アイ・オー・データのマルチメディアディスプレイ「GigaCrysta」は10周年 新モデルを先行展示東京ゲームショウ2024

» 2024年09月29日 14時00分 公開
[井上翔ITmedia]

 9月29日まで、幕張メッセ(千葉市美浜区)で「「東京ゲームショウ2024」が開催されている。

 PC用周辺機器大手のアイ・オー・データ機器は、本イベントにおいてマルチメディアディスプレイ「GigaCrysta(ギガクリスタ)」にフォーカスしたブースを出展している。2024年で10周年を迎える同ブランドのディスプレイだが、ブースではその歩みを確認できる。

ブース アイ・オー・データ機器のブースは、GigaCrystaブランドのディスプレイに特化した展示となっている

ブランドが生まれたきっかけは「技術譲受」

 GigaCrystaという名前を聞いて、かつて三菱電機が販売していたマルチメディアディスプレイ「Diamondcrysta(ダイヤモンドクリスタ)」を思い出した人は察しが良い。

 アイ・オー・データ機器のGigaCrystaブランドは、同社が三菱電機から個人向け(≒マルチメディア)ディスプレイの技術(事業)を譲受したことがきっかけに生まれたブランドだ。2014年10月に発売されたGigaCrystaブランドの初号機は、Diamondcrystaブランドの最終製品がベースとなっている。

 今回のブース出展では、そのGigaCrystaブランド初号機の“基板”も展示されている。

GigaCrystaの基板 GigaCrysta初号機の基板。三菱電機から受け継いだDiamondcrystaブランドの最終製品の基板をベースとしており、ここをルーツに進化を続けていくことになる

 基板の展示の横にある壁面には、GigaCrystaブランドの大まかな歩みが記されている。壁面の展示にもあるように、昨今のGigaCrystaは“ゲーミング”向けとされているが、一部モデルにはワイヤレスリモコンが付属しており、マルチメディアディスプレイとしてのDiamondcrystaの名残を今も残している。

 GigaCrystaになってから「もう10年なのか」と見るか、「まだ10年なのか」と見るか――人によって意見は分かれそうだ。

歴史のウォール 三菱電機からの事業(技術)承継から10年――筆者個人としては「もうそんなにたったのか」と感慨深い

展示のメインは「10周年記念モデル」「Mini LEDモデル」

 GigaCrystaに集中したアイ・オー・データ機器ブースの展示だが、メインは「ブランド10周年記念ゲーミングディスプレイ」と「Mini LEDディスプレイ」だ。

表示領域を狭められる「LCD-GCQ271UD」

 「LCD-GCQ271UD」は、GigaCrystaとしては初めて表示領域を狭める機能を備えた27型液晶ディスプレイだ。パネル解像度はWQHD(2560×1440ピクセル)で、リフレッシュレートは最大240Hz、応答速度は0.2ミリ秒(中間域)というスペックを備える。10月中旬に発売される予定で、直販価格は7万6780円だ。

LCD-GCQ271UD GigaCrysta LCD-GCQ271UD

 表示領域を狭める機能は「Focus Mode(フォーカスモード)」と呼ばれており、有効にすると表示領域が24型相当になる。これは特にFPS(一人称視点のシューティング)ゲームをプレイする際に視認性が向上することから、大画面のゲーミングディスプレイではトレンドになりつつある機能だ。

 ただ、同社製品の場合、非表示となる領域に工夫を加えている。錯視描写をしているのだ。担当者によると、単純に非表示にするよりも画面により集中しやすくなる効果があるといい、専門家の意見を踏まえて導入したという。

 確かに、実際にFocus Modeを試してみると、単に非表示とした場合と比べて画面に集中しやすくなる。表示領域を狭める機能を備えるディスプレイ全てに導入してほしいレベルだ。

