既報の通り、NVIDIAは5月18日(米国太平洋時間)にデスクトップ向けの新型GPU「GeForce RTX 4060シリーズ」を発表した。シリーズの第1弾となる「GeForce RTX 4060 Ti(8GB)」を搭載するグラフィックスカードは、日本では5月24日22時に6万9800円(税込み、以下同)から販売される。
この記事では、NVIDIA純正グラフィックスカード「GeForce RTX 4060 Ti 8GB Founders Edition」(日本未発売)を使って、GeForce RTX 4060 Ti(8GB)の実力を先行チェックする。購入を検討している人の参考になれば幸いだ。
発表時の記事にもある通り、GeForce RTX 4060 Ti(8GB)のフルHD解像度(1920×1080ピクセル)におけるゲームの平均フレームレートは、2世代前の「GeForce RTX 2070 SUPER」比で平均1.6倍、先代の「GeForce RTX 3060 Ti」比で平均1.15倍となっている。
「先代からはあまり変わっていないのでは?」と思うかもしれないが、GeForce RTX 40シリーズの「Ada Lovelaceアーキテクチャ」で追加されたフレーム補間機能を有効化すると、GeForce RTX 2070 SUPER比で平均2.6倍、GeForce RTX 3070 Ti比で平均1.7倍にまで向上する。
それでいて、TGP(グラフィックスカードの最大消費電力)は160Wと、GeForce RTX 2070 SUPER比で15W、GeForce RTX 3070 Ti比で40W削減できている。最近GPUの性能指標として出てくることが多い「消費電力当たりのパフォーマンス(ワッパ)」も明確に向上している。
絶対的な性能はもちろん、ワッパの面でもGeForce RTX 4060 Ti(8GB)は結構いい感じのゲーミングGPUではあるようだ。
このGeForce RTX 4060 Ti(8GB)の主なスペックは、以下の通りとなっている。
先にレビューした上位製品群と比べると、スペック面においていろいろと貧弱であることは事実である。しかし、Ada Lovelaceアーキテクチャにおける処理の効率化もあって、先に紹介した公式ベンチマークの結果にもある通り、過去の同等GPUと比べると確実に性能は向上している。
特に、AV1コーデックにも対応した第8世代NVENC(NVIDIA Encoder)を搭載していることは、動画の編集や書き出しをよくしている人にとっては気になる所だろう。接続バスがPCI Express 4.0 x16からPCI Express 4.0 x8となっている所も、実際のベンチマークテストでどう影響するのか見ものである。
ベンチマークテストを行う前に、今回のレビューで用いるGeForce RTX 4060 Ti 8GB Founders Editionの外観をチェックしていこう。
パッと見は、以前にレビューした「GeForce RTX 4070 Founders Edition」と大きく変わらない。しかし、シルバーのボディーカラーが“明るめ”になっている。
GPU補助電源端子は、他のGeForce RTX 40シリーズ同様に新しい「12VHPWR規格」を採用している。旧規格の電源補助ピンに変換するためのアダプターが付属していることも同様だが、GeForce RTX 4060 Ti 8GB Founders Editionでは「8ピン×1」への変換となっている。
先述の通り、GeForce RTX 4060 Ti(8GB)のTGPは160Wという設定で、電源は550W以上の出力が推奨されている。そのこともあって、8ピン×1構成でも間に合うという判断なのだと思われる。
Mini-ITXなど、小型のフォームファクタでPCを組む場合、ケーブルの数は極力少なくしたいものである。そういう状況下において、この仕様はとても助かるはずだ。
カードの厚みは、GeForce RTX 4070 Founders Editionと同じく2スロット分となっている。そのため比較的コンパクトなケースでも組み込みやすくなっている。
映像出力は、上位モデルと同様にHDMI端子×1、DisplayPort端子×3という構成だ。最大で8K(7680×4320ピクセル)/60Hz、4K(3840×2160ピクセル)/120Hzの出力も可能だが(DSC利用時)、特にゲーミングという用途を考えると、最大スペックでの出力は実用的でない。
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