NAB9にはメンテナンス性の高さ以外にも大きな特徴がある。それが豊富な外部インタフェースの搭載だ。フロントのポートについては、USB 3.2 Gen 1 Type-Cが1ポート、USB 3.2 Gen 2 Standard-Aポートが2ポートとよくある構成だが、背面のポートが大変充実している。
背面にはUSB3.2 Gen2 Standard-Aが2ポート、HDMI出力ポートが2ポート、映像出力対応のUSB3.2 Type-Cポートが2ポート(内1ポートはUSB Power Delivery対応)、さらに2.5GbE対応の有線LAN(RJ-45)が2ポートと、背面に隙間なくインタフェースが敷き詰められている。加えて4Kの4画面出力対応なので、小型ながら1台で多画面出力の環境を構築できる。
採用されているNIC(ネットワークインタフェースカード)はIntel I226-Vなので、Linux Kernel 5.16.18ならサポートされている。例えばUbuntu 22.04.2 LTSやProxmox VEを導入して自宅サーバとして運用できる点も玄人的にはうれしい点だ。
冒頭でも紹介したように、NAB9は第12世代のノートPC向けCPUとなるCPUにCore i9-12900HK、GPUはIntel Iris Xe Graphics eligibleを搭載している。いわゆる「K」付きなので、仕様上はオーバークロックに対応しているはずだが、NAB9は意図的にオーバークロックをオミットしているようだ。Intel Extreme Tuning Utilityで「Optimize Power & Current Limits」が実行できなかった。
そもそも、デフォルト設定値でIntel Extreme Tuning Utilityのベンチマークを実行すると、Package Temperatureが最大で85度を示す。この本体サイズに収められていると考えると、オーバークロックは現実的に厳しいと考えられる。
NAB9に搭載されているCore i9-12900HKは、PBP(Processor Base Power)は45Wだが、MTP(Maximum Turbo Power)は115Wと、モバイル向けCPUとしてかなり高めの設定になっている。そんなこともあってか、ACアダプターの出力は120.08WとミニPCとしては高出力のACアダプターが付属する。
今回、ベンチマークテストを実施する際にワットチェッカーを利用して、アイドル時と高負荷時の消費電力の実数値を計測してみたので、早速紹介したい。
アイドル時は平均約13.2Wで推移するものの、高負荷時はピーク時の消費電力が約103Wを示している。ミニPCとしてみるとやはりモンスターマシンと言えそうだ。とはいえ、アイドル時の消費電力量はIntel N100といったような、省電力CPUとほぼ変わらない値を示すため、24時間つけっぱなしにしたからと言って、電気代が跳ね上がるということもない。
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