錯視 画面表示領域を狭めるFocus Modeでは、非表示領域にあえて錯視描写をすることで、画面により集中しやすくしている。筆者は「え、まさかそんなことがあるのか」と疑問を持っていたのだが、実際に試してみると効果は抜群だった
ポート類その1 映像入力は、HDMI 2.1端子×3(VRR対応)、DisplayPort端子とUSB Type-C端子(DisplayPort Alternate Mode)を備えている。USB Type-C端子はUSB 2.0ハブ機能(KVM対応)のアップストリーム端子を兼ねているが、給電能力が5V/1.5A(最大7.5W)となるため、USB PD(Power Delivery)対応のノートPCへの給電には事実上使えない
側面 左側面にはUSB 2.0 Standard-B端子(アップストリーム用)、USB 2.0 Standard-A端子×2とヘッドフォン出力端子を備えている。HDMI端子に接続するPCなどでKVMを利用する場合は、こちらのUSB 2.0 Standard-B端子を利用することになる

アイ・オー初のMini LED液晶ディスプレイ「LCD-LDQ271JAB」

 「LCD-LDQ271JAB」は、アイ・オー・データ機器としては初めて、Mini LEDバックライトを適用した液晶パネルを採用した27型液晶ディスプレイだ。10月上旬に発売予定で、直販価格は6万4800円となる。

 本製品はGigaCrystaブランドではない。しかも、アイ・オー・データ機器の直販サイトでは“法人向け”のカテゴリーで販売されている(参考リンク)。

 なぜゲームショウで展示されているのだろうか……? その理由は、スペックを子細に見ていけば分かる。

LCD-LDQ271JAB LCD-LDQ271JAB

 本製品はWQHD解像度のAHVAパネルを採用し、576ゾーンのローカルディミング(局所輝度調整)に対応している。HDR(ハイダイナミックレンジ)の表示に強みがあり、VESAの「DisplayHDR 1000」認証も取得している。この認証からも分かる通り、ピーク時の輝度は1000ニトとなっている(※1)。色域はDCI-P3を99%カバーしており、約10億色の表示に対応する。

(※1)SDR表示時のピーク輝度は450ニトに設定されている

 ここまでのスペックを見る限り、「映像のきれいさを重視する人や、映像クリエイターに向けた製品なのかな?」という感じがするこのディスプレイだが、実はリフレッシュレートは最大180Hz、応答速度は最短1ミリ秒で、表示同期技術「NVIDIA G-SYNC」にも対応している。ゲーミングディスプレイとしても活用できるスペックを備えているのだ。

 現に製品情報のページでは「180Hzの高リフレッシュレートでゲームへの没入感を体感頂けます」と明記されている。また、本製品に付属するスタンドはチルトや高さ調整だけでなくビボット(縦旋回)も可能だ。

 1台のディスプレイでいろんなことを楽しみたいという人にピッタリな製品といえる。

背面 本製品はGigaCrystaブランドではない。法人販売も想定しているせいか、見た目も落ち着いている
ポート類 映像入力はHDMI 2.1端子×2(VRR対応)とDisplayPort端子を備え、ヘッドフォン出力端子もある。なお、本製品は電源が外付け(ACアダプターからの給電)となる

白いGigaCrystaも発売予定

 上記2製品は既に発表済みで、直販サイトで予約を受け付けている。それ以外に、参考出展として「LCD-GD242UDW」なる製品も展示されていた。

 型番から分かる人もいるかもしれないが、LCD-GD242UDWはGigaCrystaブランドの23.8型フルHD液晶ディスプレイ「LCD-GD242JD」のパワーアップモデルかつGigaCrystaブランド初のホワイトカラーをまとっている。

 パワーアップポイントは、液晶の最大リフレッシュレートが180Hzから240Hzに引き上げられたことだ。そしてホワイトカラーは「ホワイトでゲーミングPCをコーディネートする人が増えてきた中、『GigaCrystaにもホワイトモデルが欲しい』との要望が増えた」(担当者)ことに応えたのだという。

 本製品は今後、正式発表が行われる予定だ。

LCD-GD242UDW 今後正式発表される予定のLCD-GD242UDW。LCD-GD242JDのパワーアップモデルにして、GigaCrystaブランド初のホワイトボディーの製品だ
背面 当たり前かもしれないが、背面もしっかりと白い。なお、今回展示されたのは製品化過程における試作品とのことで、ボディーについては仕様変更が行われる可能性があるという

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