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保護等級“IP53”の「TOUGHBOOK FZ-55」は“激しい雨”で使い物になるのか?(4/5 ページ)

» 2024年07月29日 17時01分 公開
[長浜和也ITmedia]

アウトドアなら「明るくて暗い」ディスプレイは必須

 FZ-55のディスプレイサイズは14型で、最大解像度は下位構成のFZ-55G2601Aは1366×768ピクセル、上位構成のFZ-55J2601AJとFZ-55J260KAJは1920×1080ピクセルとなっている。後者はFZ-40と同様だ。

photo ディスプレイサイズは14型で解像度は1920×1080ピクセル

 上位構成でFZ-40と共通する項目は他にもある。パネル表面には非光沢処理を施し、同時10点認識に対応した静電容量式マルチタッチパネルを組み込んでいること。さらに最大輝度が約1000ニト、そして最小輝度は約1ニトまで対応する(ちなみに下位構成は最大輝度が約220ニト、そして最小輝度は約10ニト)。

 最大輝度はフィールドワークにおける大きな意味を持つ。以前掲載したTOUGHBOOK FZ-A3Aのレビュー記事でも検証したように、十分な輝度がないと白昼下での視認が困難になる。

 FZ-A3Aの検証では、最大輝度が800ニトのディスプレイで8月下旬の午後1時に細かい文字まで明瞭に判読できていたので、それを上回る1000cd/平方メートルのFZ-55も十分に視認できると思われる。

 最小輝度も夜間のフィールドワークでは重要になる。夜間に明るいディスプレイを見た直後、視線を外して周囲を確認しようと思っても、いったん絞られた瞳孔では暗闇の中の状況を認識できるようになるまで時間を要してしまう。

 暗所で使う照明やディスプレイには赤色で発光する夜間モードを備えていることが多い。潜水艦を題材にした映画やフィルムを現像する暗室の照明(といってもデジタルカメラしか知らない人は暗室も知らないか)で見る赤色灯をイメージすると分かりやすい。

 波長の長い光は目に対する刺激が弱く、瞳孔があまり閉じないため、光から視線をそらした直後でも暗いところの認識が比較的容易で周囲の状況をすぐ把握できる。夜間の野外行動では必須の機能だ。

photo Panasonic PC設定ユーティリティーの「Day Night Mode」を使えば夜間に適した色彩でディスプレイを利用できる
photo 夜間モードでデフォルトの明るさ
photo 同じ撮影条件で最も暗い設定にしたディスプレイ。完全暗所ではこの明るさでも表示を十分把握でき、かつ、周囲の状況も視認できる

 FZ-55も夜間モードが用意されており、最小輝度と先ほど紹介したように1cd/平方メートルまで下げられる。

 加えて画面エフェクトとして画面の色をプリセットされているカラーから選ぶことができるので、「赤」を指定して赤色灯に照らされた色味を再現することが可能だ。なお、画面エフェクトでは、赤以外にも灰、緑(ナイトビジョンを想定)、橙(アンバーライトを想定)、そしてブルーカット設定(20%と40%)が用意されている。

photo 画面エフェクトで用意しているモードの種類
photo キーボードのピッチは実測で約19mm、キートップサイズは約15.5mm。キーストロークは実測で約1.7mmを確保
photo タッチパッドサイズは85.5×45mm。独立したクリックボタンを用意する。グローブをはめた状態でも操作が容易なようにタッチパッドから距離を離している

インタフェースのモジュールコンセプトは継承

 FZ-55はフィールドワークに用いることを想定した業務用ノートPCなので、利用できるインタフェースの種類は幅広い。それこそ、日本のオフィスでも利用する機会がほとんどなくなったシリアルポートやアナログRGB出力に関しても測定機器や観測機器を接続する機会が少なくない。

 TOUGHBOOKシリーズでは以前より、モジュールユニットを用意して、本体に脱着することで幅広い種類のインタフェースを利用できるようにしてきた。

 FZ-55はボディー形状が新規となったため、これまで用意されてきた他のTOUGHBOOKシリーズ用インタフェースユニットは利用できない。しかし、モジュール式のインタフェースユニットを専用で用意している。

 本体標準構成ではHDMI出力にUSB 3.2 Standard-Aを2基、USB 3.2 Type-C、有線LAN(RJ-45)、そして、ヘッドフォンマイク端子にmicroSDメモリーカードスロットを用意している。そして、オプションのインタフェースユニットには現時点でアナログRGB出力にUSB Standard-A、そしてシリアルポート(RS-232C)を選べる。

photo 正面。本体の“厚さ”は32.8mm
photo 背面には標準構成でUSB 3.2 Standard-AとHDMI出力を備える。通常はカバーで覆われている
photo 底面カバーを開けるとシステムメモリ、SSD、そして、オプションのインタフェースモジュール収容スペースにアクセスできる
photo 左側面は標準構成でインタフェースを用意していない
photo 左側面には光学ドライブを搭載できる機構があるが、国内では非搭載モデルのみ展開となる
photo 右側面には有線LAN(RJ-45)も。Thunderbolt 4、USB 3.2 Standard-A、microSDメモリーカードスロット、ヘッドフォンマイクコンボ端子を搭載する。こちらも通常はカバーで覆われる(ペンホルダーを除く)
photo 右側面にはスタイラスペンのホルダーもある。プッシュ式でペンを押せばこのように飛び出してくる
photo バッテリーは左右に搭載できる。標準構成では左側面の1基だけで右側面にはダミーを装着する。バッテリー1基の容量は6300mAh(10.8V)で駆動時間はJEITAバッテリー動作時間測定法(Ver3.0)の動画再生時で約8時間
photo ディスプレイは最大で180度まで開く
photo ACアダプターの実測によるサイズは145(幅)×52(奥行き)×30.5(高さ)mm、重さ499g。

 インタフェースユニットの脱着はワンタッチではなく、4カ所のネジで固定する。本体搭載インタフェースはカバーで覆った状態でIP53準拠の防塵防水となるが、使用中は防塵防水とならないのは他のTOUGHBOOKと同様だ。

 なお、他のTOUGHBOOKはインタフェースカバーを開くときに「いったん下げて」「それからカバーを開ける」といったダブルロック機構を備えていたが、FZ-55では“爪”で固定された硬性ゴム製のカバーを「えいやっ」と力強く外すといったワンアクションで開くようになっている。

photo 軽くなったとはいえ本体の重さは2kgを超える。ハンドキャリーを本体に備えているので持ち運びが容易だ
photo キャリーハンドには電源インジケーターと共に左右バッテリーインジケーターも用意している

 以上のように、本体に載せたインタフェースは使用時に防塵防水が“無効”になる。過酷な環境でも使用し続ける必要があるなら無線接続に頼るしかない。

 FZ-55では無線接続インタフェースとしてWi-Fi 6EとBluetooth 5.3が利用できる。さらに、最上位構成ではモバイル通信(WWAN)にも対応し、LTE対応のnanoSIMスロットに加えてeSIMも利用できる。なお、その最上位構成では人工衛星による位置即位モジュールも組み込んでいる(対応するのはGPSの他にGLONASS、Galileo、BeiDou、そして準天頂衛星システム「みちびき」ことQZSS)。

photo ディスプレイ情報には有効画素200万画素のWebカメラを備える
photo ハードウェアレンズカバーがあるので不意の顔出しを防げる

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