さて、ここまでDXP6800 Proの外観や仕様について軽く触れてきたが、ここからはDXP6800 Proで実際にRAIDアレイを構成し、DXP6800 Proの実力を詳しくチェックしていこう。なお、検証環境の構成は以下の通りだ。
| 種別 | 内容 |
|---|---|
| HDD | IronWolf Pro 10TB×6 |
| NVMe | Crucial P3 Plus 500GB×2 |
| ネットワーク | 2.5GbE×1、10GbE×1 |
まずはNASのディスクアクセスのパフォーマンスを測るため、CrystalDiskMark 8を使って、いくつかシナリオを想定してそれぞれテストした。結果は以下の通りだ。
結果を比較してみると、6台のHDDで構成したRAID5アレイと、HDDより高速な2枚のNVMeで構成したRAID1アレイのパフォーマンス差がほぼ無い結果となった。
シーケンシャルアクセスに主眼を置くと、2.5GbEと10GbEの結果ともに転送速度上限の毎秒312MBと毎秒1250MBに近しいパフォーマンスを発揮している。
RAID5の仕組みとして、複数のディスクに並列アクセスすることから、RAIDアレイを構成するHDDの台数が増えれば増えるほどパフォーマンスが向上する。もちろん、バックプレーンのI/O限界があるため無限にパフォーマンスが増大するわけでは無いが、6台のHDDで構成したRAID 5アレイはNVMeキャッシュが無くとも、10GbE環境で利用する場合はなんら問題無いパフォーマンスを発揮してくれる。
ビジネスで利用する場合は、可用性を少しでも高めるためにHDDを1台ホットスペアに設定するのがセオリーだが、自宅サーバとして利用するのであれば、可用性ではなく、得られるパフォーマンスを最大化しておきたい。
であれば、NASのファイル保存先を6台のHDDで構成したRAID5アレイを指定し、2台のNVMeで構成したRAID1アレイは仮想マシン用に利用すると、無駄なくHDDとNVMeを利用できるだろう。
参考までに6台のHDDで構成したRAID5アレイと、5台+ホットスペア1台のHDDで構成したRAID5アレイの10GbE環境下のパフォーマンス比較を実施してみた。結果は以下の通りだ。
結果として、読み込みテストについては、大きな差は現れないものの、書き込みテストにおいては非常に大きな差が現れる。そのため、HDDを1台ホットスペアとして設定する場合は、NVMeを2枚搭載して読み込み/書き込みのキャッシュを有効化しておきたい。
ただし、読み込み/書き込みのキャッシュを有効化した状態でDXP6800 Proの電源が切れると、書き込み中のデータが消失する可能性があるため、UPSなどで停電時の電源バックアップが必須となる。その点は注意が必要だ。
DXP6800 Proについて、外観とパフォーマンスを基に詳しくチェックしてみたが、CPUにIntel Core i5-1235Uを採用し、メモリの拡張性やインタフェースが充実したNASを、定価なら16万9880円で購入できる事を考えると、非常にコストパフォーマンスの高い“モンスターNAS”と言えよう。特に現在のキャンペーン価格(12万7410円)は、ちょっと突き抜けている。
NASと仮想マシンサーバをそれぞれ別で用意すると、その分の設置場所やコンセントを多く占有してしまうが、DXP6800 Proであれば1台で済む。もしいずれかの買い換えを予定しているのであれば、DXP6800 Proをチェックしてみてもよさそうだ。
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