FZ-55のディスプレイサイズは14型で、最大解像度は下位構成のFZ-55G2601Aは1366×768ピクセル、上位構成のFZ-55J2601AJとFZ-55J260KAJは1920×1080ピクセルとなっている。後者はFZ-40と同様だ。
上位構成でFZ-40と共通する項目は他にもある。パネル表面には非光沢処理を施し、同時10点認識に対応した静電容量式マルチタッチパネルを組み込んでいること。さらに最大輝度が約1000ニト、そして最小輝度は約1ニトまで対応する(ちなみに下位構成は最大輝度が約220ニト、そして最小輝度は約10ニト)。
最大輝度はフィールドワークにおける大きな意味を持つ。以前掲載したTOUGHBOOK FZ-A3Aのレビュー記事でも検証したように、十分な輝度がないと白昼下での視認が困難になる。
FZ-A3Aの検証では、最大輝度が800ニトのディスプレイで8月下旬の午後1時に細かい文字まで明瞭に判読できていたので、それを上回る1000cd/平方メートルのFZ-55も十分に視認できると思われる。
最小輝度も夜間のフィールドワークでは重要になる。夜間に明るいディスプレイを見た直後、視線を外して周囲を確認しようと思っても、いったん絞られた瞳孔では暗闇の中の状況を認識できるようになるまで時間を要してしまう。
暗所で使う照明やディスプレイには赤色で発光する夜間モードを備えていることが多い。潜水艦を題材にした映画やフィルムを現像する暗室の照明(といってもデジタルカメラしか知らない人は暗室も知らないか)で見る赤色灯をイメージすると分かりやすい。
波長の長い光は目に対する刺激が弱く、瞳孔があまり閉じないため、光から視線をそらした直後でも暗いところの認識が比較的容易で周囲の状況をすぐ把握できる。夜間の野外行動では必須の機能だ。
FZ-55も夜間モードが用意されており、最小輝度と先ほど紹介したように1cd/平方メートルまで下げられる。
加えて画面エフェクトとして画面の色をプリセットされているカラーから選ぶことができるので、「赤」を指定して赤色灯に照らされた色味を再現することが可能だ。なお、画面エフェクトでは、赤以外にも灰、緑(ナイトビジョンを想定)、橙(アンバーライトを想定)、そしてブルーカット設定(20%と40%)が用意されている。
FZ-55はフィールドワークに用いることを想定した業務用ノートPCなので、利用できるインタフェースの種類は幅広い。それこそ、日本のオフィスでも利用する機会がほとんどなくなったシリアルポートやアナログRGB出力に関しても測定機器や観測機器を接続する機会が少なくない。
TOUGHBOOKシリーズでは以前より、モジュールユニットを用意して、本体に脱着することで幅広い種類のインタフェースを利用できるようにしてきた。
FZ-55はボディー形状が新規となったため、これまで用意されてきた他のTOUGHBOOKシリーズ用インタフェースユニットは利用できない。しかし、モジュール式のインタフェースユニットを専用で用意している。
本体標準構成ではHDMI出力にUSB 3.2 Standard-Aを2基、USB 3.2 Type-C、有線LAN(RJ-45)、そして、ヘッドフォンマイク端子にmicroSDメモリーカードスロットを用意している。そして、オプションのインタフェースユニットには現時点でアナログRGB出力にUSB Standard-A、そしてシリアルポート(RS-232C)を選べる。
インタフェースユニットの脱着はワンタッチではなく、4カ所のネジで固定する。本体搭載インタフェースはカバーで覆った状態でIP53準拠の防塵防水となるが、使用中は防塵防水とならないのは他のTOUGHBOOKと同様だ。
なお、他のTOUGHBOOKはインタフェースカバーを開くときに「いったん下げて」「それからカバーを開ける」といったダブルロック機構を備えていたが、FZ-55では“爪”で固定された硬性ゴム製のカバーを「えいやっ」と力強く外すといったワンアクションで開くようになっている。
以上のように、本体に載せたインタフェースは使用時に防塵防水が“無効”になる。過酷な環境でも使用し続ける必要があるなら無線接続に頼るしかない。
FZ-55では無線接続インタフェースとしてWi-Fi 6EとBluetooth 5.3が利用できる。さらに、最上位構成ではモバイル通信(WWAN)にも対応し、LTE対応のnanoSIMスロットに加えてeSIMも利用できる。なお、その最上位構成では人工衛星による位置即位モジュールも組み込んでいる(対応するのはGPSの他にGLONASS、Galileo、BeiDou、そして準天頂衛星システム「みちびき」ことQZSS)。
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