仕事や趣味でサーバ環境を構築する時に、皆さんはどのようにセットアップしているだろうか。業務であればIPMI(Intelligent Platform Management Interface)を内蔵しているサーバをリモートで操作しているかもしれないが、もっと小規模な環境の場合は、ディスプレイとキーボード、マウスを直接接続して操作することもあるだろう。
ドキュメントやマニュアルを確認しながらとなると、作業スペースも逼迫(ひっぱく)する。IPMIが搭載されていない場合は、IP-KVMという選択肢もあるが、コストに加え導入のハードルも高くなる。
筆者は「IP-KVMとまではいかないにしても、何か良いソリューションがないか……」と探していたところ、非常に小型なKVMスイッチである「Openterface Mini-KVM」という製品にたどり着いた。
X(旧Twitter)で一部の界隈(かいわい)が、「Openterface Mini-KVM」(以下Mini-KVM)のテスト機を使っている様子を見掛けたこともあり、「CROWD SUPPLY」というオープンソースのハードウェアに特化したクラウドファンディング&ECサイトで、Mini-KVM本体とケーブルがセットになった「Openterface Mini-KVM Toolkit」を購入してみた。先日、手元に届いたので、その便利さを本記事で紹介したい。
Mini-KVMの箱を開けると、黒とオレンジのMini-KVMカラーをあしらった、専用のキャリングポーチが出てくる。この中にMini-KVMの本体と付属品が入っている。
Mini-KVMは小さな本体とケーブル3本で構成されており、一般的なKVMスイッチと比較すると、非常にコンパクトで持ち運びも楽ちんだ。
それぞれのケーブルを詳しく見てみよう、まずひときわ目立つオレンジ色のケーブルは、USB3.2 Gen 2x2(20Gbps)に対応した1.5mのUSB Type-Cケーブルで、Mini-KVMとサーバを操作するPC(ホストPC)を接続するためのケーブルだ。
Mini-KVM自体は、USB 2.0でホストPCとターゲットPC間で通信する。よってこれは完全にオーバースペックなケーブルなのだが、ケーブル自体の強度が高く、サーバ操作をする際に誤ったケーブルを抜いてしまわぬように目立った色のケーブルを採用している点は非常に好感が持てる。
片側はUSB Standard-Aに変換するコネクターも付属しているため、サーバにUSB Type-Cポートが無くても利用できるので安心してほしい。
黒の短いUSB Type-Cケーブルは、Mini-KVMと操作先のサーバ(ターゲットPC)を接続する30cmのケーブルだ。
こちらのケーブルもターゲットPCにUSB Type-Cポートが無かったときのために、USB Standard-Aに変換できるアダプターが付属している。
最後のケーブルは30cmのHDMIケーブルだ。こちらのケーブルは、ターゲットPCの映像出力をKVM-Miniでキャプチャーするためのケーブルだ。
最近のサーバであれば、HDMI出力ポートを搭載しているモデルもだいぶ増えてきたので困ることは基本的に無いはずだが、HDMI出力ポートがないサーバを操作する場合は、変換アダプターが必要となる。
最後に紹介するのが非常に小型なMini-KVM本体だ。ボディーにはそれぞれのポートやディップスイッチの役割がアイコンと矢印で表現されており、マニュアルを見ずとも簡単に配線できるようになっている。
Mini-KVMのサイズは約55(幅)×60(奥行き)×8(高さ)mmと非常にコンパクトに仕上がっている。
本体上部のディップスイッチは、Mini-KVMのUSB 2.0ポートの接続先をホストPCか、ターゲットPCに接続するかを選べるようになっている。
Mini-KVMは仮想ドライブ機能が用意されていないため、仮にOSイメージが入ったUSBメモリをMini-KVM経由で接続したい場合は、このディップスイッチを切り替えれば接続できる。しかし、USB 2.0ポートなので速度はあまり期待できない点は少し残念だ。
USB 3.0ではなくあえてUSB 2.0を採用した理由としては、PCB設計が非常に複雑になり、生産コストが大幅に増加すること、そして発熱によりMini-KVMの寿命が短くなる可能性があり、リスクとコストをてんびんに掛けた結果だという。
次期モデルでは、よりプロフェッショナル向けの使用や、据え置き型KVM製品を目指して、USB 3.0の採用を検討しているようなので、心待ちにしたい。
ファーストインプレッションとしては、非常に好感の持てる製品だが、実際の使い心地はどうだろうか。ここからは、実機を使って操作感を確認していこう。
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