発売から少し時間が経過してしまったが、16コアM4 Maxチップを備える「16インチMacBook Pro」(128GBメモリ)を借りてテストする機会を得た。
連載では既にM4/M4 Proチップを搭載する新型Macの実力をチェックしたが、いよいよ最新Apple Siliconの(現時点における)最高峰モデルの実力を見ていきたい。
なお、今回は以下のMacとパフォーマンスを比較している。
なお、ここから先は説明で必要な場合を除き、CPUコアの数は省いて記載する。
テストの結果を細かく見る前に、全体的な概要を述べておこう。M4チップファミリーは、特にCPU性能とGPU性能の優秀さが際立っている。
M4チップは、M3 Proチップに対してシングルコア性能を上回るだけでなく、マルチコア性能も肉薄している。「Puget Bench」を使ったAdobe Photoshopのテストでは、M3 Proチップを上回る結果を示した。
そして今回のテストの“目玉”であるM4 Maxチップについては、「Blender Benchmark」のGPUを使ったテストにおいてM2 Ultraチップよりも高いスコアをたたき出した。M4 MaxチップのGPUコアは40基と、M2 Ultra(72基)の約56%しか搭載していないにも関わらずだ。これはメッシュシェーダーやレイトレーシング(RT)のアクセラレーターによるものと思われる。
一方で、同種のアクセラレーターを備え、同じく40基のGPUコアを備えるM3 Maxチップに対しても、スコアが25%以上の伸びを示した。M4ファミリーはRTアクセラレーターが“第2世代”となったが、動作クロックの向上も手伝って性能が伸びたのだろう。
NVIDIAの外部GPU「GeForce RTX 4070 Laptop」を搭載するノートPC「ASUS TUF Gaming A16(FA607PI)」と比べても、Blender Benchmarkのスコアは47.4%高い。M4 Maxチップを搭載する16インチMacBook Proが63万4800円から(48GBメモリの場合)、TUF Gaming A16(FA607PI)が直販価格で24万4800円(Ryzen 9 7845X/32GBメモリ)と価格帯が違いすぎるとはいえ、GPUのいわゆる「ワッパ」(消費電力当たりのパフォーマンス)は驚異的だ。
しかし、M4ファミリーの長所、あるいは将来的な可能性を示唆するのは大規模言語モデル(LLM)をオンデバイスで動かす「LM Studio」でのテストだった。Apple Siliconの「GPUから共有メモリに直接アクセスできる」というメリットが遺憾なく発揮され、そこに128GBという大容量さが相まって、汎用(はんよう)的なLLMをより大きなモデルデータで稼働できるのだ。このことは3Dアニメーション制作などにおいてもメリットとなりうる。
より大きなデータをメモリ上に置き、データや処理の特性に合わせてCPU/GPU/NPU(Neural Engine)に処理を振り分けられる――これは他のプラットフォームにはない圧倒的な優位点だ。
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