GPD G1というデバイスを一通り説明したところで、GPUボックスがモバイルノートPCにもたらす“プラス”の効果をベンチマークテストを通して探っていこう。
検証上の都合で、今回は動作確認をしたノートPCのうち、ThinkPad X13 Gen 3(Intel)を使って本機の有無がパフォーマンスに与える影響をチェックする……のだが、本機に外部ディスプレイをつなぐかどうかで悩んだ。というのも、GPUボックスを使う場合、外部GPUから直接映像を出力した方が、描画結果をノートPC(内蔵GPU)に戻す必要がないため、パフォーマンス面でプラスとなるのだ。一方で、ノートPCにGPUボックス“だけ”をつないだ場合、見た目はスッキリとするが、描画結果をノートPCに戻すという“余計な処理”が発生する分、パフォーマンスが下がる。
いろいろ考えた結果、今回は見た目のスッキリさを優先して本機とノートPCのみの構成でテストしてみることにした。
テストで使うThinkPad X13 Gen 3(Intel)の主な仕様は以下の通り。2024年1月19日現在でも、モバイルノートPCとしてはハイスペック寄りな構成だ。
少し前置きが長くなったが、テストを始めよう。
やはりGPUのパフォーマンスを比べるなら3Dグラフィックス――ということで、最初に3Dグラフィックスのベンチマークテストアプリ「3DMark」を使い、実装されている主要なテストを一通り試してみた。総合スコアは以下の通りだ。
テストにもよるが、GPD G1を接続するとスコアが3.3〜5.3倍に跳ね上がる。描画結果をPC側に戻すというオーバーヘッドがあるにも関わらず、ここまでパフォーマンスが向上するのはすごい。
これなら、スコア的にはフルHD(1920×1080ピクセル)はもちろん、WQHD(2560×1440ピクセル)解像度でも良い感じのパフォーマンスでゲームを楽しめそうである。
続いて、スクウェア・エニックスの「ファイナルファンタジーXIV: 暁月のフィナーレ ベンチマーク(FF14ベンチマーク)」と「FINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION ベンチマーク(FF15ベンチマーク)」を試す。
FF14ベンチマークは比較的枯れたグラフィックスエンジン、FF15ベンチマークは比較的新しいグラフィックスエンジンを使っている。特にFF15ベンチマークは処理が重ためなので、設定次第では最新GPUでもスコア的に“苦戦”を強いられることもある。
今回は、全画質のテストをフルHD描画で実行している。結果は以下の通りだ。
FF14ベンチマークについては、内蔵GPUでもそこそこプレイできそうだが、GPD G1を接続することでワンランク上の評価を得られた。本機は「もっと画質を高めたい」あるいは「解像度をWQHDに上げてプレイしたい」という場合に活躍してくれそうだ。
一方で、FF15ベンチマークについては、予想通りIris Xe Graphics単体でのプレイは非常に厳しい。普通評価の軽量品質でも、たまに描画のカク付きが見られるレベルだ。その点、GPD G1をつなぐと、高品質でも描画のカク付きなくテストを完走できた。そこそこ重たいゲームを快適にプレイするためのアイテムとしても、本機は重宝しそうである。
ゲームはさておいて、筆者的に“本命”なのが、写真や動画の編集におけるGPD G1の活躍である。この点はどうなのだろうか……?
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