メーカー担当者が解説! 自作PCパーツの“あるある”トラブルを避けるためにできることASK★FES 2025(4/4 ページ)

» 2025年04月21日 11時00分 公開
[石井英男ITmedia]
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据え付けのヒートシンクやファンカバーは自分で外して掃除していい?

 続いて「マザーボードのヒートシンクやグラフィックスカードのファンカバーなどは外して清掃してもいいのか?」という質問が行われた。

 ZOTACの圓井氏は「すごく答えづらい質問です。自作PCなのかBTO PCなのかでも変わりますが、自作PCならグラフィックスカードをマザーボードから取り外して、『液だれしない』というエアダスターで吹いていただくくらいがちょうどいいと思います。よく『ヒートシンクを外したい』という話も聞きますが、それは完全に保証外の行為となります。エアダスターか、手動のプシュプシュやるやつ(エアブロアー)をお勧めします」と回答した。

 ASRockの原口氏は「みんな話しにくいと思うのであえて話しますけど、エアダスターに関しては『ガス式』とか『エア式』とかいろいろあります。特にガス式だと(何らかの理由で)引火する可能性もありますので、圓井さんからもあった通りカメラのレンズなどを清掃する手動のものを含めて、ファンをしっかり押さえた上でエアブロアーで清掃するのがいいと思います」とした。

 さらに原口氏は続けて「分解に関しては各社さん一緒だと思いますが、『ネジを外してヒートシンクを外してグリスを塗り直したい』というユーザーさんもいらっしゃると思いますが、基本的に(グラフィックスカードの)サーマルペーストは耐久性に優れた5〜10年くらいは持つ仕様のものを使っているので、正直塗り直す必要はないと思います」とも語る。

グリスアップについて マザーボードのヒートシンクやグラフィックスカードのファンカバーなどを外して清掃してもいいのかという質問。当たり前かもしれないが、外すことは推奨できないという見解で一致している

パーツがそろいきってから組み立てた方がいい?

 次の質問は、「安いタイミングで個別にパーツを購入して、まとまってから組み立てるのはアリか?」というものだった。

 MSIの豊田氏は「販売店さんが困りますので、できればパーツを購入したらすぐに動作確認の意味で使ってほしいと思います。初期不良なら販売店でも対応しやすいと思います」と回答した。

 ZOTACの圓井氏は「今、特にGeForce RTX 50シリーズを中心にグラフィックスカードの値段が上がっています。グラフィックスカードを買って(資金的に)力尽きて、『クレジットカードの枠が回復するまで待ちたい』という話も聞きます。動作確認が取れるのであれば問題はないんですが、初期不良の保証期間はどうしても店舗によって異なりますし、『動作確認だけをしておいて、来月か再来月に組みましょう』というのはまだいいですが、1年越しとか『月刊でパーツをそろえていくプラモデル』的な買い方をするくらいなら、極力まとめて買うことを強くお勧めします」と答えた。

 ASRockの原口氏は「マザーボードなども、1年もたてば新しいのが出たりします。正直、『月刊でパーツをそろえていくプラモデル』的なやり方はしない方がいいと思います」とした上で「ただ、どうしてもそういう買い方をしてしまった場合、『1年越しに組み立てよう』となったタイミングで(パーツの)不具合が発覚して、保証期間がギリギリ切れているみたいなこともありがちです。そんな場合は(発売元の)代理店に相談してみて下さい。厳密にいうと、パーツの保証期間は(原則として)2年間ですが、代理店さんと私たちの間では、店舗在庫を考慮したマージン(余裕)を持っているんです。保証期限から1〜2カ月過ぎてしまい『これ有償だよなぁ……』思っている人は、代理店に相談すれば何とかなる可能性がなきにしもあらずです」と回答した。

 基本的にパーツはまとめて買うか、それが難しい場合でも買ったらすぐに動作確認を行うことは心掛けた方が良さそうだ。

パーツの購入タイミング 自作PCを組み立てる場合は、できる限りまとめて購入することがお勧め。それが難しい場合は、買ったらすぐに動作確認をすることを推奨するという

「正規販売店」の見分け方は?

 最後に「正規販売店の簡単な見分け方は?」という質問が行われた。

 MSIの豊田氏は「お客さまがセラー(販売元)の名前をしっかりと確認するのがいいと思います。(Amazon.co.jpなら)絶対的に安心なのは販売元と出荷元の両方が「Amazon.co.jp」である場合です。それ以外のセラーは、メーカー直販か所在が明確な場合を除き避けるのがいいと思います」と回答した。

 GIGABYTEの岡田氏は、「セラーさんと代理店が“正規”であれば、保証はちゃんとできます。それ以外の所から買う場合は『届いてみないと分からない』面もあります。ただ、国内向け製品なら、パッケージに保証書シールが貼ってありますから、それが一番分かりやすいです。購入する際は、シールをしっかり見ていただければと思います」と答えた。

 ZOTACの圓井氏は「大事なのは、パーツ類の売買契約は『メーカーや代理店とお客さま』ではなく『販売店とお客さま』との間で締結しているということです。販売店の保証体制として『初期不良も含めてメーカーと交渉してください(問い合わせてください)』と書いてるところは絶対にやめた方がいいです」と説明した。

 ASRockの原口氏は「セラーなら住所を調べるのが一番ですね。お店の住所で検索して一軒屋だったら結構怪しいとか」と付け加えた。

正規販売店 ECサイトでは、正規販売店以外の店舗がパーツを販売しているケースも見受けられる。それだけに、販売店の“身元”の情報は意外と大切だったりする
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