AMDは5月24日(米国太平洋夏時間)、デスクトップ向け新型GPU「Radeon RX 7600」を発表した。搭載グラフィックスカードの米国における想定販売価格は269ドル(約3万7300円)からで、5月25日から順次販売が始まる。日本でも、5月26日11時に発売される。
AMDによると、同GPUは「フルHD(1080p/1920×1080ピクセル)のスイートスポットを狙って開発した」という。価格の手頃さはもちろんのこと、1080pでゲームを快適に楽しむことを主眼に置いた仕様となっていることが特徴だ。
Radeon RX 7600は、本当に“スイートスポット”を突いているのか――AMDが設計した「リファレンスデザイン」のグラフィックスカードを発売に先駆けて試す機会があったので、その実像に迫っていこう。
その名の通り、Radeon RX 7600は「Radeon RX 7000シリーズ」の最新モデルで、シリーズ内ではメインストリーム(売れ筋)クラスを担う。
PC USER読者にはハイエンドGPU(やハイエンドCPU)を使っている人も多いと思う。WQHD(1440p/2560×1440ピクセル)、あるいは4K(2160p/3840×2160ピクセル)のディスプレイと組み合わせて……なんていう人も珍しくないかもしれない。
しかし、実際にPCでゲームを楽しんでいる人の環境を調べてみると、このような環境を持っているユーザーは“少数派”である。ValveのPCゲーム配信サービス「Steam」が月次で取りまとめている「ハードウェア&ソフトウェア調査」によると、同サービスのユーザーの約65%はフルHDでゲームを楽しんでいるという。端的にいうと、4Kはおろか、WQHDですら“少数派”という見方も成り立つ状況である。
このような実情を踏まえて、Radeon RX 7600ではフルHDでのゲーミング環境を改善することを主眼に置いて開発された。主な仕様は以下の通りだ。
(※1)ゲームをプレイしている際の標準稼働クロック
(※2)Total Board Power:グラフィックスカード単体の最大消費電力。競合のNVIDIAでは「TGP(Total Graphics Power)」と読んでいるものと意味はほぼ同じである
先代の「Radeon RX 6600」と比較すると、CU、レイアクセラレーター共に4基増えた他、新たにAIアクセラレーターも備えた。アーキテクチャ変更による効率の改善もあって、同GPUと比べると、1080pでゲームをする場合の平均リフレッシュレートは最大29%改善するという。
動画の編集/制作者の目線に立つと、動画エンコーダーが新たに「AV1(HEVC)コーデック」に対応したこともポイントだ。従来は動画デコーダーのみAV1に対応していたが、今回は再生だけでなく製作も快適になりそうだ。
仕様を比べてみる限り、先代からの確実な性能アップを見込めることは確実だが、TBPが132Wから165Wに増えていることは気になる。先にレビューした「GeForce RTX 4060 Ti 8GB Founders Edition」と比べても、5Wほど多い。実際の消費電力がどんな感じになるのかは注視したい。
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