従来のクラムシェルスタイルのTOUGHBOOKから外観が大きく変わったFZ-55だが、その中身はある意味“保守的”といえる。CPUは第13世代のCore i5-1345Uを採用する。
システムメモリの容量は16GB(DDR4-3200)、ストレージ512GBのSSDを組み込んでいる。接続バスはPCI Express 4.0 x4(NVM Express 1.4)で、レビューした評価用機材には、キオクシアの「KBG5AZNV512G」が搭載されていた。
FZ-55の処理能力をベンチマークテストでチェックしてみよう。今回評価機材の構成は以下の通りだ。
PCの総合性能をチェックする「PCMark 10」の結果は以下の通りとなった。
CPUがTDP 15WのCore i5と省電力を重視したミドルレンジクラスだが、それでも、2022年に登場した省電力タイプの第12世代Core i5搭載モバイルノートPCを上回るスコアを出している。TOUGHBOOKシリーズがカバーする用途を考えると、必要十分な性能を備えているといえる。
レンダリングを通してCPUの性能をチェックする「CINEBENCH 2024」では、マルチスレッドのスコアが445ポイント、シングルスレッドのスコアが102ポイントとなった。
こちらも第12世代Coreプロセッサファミリーと比較するとその上位クラスで、かつ処理能力を重視した“P”タイプのCore i7-1280Pのスコアを上回っている。
最後に、内蔵ストレージの性能を「CrystalDiskMark 8.0.5」でチェックした。
シーケンシャル(SEQ1M Q8T1)の読み出しは毎秒3164.52MB、書き込みは2721.87MB、ランダム(RND4K Q32T1)の読み出しは毎秒453.33MB、書き込みは358.22MBとなった。
PCI Express 4.0 x4接続のSSDとしてはミドルレンジデバイスに相当する速度で載せているSSDがミドルレンジモデルなのを考えると妥当なスコアといえるだろう。
「重くて取り回しが大変! もっと軽くて安いTOUGHBOOKを!」という声に応えるべく開発されただろうFZ-55は、確かに数値的にはコンパクトになって軽く、そして価格も下がった(TOUGHBOOKとしては)。
そのトレードオフとして、TOUGHBOOKの存在理由であった頑丈さはMIL-STD-810H準拠は変わらないものの、耐衝撃テストの条件と防塵防水指標である保護等級が数値上はTOUGHBOOKラインアップの中で最も低いレベルとなった。
調達資金を少しでも切り詰めたい組織にとって、従来の“TOUGHBOOK比”とはいえ価格が下がったメリットは大きいだろう。上位構成なら晴天下でも夜でも見やすいディスプレイも貴重な存在といえる(暗いディスプレイを搭載するモデルは意外と少ない)。
以上のトレードオフをどのように評価するか。そこがFZ-55を選択するか否かの最大のポイントとなる。
取りあえず、実際の検証において、日本気象協会が「激しい雨」と表現する1時間当たり降水量50mmの状況で正常に動作し続けたのは確認できた。ただ、先に説明したようにIPX3の試験条件は上方からの降水しか想定していない。より安全を見るなら、本体下面側は跳ね返りの水の侵入を防ぐ工夫を施すのがいいだろう。
【訂正:2024年7月30日午後12時20分 記事初出時、国内モデルにおける光学ドライブの有無と、ハンドキャリーに関する部分の重さの記載が誤っておりました。訂正しておわびいたします。】
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