さて……個人的には静電気センサー式ということでそれほど期待してはいなかったペンについてですが、意外にも感心してしまうところがあるので見ていきましょう。T14には別売オプションとして「デジタルペン2」が1万1880円で、T9には「デジタルペン3」が同様に1万1880円で用意されています。
T14のペンは背面に磁気で装着して充電、T9のペンは本体に装着する機能はなく、USB Type-Cケーブルで充電します。本体と一緒に持ち運びたいならば、貼り付け式のスリーブケースなどを検討するのが良いでしょう。
そして、使ってみた感想を簡単に言えば
です。
T14のペンはホバー機能もあり、遅延感も少なく、軽い筆圧から反応も自然です。ところが気になるジッター(線の揺らぎ)があり、ペンを斜めに持って書いたときに線がずれて出る現象もあります。また、デッドゾーンのような、細かい動きが捨てられるような挙動もみられます。
いずれも静電気式センサーのペンではよくある弱点で、そういう意味ではT14のペンは(残念ながら)想定通りとも言えます。一方、T9のペンでは弱点がよく抑えられていて期待以上でした。
もちろん、細かい動きをやめて少し大きくペンを動かせば普通に追従しますし、気にならないシーンも多いでしょう。とはいえ、絵を描くときや、集中して文字を書けば漢字などで気になりやすい挙動ですし、しっかり使いたいならばチェックしておくのが良いと思います。
そして、実際にT9で描いてみると悪くないです。左手に本体を持って時にはスルスルと、時にはチマチマと、意外と楽しく描けます。スルスルと描く時にはジッターの小ささが効きますし、チマチマ描く際には細かい動きに追従してくれないといけません。
「気楽に描きたいだけなので性能は重視しない」みたいな意見もあると思います。気軽に描く時の主な動機は楽しさで、微妙なペンのためにその楽しさが目減りしてしまったら元も子もありません。気軽な用途の人も、ちゃんとペンの出来を見て選んでほしいです。
どうしてこんな差が出るのかは分かりません。ペンの世代が違うからなのか、それとも大画面は技術的に難しいのか…… いずれにせよ大規模な作品作りには使わないとして、自分がどちらかをお絵描き用途を見込んで買うなら、迷わずT9を選ぶと思います。
また、T14はディスプレイを見る角度での色変位が目立ちやすいように見えました。製作用途では白くて広い面をよく表示させるので気になりやすく、大画面ではグラデーションに見えやすいため、さらに気になりやすいです。一般用途なら大きな影響はなさそうですが、気になるなら実機をチェックしておくのがよさそうです。
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