メインストリームのPC(特にノートPC)において、USB4端子の装備はおおむね“当たり前”になった。その多くは「USB4 Version 1.0」に準拠しており、最大40Gbps(理論値、以下同)でのデータ通信に対応している。Intelが提唱する「Thunderbolt 4」の要件を満たすモデルも多数存在する。
しかし、いざUSB4ケーブル(※1)を買おうとすると、思った以上に高価だったりする。USB規格を定める「USB-IF(USB Implementers Forum)」の認証を取得したものとなると、なおさらだ。
なるべく高品質なUSB4ケーブルを使いたいけど高すぎる――そんな中、認証取得済みUSB4対応USBケーブルがセールで思いもよらぬ価格で販売されていた。セールは既に終了しているが、セールじゃなくても下手に家電量販店で購入するよりも手頃な価格……だったせいか、現在は品切れとなってしまっている。そしてそのケーブルは、思いもよらぬメーカーが作っていた。
購入から少し経過してしまったが、この驚きを皆さんと共有したいと思う。
(※1)USB4規格の端子形状はUSB Type-Cのみなので、本記事では「USB4対応USB Type-Cケーブル」を単に「USB4ケーブル」と呼ぶ
USB4ケーブルのほとんどは、USB4 Version 1.0の最高速度である40Gbpsでの通信に対応している。USB 3.2 Gen 2(USB 10Gbps)と比べると4倍の速度ということもあり、USB 3.2 Gen 2対応ケーブルと比べると値段も高い。
USB Type-CケーブルがUSB PD(Power Delivery)対応かつ60W以上の電流に対応する場合、ケーブルに「eMarker(イーマーカー)」と呼ばれるICチップを仕込む必要がある。60W超の電流を通すとなると使う電線の質も問われるため、60W超の電流に対応するUSB Type-Cケーブルは値段が高い。
そしてUSB Type-CケーブルがUSB-IFの認証を取得する場合、USB-IFが定める要件をしっかりと満たす必要がある。それもあってか、認証を取っていないケーブルと比べると値段は高い。
これが「USB-IF認証を取得した、60W超の電流を許容するUSB4ケーブル」となると、「より高速な通信」「高電流対策」「認証要件への準拠」の3つのコストが重なりかなり高価となる。実際にとある家電量販店に行くと、通常のメーカー品よりも手頃な自社オリジナル品であっても「50cmで5380円」「1mで6830円」と値が張る(言うまでもないが、通常のメーカー品はもっと高い)。
ある家電量販店では、トーホー(YouZipper)製のUSB-IF認証取得USB4ケーブルをオリジナルパッケージで販売している。他メーカーの同種製品よりも手頃とはいえ、50cm品で5380円、1m品で6830円と結構高い「USB-IF認証を取得した、60W超の電流を許容するUSB4ケーブル」の購入を検討して家電量販店に行った筆者だったが、オリジナルの50cm品でも5000円を超える価格では、ちょっと買うのをためらってしまう。この条件を満たすものとしては安いのは確かなのだが、頭のどこかで「高すぎる」と思ってしまうのだ。
そんな折り、ふとAmazon.co.jpを見ていたら住友電気工業(住友電工)製のUSB4 Gen 3ケーブルなるものを発見した。USB-IF認証を取得した240W電流を許容するUSB4 Gen 3(≒USB4 Version 1.0)ケーブルで、長さは約1mだ。
スペックだけ見ると、5000円台後半以上の価格なのかなと思ってしまう。しかし、このケーブルは通常価格が4000円だった。しかも、閲覧した時はたまたまセール中で、半額の2000円で販売されていた。
住友電工というと産業用の電線/ケーブル類で知られているが、実はUSB Type-CケーブルやThunderbolt 3/4ケーブルをさまざまな企業にOEM供給している。表には出てこないが、高品質なUSB/Thunderboltケーブルを作り続けてきたのだ。
あまりに安いので「これ、ホンモノなのかな……?」と疑ってしまったのだが、出品者は「住友電気工業株式会社」となっている。出品者の住所を見ても、まごうことなき“ホンモノ”だ。
これは買うしかない――売り切れないうちにと、2本購入してしまった。
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