「えー? 結局のところ、ゲリラ豪雨みたいな土砂降りのときにIP53のFZ-55は使えるの? 使えないの?」
というわけで、雨が降る梅雨空の中、船に持ち出してFZ-55の使用感を検証してみた。評価作業を始めた当初、梅雨独特の「しとしとじめじめといつまでも降り続ける雨」のフィールドテストになると思っていたのだが……。
雨雲レーダーに、“赤色”のエリアがいきなり発生して実験海域に近づいてきた。赤色はすなわち1時間当たりの降水量が50mmを超える「激しい雨」の予報だ。図らずも「IPX3で耐えられる?」としていたギリギリの降水条件での評価作業となった。
50mmを超える激しい雨となったのは正味30分程度だ。たたきつけるように雨粒がFZ-55に降り注ぎ、ボディーに当たってしぶきを上げるほど。しかし、そのような状況でもFZ-55は正常に起動し続け、キータイプを正確に認識し続けた。
「なんだ、やるじゃん。いろいろな意味で“ライト”になったとはいえ、さすがTOUGHBOOK!」
しかし、この激しい雨の中、ポインティングデバイス系の操作が全く効かなくなった。タッチパッドもディスプレイに組み込まれたタッチパネルも、激しくたたきつける雨粒に惑わされて指の静電容量が認識できなくなり、Windowsの操作がほぼできなくなってしまった。
FZ-55は本体にペンホルダーを備えており、そこに収納したスタイラスペンもすぐに取り出せるが、そのペンオペレーションも不可能だった。
TOUGHBOOKにはディスプレイに組み込んだタッチパネルの“感度”を調整して、ディスプレイがぬれた状態でも操作を可能にする「水滴誤動作防止」モードを用意しているが、その設定のためにもポインティングデバイスによる操作が必要だ。今回のように予想外の激しい雨に遭遇した場合は対処が困難と感じた。
ただ、これはFZ-55だけの問題ではなく、TOUGHBOOK、いや、タッチパネルデバイスを必須とする頑丈デバイス共通の課題でもある。激しい雨の中でも使うことを想定するのであれば、ポインティングデバイスに相当するキーを用意することを検討すべきではないだろうか。
──そんな話をパナソニックの開発担当者に以前伝えたところ、「うーん、コストとの兼ね合いで」と積極的に対応できない理由を聞かされてはいるのだが。
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