ビジネスPCの多くは持ち運びしやすいノートPCを採用することがほとんどだが、一昔前と比べると、どのモデルも薄型/軽量化を実現していることが多い。
その理由の1つとして、昨今発売されているビジネスPCは、一昔前と違ってほぼ全てのモデルでSSDが採用されている。SSDはHDDと比べると、モーターなどの可動部品がなく、基板とチップのみで構成されるため、非常に薄く、低電力で高速なストレージを実現できる。
さらに、最近のモデルはSSDを搭載するスロットを用意せずに、システムボードに直接はんだ付けすることで、製造過程の効率化とPC本体のさらなる薄型化を実現している。
メーカーの視点だけでなく、ユーザーの視点から見ても、省電力かつ高速で、薄くて軽いとなれば非常に大きなメリットを受けられる。
しかし、その一方でメーカー出荷時からシステムボードにSSDがはんだ付けされているということは、後から大きな容量のSSDに交換するといったことができない。
そのため、ストレージ容量が足りなくなったら不要なファイルを削除するか、PCの買い換えが必要となってしまう。よってストレージを選定する場合、余裕を持った容量を確保することが非常に重要だ。
他のパーツを選ぶときにも実施している内容だが、社内の業務を洗い出し、業務でどの程度のデータを扱うのかを検討し、3〜4年の間で容量不足に陥らないような見積もりを立ててから、ストレージのサイジングを必ず行うようにしたい。また、ストレージ容量はファイルを保存するだけでなく、アプリケーションのアップデートや仮想メモリにも使われる。あまりにも容量が少ないと、アプリの起動や動作不良にも繋がるため、かなり余裕を持たせたほうがよい。
さて、ストレージのサイジングを行った上で、必要な容量が分かったとして次に立ちふさがる壁は、SSDのコストではないだろうか。
例えば、富士通の13.3型ビジネスノートPC「LIFEBOOK U9313/NW(Core i5)」を購入検討したとして、必要なSSDの容量が1TBだったと仮定しよう。BTOでストレージのカスタマイズを行い、SSDを1TBに変更すると、4万9500円の追加費用が発生する(記事執筆時点)。
予算に余裕があり、SSDカスタマイズの費用が許容できるのであれば、そのまま発注すれば良いのだが、予算に余裕がない場合はどうすれば良いだろうか。
この場合、「CPUのモデルをダウングレードする」「薄型軽量なモデルの採用を諦める」といった選択肢もあるが、あらためてデータの保存方法について再考するということも提案したい。
例えば、PCローカルで全てのデータを管理するのではなく、「社内にファイルサーバを用意して、使用頻度が低いデータを退避する」「法人向けクラウドストレージを契約して、データの保存場所として利用する」といった方法を採用すれば、本体のストレージ容量をそこまで大きくしなくても問題ないケースもある。
むしろ、手元のPCにしかデータが無い状態が横行すると、PC故障時にデータが消失するリスクもあるため、必ずしも業務で取り扱う全てのデータを保存できるPCを用意する必要はないともいえる。
ストレージのサイジングは、扱うデータのサイズがどれほど膨れ上がるのか、ファイルサーバやクラウドストレージの有効活用など、検討事項が非常に多く意外と面倒なのが正直なところだ。
しかし、冒頭でも述べた通り、最近のモデルはストレージが換装できないため、ストレージのサイジングを中途半端に行うと、後で取り返しの付かない状態に陥るため、面倒くさがらずに丁寧なサイジングを心掛けるようにしよう。
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