それでは実際の製品を使って、もっと細かい部分を見ていこう。
まずは充電と持ち運び用のケースからだ。ケースは従来の第3世代AirPodsと比べて1回り小さくなった。ANCモデルはワイヤレス充電対応ヘッドフォンケースとしては世界最小だそうだ。
非常にAppleらしい変化もある。LEDインジケーターの穴と再ペアリング用のボタンがケースから消えたのだ。製品の要素を減らして、少しでもシンプルにしていくのは同社の伝統で、元々1ボタンだったMacのマウスからボタンを無くしてしまったり、長い間、iPhoneの象徴だったホームボタンも無くしてしまったりした。
充電中を示すLEDインジケーターは、本体の内側からケースを透過して光る仕様になった。またAirPodsを他のiPhoneとペアリングする際には、これまでのようにボタンを押す代わりにケースのフタが開いた状態で、本体の手前をトントンと2回指で叩く仕様になった。
操作方法が可視化されていないため分かりにくいといえば分かりにくいが、今時のユーザーは特殊な操作をどうしたら良いか悩んだら検索する人が増えてきたので。それほど大きな問題にはならないだろう。
ケースの変化で言うと、実は1カ所だけ基本モデルかANCモデルかを区別できるポイントがある。ケースの下に3つのスピーカー穴(とその反対側に空気を通して音の反響をよくする穴)があるか否かだ。
ANCモデルはケースを紛失した際、iPhoneを使ってどっちの方向にあるかを調べたり、音を鳴らしたりして探すことができる。その際、このスピーカーから聞こえやすく見つけやすい音が出る。
デザイン的に最も進化したのは、耳に装着するイヤピースだ。何千もの耳の形状や5000万以上のデータを元に形を見直し、どんな耳にもフィットしやすくなった。耳の形は1人1人大きく違うため、万人のための評価はできないが、筆者の耳でもこれまで以上にしっかりフィットし固定できるようになった。第3世代と見比べると一部の局面がより細くなって鋭角になっているように見える。
最大の特徴であるアクティブノイズコントロールも試してみたが、確かに部屋のエアコンの音や機械が発するノイズ音、工事現場の音などがきれいに消え去るのでまるでAirPods Proのようだ。
もちろん、イヤーチップで耳の隙間を密閉するAirPods Proと直接聞き比べるとProの方が上で、特に高音のノイズなどはあまりキャンセルできず、例えば地下鉄の発着時に出るブレーキの高音などはAirPods Pro 2よりもはっきりと聞こえるが、それでも3万円を切る製品による日常使いのノイズキャンセリングとしては十分以上の品質に感じた。
AirPods 4には「頭のジェスチャ」という新しい操作方法も加わっている。AirPodsを利用していると「メッセージ/メールが届きました読み上げますか?」といった具合にSiriから音で通知を受けることがある。電車の中などにいて声を出せない時、この機能をオンにしておけば首を縦に振ることで「はい」、横に振って「いいえ」の返答をすることができる。
こういった機能は、高性能なH2プロセッサ搭載によって実現している。同プロセッサ搭載のもう1つの恩恵は、雑音がうるさい場所で通話をしても、マイクがユーザーの声だけを分離して相手に届けてくれる「声だけを分離」での通話が可能な点だ。
もはや、進化の余地などないと思っていた標準AirPodsが、まだまだこれだけ進化できたことには正直驚かされた。
しかし、最後に紹介するAirPods Pro 2の進化はさらにすごいので、そちらもぜひ注目して欲しい。
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