ベンチマークテストの結果を見よう。特に言及がない限り、オペレーションモードは「パフォーマンス」を選んで計測している。
CINEBENCH 2024(最低実行時間10分)のCPUスコアは、643ptsだった。Snapdragon X Elite X1E-78-100(12コア)を採用する「Vivobook S 15(S5507QA)」の6割程度のスコアで、コア数なりの差はあるが、Core Ultra 7 165H搭載機やRyzen 7 8840U搭載機のスコアを上回っているように、モバイル機としては十分に高いスコアだ。
また、CPU(シングルコア)ではSnapdragon X Elite X1E-78-100搭載機と互角以上の良いスコアが出ており、シングルスレッド処理時にしっかりブーストが機能していることが分かる。Word/Excel/PowerPoint/Edgeを利用したオフィス作業のシミュレートであるPCMark 10 Applicationsのスコアも上々だ。
一方、GPUについては公称性能が半分以下に低下しているだけあって、グラフィックス性能には相応の影響が見られる。3DMarkのスコアは、Snapdragon X Elite X1E-78-100搭載機の半分前後にとどまる。
また、バッテリー駆動時間は、PCMark 10/Applications Battery Lifeでの実測で約18時間57分(ウィスパーモード/画面輝度は50%)だった。Snapdragon X Plus X1P-42-100の電力効率の良さと70Whの大容量バッテリーの組み合わせで、長時間使えることを実証している。
動作音も静粛な部類に入り、特にウィスパーモードでは高負荷時を含めて常に静かだ。キーボードが本体から独立しているため、高負荷な処理をしてもパームレストなどが不快な熱を持つこともなく、快適に利用できる。
ここまで、ProArt PZ13(HT5306)について詳しく見てきた。Snapdragon X Plus X1P-42-100のパワーと電力効率を生かしつつ、色再現性の高い有機ELディスプレイを採用し、オートフォーカス対応の約1324万画素アウトカメラやSDメモリーカードスロットの搭載、ペンの標準装備など、ProArtシリーズらしくクリエイティブ向けの要素を盛り込んだ製品となっている。
ペンでの入力しやすいスタイルで使えるため、クリエイターなど新しいAIアプリとの相性も良い。Armアーキテクチャゆえ、互換性の課題やGPU性能から本格的なクリエイティブワークでは不都合が出る可能性があるが、アクティブに持ち歩いて、新しいAIやクリエイティブでの作業、エンタメをカジュアルに楽しめる製品となっている。
希望小売価格は24万9800円だ。CPUはSnapdragon X Eliteシリーズの下位モデル搭載機としては少し高価だが、上記の付加価値を考えると理解できるところだろう。新しいAI体験が可能なCopilot+ PCの選択肢として魅力的な存在だ。
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