本機の標準搭載OSはWindows 11 Proだ。社内ネットワーク接続などでドメイン参加するような際を考えると、ビジネス向けモデルなので当然の選択だろう。
AI活用アプリケーションという点では、Copilot+ PC向けにいくつか用意されている。リアルタイムで音声を字幕に変換する「ライブキャプション」、ペイントアプリ上でラフなお絵かきからアーティスティックな絵を生成する「コクリエーター」、ビデオ会議時などでカメラ映像の明るさを調整や背景ぼかしといったエフェクトを付ける「スタジオエフェクト」などだ。そしてセキュリティ面で議論を呼んでいるが、そのPCで過去に行ったことの履歴をたどれる「リコール」もInsider Previewでテスト中だ。
これらに加え、本機では同社のAIアプリケーション群「ASUS AI ExpertMeet」を利用できる。AI ExpertMeetはスタートから起動してもよいし、タスクトレイに常駐する「ASUS ExpertPanel」からも素早く呼び出せる。
AI ExpertMeetには「AI ミーティング議事録」(AI Meeting Minutes)、「透かし」といった機能がある。検証段階ではまだβ版であり、日本語対応できていなかった。以下のスクリーンショットは、英語/中国語しか対応していない段階で日本語(多少の英単語は話す)のWeb会議を試みてキャプチャしたものだ。
AI 翻訳字幕(AI Translated Subtitles)は、ビデオ会議での発言をリアルタイムで翻訳するといった機能である。ライブキャプションは文字起こしだったが、AI 翻訳字幕なら翻訳も同時に行える。AI ExpertMeetを起動し、AI 翻訳字幕のタブに切り替えた後にZoomなどWeb会議アプリで会議を開始したら、AI 翻訳字幕の録画開始ボタンを押す。使い方としてはこのような手順だ。
AI 翻訳字幕側のウィンドウに、小さなビデオ会議画面と横にリアルタイム翻訳されたテキストが表示される。このビデオ会議画面は小さいため、Web会議アプリとAI 翻訳字幕側を並べて配置する方が良いだろう。モバイルディスプレイを組み合わせて2画面に配置すればなお良い。ウィンドウ内にある通り、テキストファイルとしてエクスポートもできる。音声としても保存されるので、次のAI ミーティング議事録にも利用可能だ。
AI ミーティング議事録は、文字起こしと要約という2つの機能で構成されている。こちらはリアルタイムではなく、会議後に利用するものだ。先のAI 翻訳字幕用に録音したデータが保存されていたので、「ファイルの取込」から指定し取り込んだ後、実行する。
要約タブに切り替えれば、改めてAIがWeb会議の要約を作成してくれる。15分程度のWeb会議だったが、要約の作成にはさほど時間はかからなかった。一瞬とまではいかないまでも、人力で行うよりはだんぜん早い。
また、透かしについては、例えばビデオ会議の際にカメラ映像に自分の名刺を表示したり、公式発表前の情報などに「Confidential」のようなウォーターマークを重ねたりといったことができる。
現時点では日本語非対応なので、現状は日本語におけるAI性能を判断できない。本機のレビュー中にも何度かアップデートが入るなど日本語対応に向け開発を進めているとのことなので、それを待ちたいところだ。もちろん、AI ExpertMeet自体がUIを含めて進化していくこともある。
とはいえ、海外との円滑なコミュニケーション、文字起こし、要約をまとめるといった作業が、業務の負担になっているような場合、AIがこれを軽減してくれる。まれにAIについて勘違いされている人もいるので補足をしておくと、AIが作成してくれた翻訳、文字起こし、要約も人間によるチェックが必要だ。
現状、これらを部下に任せた場合をイメージして欲しい。上司のチェックなしに次に回すようなことは通常しないだろう。AIの精度が向上し、チェックせずに済むレベルに達するかもしれないが、それはまだ未来の話だ。
ただし、議事録やメモが自動的に行われ、文字起こしを省けるだけでも時間の大幅な節約になるし、上司への報告や同僚への共有が簡単にできるのも事実だ。このようなAIパワーを利用しないのはもったいし、一刻も早く体験しておくのがベターといえるだろう。
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