ここからは、ベンチマークテストアプリを使用してRyzen 9 9950X3Dの実力をチェックしていく。
今回、AMDからはRyzen 9 9950X3Dに加えて、マザーボード/メモリ/SSDも「レビューキット」として借りている。これに、同じ時期に別件でAMDから借用していた「Radeon RX 9070XT」を組み合わせてテスト用PCを構築した。
なお、今回はテスト環境でCPUをRyzen 9 9950X(3D V-Cacheなし)に取り換えたテストも併せて行っている。また、過去に行った「Core Ultra 9 285K」のテスト結果も参考値として掲載する。Core Ultra 9 285KについてはGPUやアプリ(ソフトウェア)のバージョンも異なるので、あくまで参考と捉えてほしい。
3Dレンダリングを通してCPUのパフォーマンスを確認できる「CINEBENCH R23」の結果は以下の通りだ。
Ryzen 9 9950X3Dのスコアは、わずかにRyzen 9 9950Xを上回った。CINEBENCH R23のテスト内容はL3キャッシュの容量差があまり出にくいが、少なくともRyzen 9 9950X3DとRyzen 9 9950XでCPUコア自体に性能差はほぼないと考えて良いだろう。
Core Ultra 9 285Kとの比較だが、シングルコアスコアでは敗北した一方でマルチコア性能は上回っている。AMDの「全部パフォーマンスコア(Pコア)」作戦は、多コアを求めるアプリでは効果はてきめんとなる。
ともあれ、Ryzen 9 9950X3Dは現行のコンシューマー向けデスクトップ用CPUとしては最高クラスの性能を備えている。
もう1つ、CPUを使うテストとして「Blender Benchmark」を実行した。
その名の通り、Blender Benchmarkは2D/3Dアニメーション制作ツール「Blender」をベースとしたベンチマークテストで、レンダリングを通してCPU/GPUのパフォーマンスをチェックできる。今回は「Monster」「Junkshop」「Classroom」の3つのシナリオをCPUで実行し、1分当たりに生成できたサンプル(オブジェクト)の数を比較する。
結果は以下の通りだ。
結果の順位はCINEBENCH R23とほぼ同じだ。アプリこそ違えど、プログラムが行う内容は近しいことから、結果も似通うのは当然ともいえる。
PCの総合的な性能をチェックする「PCMark 10」の総合スコアは以下の通りだ。
PCMark10では、ブラウジングやドキュメント作成、画像編集やビデオ会議など一般的なPC操作におけるパフォーマンスをテストする。そのこともあってか、過去の3D V-Cache搭載CPUと同様に、増量されたL3キャッシュによる恩恵は少ない。
とはいえ、現行のコンシューマー向けのCPUとして、最も良好なスコアを記録しているため、日常的なPC操作においても「Ryzen 9 9950X3Dは最も快適なCPUである」ともいえる結果を残した。
3Dグラフィックスの総合ベンチマークテストアプリ「3DMark」から、DirectX 11ベースの「Fire Strikeシリーズ」と、DirectX 12ベースの「Time Spyシリーズ」、そしてレイトレーシング性能をテストする「Port Royal」を実行した。総合スコアは以下の通りだ。
先のテストと同様に、Ryzen 9 9950X3Dがベストスコアとなっている。ただ、過去のテストでは「3D V-Cacheの力で3D V-Cache非搭載上位モデルに迫る」ということがあったが、今回はそのような様子が見受けられない。
Ryzen 9 9950X3DとRyzen 9 9950Xのスコア差だが、描画解像度が高くなるほど小さくなる様子も伺える。誤差レベルだが、Time Spy ExtremeではRyzen 9 9950Xの方がむしろ良いスコアだ。推測だが、今回のテスト環境で利用したGPUがRadeon RX 9700 XTのターゲット解像度がWQHD(2560×1440ピクセル)で、4K解像度だとGPUがボトルネックになった可能性もある。
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