グラフィックスメモリを倍増した「Radeon RX 7600 XT」は6万円台で買える動画編集にもお勧めなGPUだった先行レビュー(1/3 ページ)

» 2024年01月24日 23時00分 公開
[迎悟ITmedia]

 AMDが1月9日(米国太平洋時間)に発表した新型GPU「Radeon RX 7600 XT」を搭載するグラフィックスカードの販売が、1月26日(日本時間)から順次始まる。

 その名の通り、本GPUは2023年5月に登場した「Radeon RX 7600」の強化版という位置付けで、搭載グラフィックスカードの想定販売価格で6万円前後(税込み、以下同)となる。

 発売に先駆けて、AMDからASRock製グラフィックスカード「AMD Radeon RX 7600 XT Steel Legend 16GB OC」(想定販売価格6万2800円)を借用できたので、その実力をチェックしていく。

グラボ 今回レビューするASRock製のグラフィックスカード「AMD Radeon RX 7600 XT Steel Legend 16GB OC」。Radeon RX 7600 XTではAMDのリファレンス設計のグラフィックスカードが用意されていない

グラフィックスメモリを倍増してWQHD解像度にも対応

 テストを開始する前に、Radeon RX 7600 XTの基本仕様をチェックしよう。

 Radeon RX 7600 XTはRDNA 3アーキテクチャのコンシューマー向けGPU「Radeon RX 7000シリーズ」に加わる新GPUで、先述の通りRadeon RX 7600の上位製品という位置付けとなる。

 AMDによると、Radeon RX 7600 XTは「1440p(WQHD/2560×1440ピクセル)のゲーミングも可能なスペック」を備えているという。Radeon RX 7600が1080p(フルHD/1920×1080ピクセル)でのゲーミングをターゲットにしていたことを考えると、一段階上のゲーミング体験が得られるGPUとなる。

 主な仕様とスペックは以下の通りだ。

  • 演算ユニット(CU)/レイアクセラレーター:32基
  • AIアクセラレーター:64基
  • ストリームプロセッサ(SM):2048基
  • ゲームクロック:2470MHz
  • 最高クロック:2755MHz
  • グラフィックスメモリ:16GB(GDDR6規格/18Gbps/128bit)
  • Infinity Cache(L3キャッシュ):32GB
  • 映像出力:DisplayPort 2.1(UHBR10対応)/HDMI 2.1a
  • 接続バス:PCI Express 4.0 x8
  • GPU補助電源:8ピン×2
  • 消費電力:最大190W(推奨電源容量:600W以上)

 Radeon RX 7600と比較すると、変わったポイントは「動作クロック」と「グラフィックスメモリの容量」の2点で、それに伴い消費電力は35Wほど増えている。

 端的にいうと、Radeon RX 7600 XTはグラフィックスメモリを多用する用途であれば、特に動作パフォーマンスの改善を期待できる。また、動作クロックが引き上げられたことにより、ピーク時の演算能力も約4%向上している。

諸元 Radeon RX 7600とRadeon RX 7600 XTの仕様を比べたスライド。CU/レイアクセラレーターなど、演算に関わる部分の物理的スペックは変わりないが、稼働クロックが引き上げられている。また、グラフィックスメモリも倍増されている(AMD提供資料より)
諸元 AMDは、本GPUを「GeForce RTX 2060からのアップグレードにピッタリ」としている。グラフィックスメモリがパフォーマンスを左右するゲームタイトルでは、Raden RX 7600比でもフレームレートの改善効果はそれなりにある(AMD提供資料より)
諸元 グラフィックスメモリの“倍増”は、特にクリエイター向けアプリやGPUを使った推論演算に大きなメリットをもたらす(AMD提供資料より)

レビューするグラフィックスカードをチェック!

 先述の通り、今回はASrock製のグラフィックスカード「ASRock AMD Radeon RX 7600 XT Steel Legend 16GB OC」を使って各種テストを実施する。

 本製品はASRockのゲーミングブランドの1つ「Steel Legend(スチールレジェンド)」から発売されている。そのため、同ブランドのマザーボードと組み合わせると一体感のある外観となる。

 クーラー部分は3連ファンで、昨今の自作パーツ市場でも人気の高い「ホワイト」でコーディネートされている。ファンにはイルミネーションも仕込まれており、PCに組み込む場合はグラフィックスカードを垂直に設置できる「魅せるケース」と組み合わせるといいだろう。

 なお、Radeon RX 7600 XTを搭載するグラフィックスカードには、2連ファン構成のものも用意されている。ケース内の奥行きを確保しづらい場合は、2連ファンのカードを検討するようにしたい。

3連ファン AMD Radeon RX 7600 XT Steel Legend 16GB OCは3連ファン構成で、ホワイトでコーディネートされている。なお、同じASRockからリリースされる「AMD Radeon RX 7600 XT Challenger 16GB OC」(想定販売価格5万9800円)は2連ファン構成で、本カード比で長さが37mmほど短い
こういうケースにお勧め グラフィックスカードを垂直方向に設置できるPCケースと組み合わせると、結構“映える”

 製品名に「OC」と付くことからも分かるとおり、本製品はオーバークロック稼働に対応している。具体的にはゲームクロックは2470MHzから2539MHzに、最高クロックは2755MHzから2810MHzにそれぞれ引き上げられている。

 そのため、これから実施する各種ベンチマークテストの結果は、定格スペックで実施した結果とは若干異なる可能性がある。

厚み カードの厚みは2.5スロット分(約51mm)で、ブラケットからのはみ出しも若干見られる。映像出力は標準仕様通りでDisplayPort×3とHDMI×1を備える
バックプレート カードの耐久性を高めるためのバックプレートも取り付けられている。なお、カードの長さは約304mmだ

 次のページからは、AMD Radeon RX 7600 XT Challenger 16GB OCを使ってRadeon RX 7600 XTの実力をチェックしていく。

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