では実際のゲーム、あるいはゲームベースのベンチマークテストになるとどうなるのか試してみよう。
まず「ファイナルファンタジーXIV: 暁月のフィナーレ ベンチマーク」(旧FF14ベンチマーク)と、より新しい「ファイナルファンタジーXIV: 黄金のレガシー ベンチマーク」(新FF14ベンチマーク)を実行してみた。今回は画質設定を「最高品質」とした上でフルHD/WQHD/4Kの3解像度でテストを行っている。新FF14ベンチマークでは、フレームレートが60fpsを下回る際に超解像技術を利用する設定を「オン」にしている。
結果は以下の通りだ。
これまでと異なり、Ryzen 9 9950X3DがRyzen 9 9950Xをやや引き離してトップに立った。
一般的に、L3キャッシュの増量はCPUに対して非連続でさまざまな命令を出すプログラムで大きな効果を発揮する。ゲームの多くは典型例で、AMDもゲームのパフォーマンスアップを意図して3D V-Cache搭載CPUを発売している面もある。それでも、解像度が高くなるほどスコアの差は縮まってしまう。
ただ、4K解像度を「頑張って描画する」ような性能のGPUと組み合わせた場合でも、1世代前とはいえ4KをターゲットにしたGPUと組み合わせたハイエンドPC(Core Ultra 285K搭載PC)と“いい勝負”を演じることはできる。ゲーミングにおけるRyzen 9 9950X3Dのポテンシャルの高さは垣間見られる。
もう少し処理が重いゲームタイトルをベースとするテストとして、「FINAL FANTASY 15 WINDOWS EDITION BENCHMARK」(FF15ベンチマーク)も試してみた。こちらは画質を「高品質」とした上で、フルHD/WQHD/4Kの3つの解像度でテストを実行した。結果は以下の通りだ。
新旧FF14ベンチマークと比べると、Ryzen 9 9950X3DとRyzen 9 9950Xの差はわずかだった。プログラムの設計の違いに起因するものと思われるが、時間の都合で詳細を調べることはかなわなかった。
先のベンチマークテストアプリの計測結果も踏まえると分かるが、3D V-Cacheがパフォーマンスに有効に働くかどうかはプログラム次第という面がある。この点は、別のゲームタイトルでも試してみよう。
3D V-Cacheは本当に有用なのか――さらに重たいゲームタイトルで検証していく。これ以降のゲームベンチマークは、データの都合でRyzen 9 9950X3DとRyzen 9 9950Xの2者のみの比較とする。
まず、重量級ゲームタイトルの代名詞となった「Cyberpunk 2077」のゲーム内ベンチマークテストを見てみよう。ゲーム設定はプリセットの中でも一番負荷のある「レイトレーシング:オーバードライブ」で選択し、フルHD/WQHD/4Kの3つの解像度で平均フレームレートをチェックする。
今回は超解像技術「FidelityFX Super Resolution(FSR)」のオン/オフの両方でテストを行い、オンの場合はフレーム生成も有効化している。結果は以下の通りだ。
FSR(とフレーム生成)のオン/オフを問わず、Ryzen 9 9950X3DはRyzen 9 9950Xの2〜3倍の平均フレームレートを記録した。本タイトルの場合、3D V-Cacheの効果はてきめんのようだ。
超解像とフレーム生成の利用が前提となるが、Ryzen 9 9950X3Dでは4K解像度でも平均で120fps超とかなり快適にプレイできる。ゲーミング環境としてハイリフレッシュレートのディスプレイを用意している場合、その性能も余すことなく発揮できそうだ。
「超解像やフレーム生成に違和感を覚える」という人でも、フルHDであればRyzen 9 9950X3Dではネイティブ解像度で80fps超を実現できる。3D V-Cacheを省いたRyzen 9 9950Xでは40fps未満であることを踏まえると、「L3キャッシュの増量ってここまで効果あるのか……」と驚くことは間違いない。
もちろん、組み合わせるGPU次第ではRyzen 9 9950X3Dでなくてもこのようなフレームレートは出せる。最新世代とはいえ“アッパーミドル”のGPUとの組み合わせで、このフレームレートをたたき出せるのは本当にすごい。
「Microsoft Flight Simulator」も、処理負荷的な意味で重量級タイトルの定番だ。派手なアクションなどはないが、高精細で実写さながらの風景の描画には高いパフォーマンスを要求される。
今回はFSRをオンにした上で、フルHD/WQHD/4Kの3つの解像度で、ディスカバリーフライトの「モナコ」をAI操縦し、「CapFrameX」で2分間の平均フレームレートを計測した。結果は以下の通りだ。
Cyberpunk 2077ほどの大差ではないものの、このゲームでもRyzen 9 9950X3Dの方が有意に平均フレームレートが高くなる。もちろんRyzen 9 9950Xも十分に高いレートなのだが、平均フレームレートで120fps近くにもなると、グラフィックスの高精細さに滑らかさが加わり、より没入感が高まる。
シミュレーター系のゲームタイトルともなれば、どれだけリアルに近づけられるかがゲーム体験の満足度につながる。そういう観点で、Ryzen 9 9950X3Dはシミュレーターゲームに適したCPUといえるのかもしれない。
最後に試したのは「モンスターハンターワイルズ」だ。こちらは公式のベンチマークを用い、グラフィックス設定はプリセットの「ウルトラ」を選択し、フレーム生成も有効に設定している。
また解像度は他のテスト同様にフルHD/WQHD/4Kの3つで行っている。結果は以下の通りだ。
先の2タイトルと同様に、Ryzen 9 9950X3DはRyzen 9 9950Xを上回る平均フレームレートを記録した。スコア換算すると、差は大きめだ。
本稿が掲載される時点で、モンスターハンターワイルズも発売から2週間弱が経過した。ゲームをやりこんでいるプレイヤーからは「ベンチマーク以上に、本編では負荷の高いフィールドが存在する」といった声も散見される。
その点、ベンチマークテスト時点でこれだけ高いスコアとフレームレートを記録できるRyzen 9 9950X3Dには“余力”があるともいえる。一狩り行く相棒にちょうどいいCPUなのは間違いないだろう。
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