Apple Intelligenceの発表で一番感心したのが、Appleが自らに課したAIとOSの統合における5原則をティム・クックCEOが真っ先に語ったことだ。さすがデザイン重視の会社だと思った。5原則の内容は以下の通りだ。
パワフルであることは、例えばこんな例から分かる。
Siriに「母親が空港に到着するのは何時だっけ?」と尋ねれば、自分の母親が誰かを認識した上で、飛行機の到着遅れといった最新情報も加えて到着情報を教えてくれる。
「ランチの約束は何時だっけ?」と聞けば、カレンダーに登録していなくても母親とのメッセージのやりとりの中にあったランチの予約に関する情報を見つけ出し、その部分を表示してくれる。
さらに会議の開始が後ろ倒しされるというメールが届くと、Apple Intelligenceは会議後に予定されている子供の学芸会に間に合うか、といったことを渋滞情報なども加味した形で検討し、適切にアシストしてくれる。しかも、子供との過去のメッセージのやりとりから、学芸会での演目が何であるかも把握している。
これまではこうしたことを把握するには、メール/メッセージ/カレンダー/マップなど複数のアプリを行き来して自分で確認、判断する必要があったが、Apple Intelligenceなら一機能であるSiriに尋ねるだけで簡単に全体の状況を把握できる。
ユーザーのパーソナルな情報を理解しているからこそできる、こうした有益なアシストは、実は他社のAI統合OSでもできるかもしれない。しかし、ここで違いを生み出すのが、Appleがこれまで声高に主張し守ってきたプライバシー保護の姿勢への実績と信頼だ。
プライベートな個人情報を、よく知らない企業のAIサービスに預けるやり方には疑問を投げかけるセキュリティの専門家も多い。例えば、そうしたAIとの通信を傍受されて詐欺に使われる心配や、AIがうっかり学習したプライベートな情報を誰かに漏らしてしまうといった懸念もつきまとう。
Appleはできるだけ通信を行わず機器内で処理を行い、どうしても通信を行う場合でもやりとりする情報量を最小限にとどめるというプライバシーに関するデザインの原則を持っている。
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