「NASync DXP4800 Plus」は価格も手頃で初物にしては出来がよいNASだった 買い換えを検討中の筆者が実機を試して分かったこと(3/4 ページ)

» 2025年04月04日 17時45分 公開
[本田雅一ITmedia]

「Docker」を動かすマシンとしてのDXP4800 Plus

 DXP4800 Plusを始めとするUGREEN NASyncシリーズは、Linuxベースの独自OS「UGOS PRO」を搭載している。UGOS PROはさまざまなサーバ機能やNASとしての機能、あるいは外部ネットワークからのリモートアクセス機能などを統合しており、使いやすいユーザーインタフェース(UI)でまとめたものだ。

 高性能なWi-Fiルーターが同じオープンソースプロジェクトを共有しつつ、独自にカスタム機能を実装しているのと同じように、このクラスのNAS向けのOSも同様に「共通部分+独自拡張」で成立している。

UGOS Pro UGREEN NASyncシリーズの独自OS「UGOS PRO」は、Linuxをベースに開発されている

 UGREEN的には、UGOS PROに独自要素であるスマホとの親和性を加えることで、新世代のNASを訴求したいのだろう。しかし、約9年ぶりにNASを更新する筆者としては、別の部分に魅力を感じた。

 記事執筆時点において、UGOS PROには「App Center」を通して約20個の公式アプリが登録されており、必要に応じてインストールして機能を追加できる。アプリはバックアップ/メディア系の機能などこなれたものだが、数だけを見ると先行するQNAPやSynologyのNASに遠く及ばない。

 しかし筆者は全く困らなかった。というのもDXP4800 Plusでは「Virtual Machine」と「Docker」が利用できるからだ。

 その名の通り、Virtual MachineはNAS上で独立したVMを動かすアプリケーションとなる。Dockerは、アプリ(と依存関係にあるプログラム)を「コンテナ」と呼ばれる軽量なVM上で稼働するためのオープンソースのプラットフォームとなる。

 中でもDockerはホストOS(本機ならUGOS PRO)のカーネルを共有しつつ、アプリをパッケージ化して独立したVM上で動かせる。ホストOSにないアプリでも、Dockerでパッケージ化されていればそれをダウンロードすれば利用できる。

 UGOS PROでサポートされる一部アプリも、よく見るとDockerコンテナとして実装されていた。また、コンテナのイメージファイルを検索すると、実に多彩なイメージが存在している。OSカーネルを共有していることもあり、メモリ効率はもちろん、CPUの利用効率も良好だ。

 Windowsなどでしか動かないサーバを使うのでなければ、Dockerこそが本機を有益に使う上での“鍵”になるだろう。なお、Dockerのコンテナイメージは「Docker Hub」のWebサイトからも検索できる。

VM DXP4800 PlusではDockerを動かせるため、アプリ不足という問題もあまり気にならない

「Roon Server」と「Webサーバ」を安定して動かせる

 DXP4800 PlusでVirtual Machineを使ってWindowsを動作させる意味がないとは言わないが、実用面を考えると、複数のDockerコンテナを動かす方が動作パフォーマンスはもちろん、利便性の面でも有利だ。

 Docker Hubでアプリを探してみると分かるのだが、Webサーバやクラウドとの同期アプリ、ブログベースのCMS「Wordpress」など、とにかく探せば何でもある。同じアプリで複数のイメージが存在する場合もあり、その出自や評判を見ることは必要だが、動作させる際にコンテナからアクセスできるリソースの範囲も決められるため、ホストが管理するデータなどにダメージが広がる危険性は(設定次第だが)少ない。

 そんなわけで筆者はWordpressと、これまでMac(macOS)上で運用していた音楽専用サーバ「Roon」、それにNetflixのように動画コンテンツなどを利用できる「Plexメディアサーバ」をDocker経由で動かしてみた。

 Roonはコンテンツの詳細な分析(声紋情報を特定してコンテンツのメタ情報と結びつけ、関連するWikipedia情報などともリンクを張り、音量レベルやダイナミックレンジの評価などの分析)を行った上で、データベース化してくれる。さらに再生時に、ケースバイケースで高精度の信号処理や音量調整、モバイル向けのトランスコードなども実行できる。ゆえに、システムへの負荷はそれなりに大きい。

 RoonサーバはmacOSやWindowsでも動くが、経験上Linuxで運用した方が安定性は高い。恐らく、組み込み型サーバにLinuxベースのものが多く、常時動かすサーバ向けとしての利用実績が多いためだろう。

 今回は2つのRoonサーバのコンテナに加え、それ以外のコンテナも適時動かしてみているが、1カ月ちょっとの間、これらがトラブルを起こすことはなかった。コンテナの更新も自動的に行われるので、セキュリティパッチに乗り遅れるリスクも少ない。コンテナの起動も2〜3秒で終わる。

 ホストOSとカーネルをNAS本体と共有していることもあり、理論的にはVirtual Machineほどの隔離性はない。しかし、ネットワーク構成を独立したサブネットにするか、メインのネットワークにぶら下げるのかを選べるので、許可する範囲以外にはファイル/フォルダーにもアクセスできないようにできる。

 本機で提供されているアプリ数が少ないことは確かだが、Dockerさえあればかなり自由度の高いサーバを構築できる。使い始めてみると、スマホアプリを使ったエントリーしやすさよりも、その先にある奥深さの方がより重要だ。

 もちろん、多くのライバル機でもDockerは利用できるが、基礎体力の高いハードウェアを持つNASを、この価格帯で入手できることが大きな利点と言えるだろう。筆者はこの一点こそが、本機を選ぶ理由になると思う。

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