ここからは、OMEN Transcend 14でベンチマークソフトを実行し、実際のパフォーマンスをチェックしていく。
テストに際してはACアダプターに接続した状態で、Windowsの設定から電源プランを「最適なパフォーマンス」を選択し行った。
また、比較用に筆者が現在使用しているモバイルノートPC「FMV LIFEBOOK UH(2023年モデル)」で、同じテストを実行した際の結果も併記している。
FMV LIFEBOOK UHの仕様だが、CPUはCore i7-1360P(12コア/16スレッド)、メモリは32GB、GPUはCPU内蔵グラフィックスだ。標準的なノートPCの仕様、テスト結果と捉えてもらえれば、OMEN Transcend 14がどれだけゲームシーンを中心に、パフォーマンスを持ったPCかは分かりやすいはずだ。
3Dレンダリングを通してCPUの性能を確認する「CINEBENCH R23」を実行してみた。スコアは以下の通りだ。
シングルコア
マルチコア
シングルコアでは大きな差はないものの、マルチコアではコア数/スレッド数も多いOMEN Transcend 14が30%ほど高いスコアを記録した。
ゲームタイトルにもよるが、GPU性能はもちろんのこと、CPU性能がゲームのパフォーマンスに影響することは少なくない。ゲーミングPCに求めるCPU性能はしっかり備わっているとみていいだろう。
続けて、PCの総合ベンチマークテストアプリを試していく。まずは定番中の定番の「PCMark 10」の総合スコアだ。
PCMark 10ではオフィスソフトやブラウジング、ビデオ会議や画像編集といった、一般的なPC操作におけるパフォーマンス測定を行っている。
そのため、テスト内容はゲームに比べれば軽量で、CPUやGPU性能をフルに使い切るシーンは極わずかだ。
結果はOMEN Transcend 14がFMV LIFEBOOK UHを上回っているが、その差はCINEBENCH R23に比べるとわずかだ。
言い換えると、ゲーミングPCとしてゲームに特化し、通常のPC作業で一般的なノートPCに比べ劣ることはないともいえる。
3Dグラフィックスベンチマークにおける定番アプリ「3DMark」で主要なテストを実行してみよう。
今回はDirectX 12、及び11をテストする「Time Spy」「Fire Strike」を実行し、パフォーマンスのチェックを行った。結果は以下の通りだ。
やはり3Dグラフィックスを動かす場面では、ディスクリートGPUとしてGeForce RTX 4070 Laptop GPUを搭載するOMEN Transcend 14の強さが光る結果だ。
FMV LIFEBOOK UHも一昔前のノートPCに比べれば内蔵GPUは高速になり、4K動画の再生などで止まってしまうようなことはないのだが、ゲームを動かすとなると専用のGPUの有無による差は大きい。
特にTime SpyはDirectX 12のテストとなり、最近の重たいゲームソフト相当のグラフィックスのテストとなるため、ここで好成績を残したOMEN Transcend 14は、設定次第にはなるがだいたいのゲームで満足できる動作が望めるといっていいだろう。
では実際のゲームではどうか。次に試したのは「ファイナルファンタジーXIV: 黄金のレガシー」「FINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION」のベンチマークだ。
前者は今でこそ軽いゲームだが、MMORPGの定番ソフトでもあり、ゲーミングPCで何かしらのMMORPGを遊びたいとなれば、テスト結果としては分かりやすい指標になる。
後者は同じファイナルファンタジーでも、スタンドアロンでプレイする従来のRPGゲームだ。発売から年数は経過しているが、今でも国産タイトルとしては重たいゲームに分類されるため、ゲームコンソールとPCの双方で発売されるゲームタイトルを遊ぶ際の指標になる。
どちらも解像度はフルHD、グラフィックス設定はもっとも高い設定にしてテストを行った。結果は以下の通りだ。
OMEN Transcend 14はFMV LIFEBOOK UHのスコアを大きく上回る結果になった。
どちらのベンチマークも実行中に動作が緩慢に感じられることはなく、かなりスムーズに動くため、実際のゲームプレイ時も同様に快適だろう。
