既報の通り、IntelのデスクトップPC向け新型GPU「Intel Arc B580 Graphics」を搭載するグラフィックスカードが12月24日(米国太平洋夏時間)から順次発売される。米国における想定販売価格は249ドル(約3万7300円)からとなる。
発売に先駆けて、同GPUを搭載するIntel純正グラフィックスカード「Intel Arc B580 Limited Edition」を借用できた。ちょうど手元に先代の「Intel Arc Graphics A580」を搭載するグラフィックスカード「ASRock Arc A580 Challenger 8GB OC」があったので、その進化ぶりを確かめてみたい。
Intel Arc B580 Graphicsの実力やいかに……?
Intel Arc B580 Graphicsは、「Battlemage(バトルメイジ)」というコード名で開発が進められてきたGPUで、新世代の「Xe2アーキテクチャ」を採用している。本アーキテクチャの主な特徴は以下の通りだ。
- 「Xeコア」(GPUコア)が第2世代に
- SIMD16演算をネイティブサポート
- 先代比で処理効率を改善
- レイトレーシング(RT)ユニットが第2世代に
- 「Xe Matrix Engine(XMX)」を搭載
- 「XeSS(Xe Super Sampling) 2」をサポート
- フレーム補間「XeSS Frame Generation(XeSS-FG)」を実装
- 低遅延技術「Xe Low Latancy(XeLL)」を実装
- グラフィックスメモリを増量
Xe2アーキテクチャでも、「Xeコア」や「RTユニット」を「レンダースライス」としてまとめる実装は代わらない。レンダースライス1基につき、Xeコア/RTコアは4基搭載されている
第2世代のXeコアは、SIMD16演算をネイティブサポートした他、256KBのL1キャッシュを新規実装することで処理効率を改善した
行列演算に特化した「Xe Vecror Engine(XVE)」も第2世代となった。Xeコア1基当たり8基搭載されている
RTユニットも第2世代となり、処理速度を大きく改善している
Arc B580は、WQHD(1440p/2560×1440ピクセル)描画に最適化されたGPUだ。主な仕様は以下の通りとなる。
- SoC名:BMG-G21(「BMG」はBattlemageの略とのこと)
- 製造プロセス:TSMC N5(5nm)
- ダイのサイズ:272mm2
- レンダースライス:5基
- Xeコア:20基
- Xe Vector Engine(XVE):160基
- XMX:160基
- RTユニット:20基
- ゲームクロック:2670MHz
- 最大クロック:2850MHz
- グラフィックスメモリ:12GB(GDDR6/192bitバス)
- 接続バス:PCI Express 4.0 x8(インタフェースはx16仕様)
- 消費電力:190W
- 対応API:DirectX 12 Ultimate/Vulkan 1.4(※1)/OpenGL 4.6/OpenCL 3.0
- 映像出力ポート:DisplayPort 2.1(UHBR13.5対応)×3+HDMI 2.1a×1
- DisplayPortの最大解像度:8K(7680×4320ピクセル)/60Hz
- HDMIの最大解像度:8K/120Hz
- HDR:対応(HDR10/HDR10+ Gaming/Dolby Vision)
- Adaptive Sync:対応
- メディアエンジン:2基
- エンコード/デコード対応コーデック:H.264(AVC)/H.265(HEVC)/AV1/VP9
- デコードのみ対応:XAVC-H
(※1)Vulkan 1.4対応グラフィックスドライバは後日提供(2025年第1四半期予定)
Arc B580(とArc B570)は「BMG-G21」というSoCを採用している。Arc B570では、一部機能を制限することで性能面で差別化をしている
先代の同等クラスのSoC「ACM-G10」と比べると、70%の性能向上を果たし、消費電力当たりの性能も50%向上したという
Xe Super Sampling(XeSS)は超解像に加えてフレーム補間や遅延抑制技術を追加して「XeSS 2」に進化した
グラフィックスメモリを多めに搭載したことなどもあり、LLM(大規模言語モデル)のパフォーマンスも「GeForce RTX 4060」を上回るという
本グラフィックスカードは「Resizable BAR(Smart Access Memory)」に対応するCPUとチップセットが必須となる。2024年12月時点でサポートするとCPUとチップセットは以下の通りだ。
- Intel製
- 第10/第11世代Coreプロセッサ+Intel 400/500シリーズチップセット(※2)
- 第12〜14世代Coreプロセッサ+Intel 600/700シリーズチップセット
- Core Ultra 200Sプロセッサ+Intel 800シリーズチップセット
- AMD製
- Ryzen 3000/5000プロセッサ(※3)+AMD 500シリーズチップセット
- Ryzen 7000〜9000プロセッサ(※4)+AMD 600/800シリーズチップセット
(※2)マザーボードによってはResizable BARを有効化できない場合あり(有効にできるかどうかはメーカーに問い合わせてほしい)
(※3)Ryzen 3000Gシリーズは非対応(PCI Express 4.0非対応のため)
(※3)Ryzen 8500Gシリーズで使うとパフォーマンスが低下する(PCI Express 4.0バスが4レーンに制限されるため)
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