブエンタテインメント CFI-ZAC1J 林信行 インクルーシブな試み SIE Playstation 4もアップデートでアクセシビリティーへの対応は行なっていたが、Playstation 5では開発段階からこうした議論があったからこそ「Access コントローラー」のような製品が作れたと語るソニー・インタラクティブエンタテインメント グローバル商品企画部の若井宏美部長

 また、グローバル商品企画部の若井宏美部長は今回の「Accessコントローラ発売は大きな一歩。製品の発売をきっかけに、こういうニーズがあると言う我々の思い込みではなく、実際に製品を使った人の声に耳を傾けて改善を続けていきたい」と語る。

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