それでは、本機の内部スペックについて見ていこう。本機には3つのモデルがあるが、最も重要なスペックの違いはCPUだ。まずどのモデルがどのCPUを搭載しているのか、スペックをまとめた。
| モデル名 | P5405CSA-NZ0054X | P5405CSA-NZ0150X | P5405CSA-NZ0052X |
|---|---|---|---|
| CPU | Core Ultra 7 258V | Core Ultra 5 228V | Core Ultra 5 226V |
| 内蔵GPU | Intel Arc Graphics 140V | Intel Arc Graphics 130V | Intel Arc Graphics 130V |
| NPU | Intel AI Boost | Intel AI Boost | Intel AI Boost |
| メモリ | 32GB | 32GB | 16GB |
| 直販価格 | 24万9800円 | 21万9800円 | 19万9800円 |
それぞれCPUが異なるが、実はPコア4基/Eコア4基の計8スレッドといったコア構成は共通だ。クロックについてはCore i7(最大4.8GHz)の方がCore i5(最大4.5GHz)よりも高い。同じコア数でも、より高い性能を求めるならCore i7が適している。
CPU内蔵GPUは、Core i7モデルだけIntel Arc Graphics 140Vとなる。グラフィックスコアのXe-coreの数がCore i5よりも1基多い8基備えており、動作クロックも高い。性能を数値で見ると、Intel Arc Graphics 140Vは64TOPS(INT8)、Core i5のIntel Arc Graphics 130Vは53TOPS(同)と、11TOPSのパフォーマンス差がある。
本機はAIノートPCなので、この差はグラフィックスパフォーマンスというよりはAI性能と捉えるのが良いだろう(GPUもAIに活用される)。
NPUについてはIntel AI Boostで共通だが、実はここにも性能差がある。Core Ultra 7 258Vは47TOPSなのに対し、Core i5モデルは40TOPSだ。GPUと合わせて計算すると、Core Ultra 7 258Vは111TOPSであるのに対し、Core i5モデルは93TOPSとなる。
もう1つ大事なのはメモリだ。Core Ultra 200VシリーズCPUは、メモリをCPUパッケージに内蔵しているため、CPU次第でメモリ搭載量が決まる。Core Ultra 7 258VとCore Ultra 5 228Vは32GB、唯一Core Ultra 5 226Vは16GBだ。
AIに興味のある人なら、AIでは大量のグラフィックスメモリを消費すると耳にしたことはないだろうか。本製品は統合型GPUを利用するノートPCなので、AIはメインメモリを使う。メインメモリのトレンドは8GBを脱し、数年前から16GBへと移行してきた。そしてここにきてAIがブームだ。16GBは必須、できれば32GBは欲しい。Core Ultra 5 228Vが32GBを搭載しているのはそのためだ。
実際、どのくらいメモリを消費するのだろうか。ULのベンチマーク「Procyon」のAIベンチマークを実行し、メモリ消費量を確認してみた。
まずAI Image Generation BenchmarkのStable Diffusion 1.5(画像生成)では、FP16とINT8、iGPUとNPUとも物理メモリ使用量は14GB前後だった。次はより処理が重いStable Diffusion XLのFP16、iGPU使用時で26.5GB、テキスト生成のAI Text Generation Benchmarkでは24.2GBだった。
なお、この検証はベンチマークのみ起動、他のアプリケーションは何も起動していない。実際のAI運用では、他アプリケーションとの連携が重要になってくる。その他アプリケーション分のメモリ使用量を加味したい。そうなると、ExpertBook P5シリーズを検討するならメモリ容量が32GBのP5405CSA-NZ0054X、またはP5405CSA-NZ0150Xを本命としたい。
もちろんどのようなAIを利用するのかでメモリ使用量は異なる。メモリ消費を抑えたものなら16GBで足りることは十分にあり得る。また、物理メモリの容量を上回ると仮想メモリを使用するため、速度はさておき全く動かないというものではない。まず動かす、AIの可能性を探るというなら16GBモデルを選ぶというのもありだろう。
せっかくなので、Procyon、AIベンチマークのスコアも提示しておこう。以下では、全てツールキットはIntel Open VINOを指定している。
| AI Computer Vision | ||||||||
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| CPU | GPU | NPU | ||||||
| FP32 | FP16 | INT | FP32 | FP16 | INT | FP16 | INT | |
| Overall Score | 76 | 77 | 240 | 320 | 865 | 1305 | 904 | 1612 |
| AI Image Generation | ||||
|---|---|---|---|---|
| GPU | NPU | |||
| Stable Diffusion 1.5(FP16) | Stable Diffusion 1.5(INT8) | Stable Diffusion XL(FP16) | Stable Diffusion 1.5(INT8) | |
| Overall Score | 350 | 2287 | 299 | 2665 |
| Image Generation Speed(s/image) | 17.832 | 13.659 | 125.359 | 11.723 |
| AI Text Generation | ||||
|---|---|---|---|---|
| PHI 3.5 | MISTRAL 7B | LLAMA 3.1 | LLAMA 2 | |
| Overall Score | 923 | 818 | 783 | 703 |
| Average OTS(tokens/s) | 32.18 | 21.335 | 20.082 | 11.185 |
一方、ストレージについてはCore i7モデルが容量1TB、Core i5モデルが容量512GBとなる。
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