さて、DXP4800 Plusは「初心者でも簡単にセットアップと運用できるNAS」ことがウリだ。スマホアプリでセットアップから運用まで賄えるよう、OSもあらかじめそれを想定した設計となっている。スマホだけでなく、WindowsとmacOSにも専用アプリがある。
ITmedia PC USERに掲載されている本製品のレビュー記事でも、「従来のNASと比べるとセットアップしやすい」という評価は一致している。
確かに、DXP4800 Plusのセットアップに関わる障壁は、従来のNASよりも低い。しかし、NASを運用する上で求められる知識やリテラシーがなくなったとは思わない。
既存製品よりも明らかに親しみやすい設計だが、QNAPやSynologyといった他社の高機能NASと共通する要素は多く、NASの設定や機能の名前など、最低限の知識は求められる。これはオープンソースで開発されているコンポーネントが組み合わされていることも一因ではある。
とはいえ、アプリの使いやすさ(主にUI設計)は、導入へのハードルを下げてくれる。SATAストレージ(HDD)の構成に「RAID 5(分散パリティー)」を推奨していることなど、少し疑問を感じる部分もあるが、応答性は高く、本格的なPCサーバを運用している感覚で利用可能だ。
DXP4800 Plusを実際に使ってみると「簡素なユーザーインタフェース(UI)で利用できる高機能NAS」として、なぜハイスペックな構成が必要だったのか(特にCPU)という疑問に答えが見えてきた。
筆者がDXP4800 Plusに注目したのは、約9年間使ってきたQNAPのNAS「TS-451A」を置き換えたいと検討を進めていたという事情もある。久しぶりのリプレースということもあるが、10年近く経過するとNASという製品ジャンルはすっかり“様変わり”していた。
PC向け周辺機器として定着したNASは、既にDLNAサーバ機能など比較的簡素な機能を稼働する機能を備えていた。高性能モデルであれば、単純なファイルストレージとしてはPCベースのサーバを代替しうるパフォーマンスを備えていたが、その上でいろいろなアプリを動かそうというのは難しかった。
しかし、最近の高機能NASの世界は変わっていた。企業で使えるレベルとは行かなくとも仮想マシン(VM)を稼働したり、VMを通して高度なサーバ向けアプリを動かしたりできるようになった。個人が使う製品として、より有益な存在となっていた。
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