AYANEO FLIP KBは“ポータブルゲーミングPC”をうたっている製品だ。ベンチマークテストの結果は前編で紹介した通りで、AAAタイトルを遊ぶのに「最高画質」は望めないが、標準画質であったとしても、外出先でプレイする分には十分だろう。その上で、快適に操作できるか試してみたい。
試しにプレイしたのは、ヤギとなってあちこち壊しまくる爽快感がストレス解消にもってこいの「Goat Simulator」と、AndroidでもiPhoneでも同じアカウントで続きを遊べる「ゼンレスゾーンゼロ」だ。
Goat Simulatorの推奨スペックは、2.0GHz Quad Core Processor以上、メモリは4GB以上、グラフィックスはShader Model 3.0、グラフィックスメモリは512MB以上と、かなり低い。
そのおかげもあり、プレイ中に引っ掛かりなどはなく、60fps以上の滑らかな映像を楽しめた。特に、「トレッドミル」を使う場面では、かなり派手に、しかも速いスピードでヤギが弾き飛ばされるのだが、コマ落ちなどなく、ディテールをしっかり表現していた。
ゼンレスゾーンゼロの推奨スペックは、CPUがIntel Core i7以上、メモリが8GB以上、グラフィックスがNVIDIA GeForce GTX 1660以上である。
こちらも、これといって引っ掛かりもなくゲームを進められた。ジョイスティックや、ショルダーボタン、ABXYボタンでの操作は、いずれのゲームでも問題なく行えた。また、フレームレートは30fpsを維持していた。
ここからは、周辺機器で本体の苦手な部分を補いながら作業していきたい。
繰り返すが、筆者はかな入力派である。そのため、US配列キーボードを普段は決して選ばない。よって「いつもは使わないけれど、AYANEO FLIP KBと併用するためだけのキーボード」として、コスパの良い3COINS「タッチパッド付きキーボード(2750円)を購入した。タッチパッドも付いているので、マウスを別途持ち歩く必要もない。
3COINS「タッチパッド付きキーボード」は薄く軽いので、「なんとなく、今日は作業するかもしれないなぁ」というときに気兼ねなくバッグに放り込んでおける。普段使わないUS配列のキーボードなので、この値段ならもったいなくもない本格的に入力したいというのであれば、手持ちの入力しやすいキーボードを合わせた方が良いだろう。「ThinkPad トラックポイント キーボード II」や「HHKB Sudio」などであればマウス操作もキーボード単体で行えるが、それ以外であればマウスを別途携帯すると作業しやすそうだ。
こちらは本格的に作業したい場合に、一緒に持ち歩くと良さそうな周辺機器のセットだ。US配列を好む人であれば、手持ちの外付けキーボードもUS配列だと思うが、残念ながら筆者はかな入力派なので、持っている“ガッツリ系”キーボードはJIS配列または日本語配列のみであるまた、AYANEO FLIP KBにはUSB Standard-A端子がないので、USBハブまたはドッキングステーションのようなものを一緒に持ち歩けば、USBメモリを使ったファイルのやりとりや、USB接続が必要な入力機器を使うのに便利だ。
実際にここまでAYANEO FLIP KBを使って文章作成、画像編集などを行ってみたが、本体のキーボードで(1)入力しづらいこと、(2)ジョイスティックでのマウス操作にイライラしたこと、以外は快適であった。つまり、AYANEO FLIP KBは、「“ミニデスクトップPC”としての利用が一番しっくりくるのでは?」という印象である。
自宅では、ミニデスクトップPCとして、まずは外付けキーボードやマウス、サブディスプレイなどを接続して本格的に作業をする。外出する場合は、その同じモデルを持ち出して、ドキュメントのちょっとした修正を行ったり、プレゼンテーションのタタキを作ったり、メールの返信をしたりするといった使い方ができるだろう。もちろん、本来のポータブルゲーミングPCとして使えば、より豊かな時間を過ごせそうだ。
できることとできないことを切り分けさえすれば、AYANEO FLIP KBはワクワクするようなモデルである。今のところ、国内での取り扱いがないのだけが残念だ。
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