そして、FMV LIFEBOOK UHはどちらのベンチマークでも、まともに動かないという結果になった。これは他の一般的なノートPCや、ビデオカードを搭載しないデスクトップPCでも同様の結果になるため、ノートPCであっても「ゲーミング」を関するPCが、ゲームでパフォーマンスを発揮できることを示しているといえるだろう。
ゲームでのパフォーマンステストとして、最後に「Cyberpunk 2077」に内包されたベンチマーク機能を使って確認を行った。
Cyberpunk 2077は重量級のゲームタイトルの代表格で、最新のデスクトップ向けのGPUの性能評価にも利用される定番タイトルだ。
また、OMEN Transcend 14に搭載されているGeForce RTX 4070 Laptopで利用できる超解像度スケーリングとフレーム生成機能の「DLSS 3」にも対応している。
そのため、重量級タイトルとはいえDLSS 3を有効にすることで、「遊ぶのに十分なフレームレートが出るのでは?」というのがこのテストの趣旨だ。
画質設定はプリセットの「レイトレーシング・中」を選択。DLSSを有効にしたテストでは、画質を自動、フレーム生成をオンとし、解像度はフルHD(1920×1080ピクセル)に設定してテストした結果は以下の通りだ。
DLSSをオフの状態では平均フレームレートは30fpsを切り、ベンチマーク中はかなりカクついた動作をしていたが、DLSSをオンにすると平均フレームレートは100fps以上にあがり、動きも滑らかだ。
これが30型以上のディスプレイに表示を行うと、解像度スケーリングによる画質低下、例えばグラフィックスの精細さが欠けて見えてしまうこともあるかもしれないが、OMEN Transcend 14のディスプレイで遊ぶ限りであれば、そうしたネガティブな面も目立ちづらい。
また、時間の都合でテストはできなかったが、重量級のゲームタイトルの話題作の多くはDLSSに対応しているため、Cyberpunk 2077に限らず、最新のゲームコンソールと同時にPCにもリリースされるようなタイトルを遊んでも、OMEN Transcend 14は不自由なく遊べると断言していいだろう。
最後に内包されるソフトウェアの紹介も含め、OMEN Transcend 14のゲーミングPCとしての使い勝手について紹介していく。
日本HPのOMENシリーズには共通で「OMEN Gaming Hub」という専用のアプリケーションが搭載されている。
OMEN Gaming Hubではインストールされたゲームタイトルをライブラリとして表示するランチャーとしての機能があるため、例えば「Steamからインストールしたゲーム」「Microsoft Storeからインストールしたゲーム」「DVD-ROMなどからインストールしたゲーム」と、インストールの入口が違うゲームも、一元管理することができる。
いろいろなゲームをインストールした場合、デスクトップにアイコンをずらずらと並べておく必要はなく、OMEN Gaming Hubから目当てのゲームをサッと起動できるのは、シンプルな機能ながら便利だ。
また、PCのメモリ使用状況などもOMEN Gaming Hubから確認できる他、メモリやSSD上の不要データの削除を行うツールも内包されている。
もしPCの動きが遅いように感じた場合は、OMEN Gaming Hubを立ち上げメニューの「オプティマイザー」からPCの状況や不要データの削除を行うことで、容易に改善することができる。
そしてゲーミングPCの楽しみの1つが「イルミネーション」だろう。
OMEN Transcend 14のキーボードに搭載されたRGBライティングのカスタマイズもOMEN Gaming Hubの「OMEN Light Studio」から行うことができる。
プリセットから光り方を選択することもできるし、自分で特定のキーの光り方を変えたり、イルミネーションの点灯/点滅速度をカスタマイズすることも可能だ。
さらに対応したゲーミングデバイスを接続している場合、それらのイルミネーションをカスタマイズしたり、OMEN Transcend 14を含め「デスク上の配置」を指定することで、連動したイルミネーション発光を設定することもできる。
仕様と性能、そして専用ソフトウェアとOMEN Transcend 14は、ゲーミングPCに求める内容が十分に備わった1台といえる。
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