F1のデータ戦略がAIで変化、攻略の鍵は“シム”からリアルタイム分析へ レノボがグローバルパートナーになった理由:本田雅一のクロスオーバーデジタル(1/3 ページ)

» 2025年04月25日 15時00分 公開
[本田雅一,ITmedia]

 4月8日に鈴鹿サーキット(三重県鈴鹿市)で開催されたF1日本グランプリは、トップチームの一角であるレッドブル・レーシングのドライバーに日本人の角田裕毅が抜てきされた直後であること、さらに鈴鹿サーキットを所有する本田技研工業にとってもチャンピオンチームとの協業最後の年ということもあり、大きな盛り上がりを見せた。

 フォーミュラ1(F1)が世界最高峰の技術を集めたレーシングカーによるレースイベントとして、過去にも最新のコンピュータテクノロジーが応用されてきたことは多くの読者が承知しているだろう。

 しかし、ひとことで“最新のコンピュータテクノロジー”と言っても、その使われ方は変化している。

 筆者がF1に関連したテクノロジー取材をしたのは、小林可夢偉選手が表彰台に上がった2013年以来のことだが、その間にF1におけるテクノロジー活用は想像以上に変化していた。

photo

世界中のサーキットを転戦するF1の“共通リソース”

 F1の全体像を理解するために、F1が(常識的には)かなり特殊な運営形態を採用していることからお伝えしておきたい。“F1を支えるテクノロジー”を考える上で、極めて重要な部分だからだ。

 F1というレースイベントは、驚くほど幅広いリソースをシーズン中、一貫して確保した上で“全てのリソースが”世界中を移動しながら運用されている。

 VIPゲストをもてなすパドッククラブの椅子、テーブル、グラス、お皿、料理人から料理の給仕担当者などに始まり、各種セキュリティゲートのシステム、果ては関係者をサーキットに送迎するドライバーなど、本当にあらゆるリソースが世界中を巡っている。

 これはF1を支えるテクノロジー基盤にもいえることだ。F1のイベントを支える技術インフラも独自に開発され、どのサーキットでも同じものが運営されている。

photo

 タイム計測用センサーなどタイミングシステムも、サーキットに固定で埋め込まれたものではなく、F1独自のシステムが用意され、フライング検知センサーなども含めて各地に展開されている。

 例えば、走行タイムのデータにしてもサーキットのセクターを大まかに分割したタイム表示だけでなく、その細分化された“ミニセクター”のデータまで精密に計測し、即座にチームや映像メディア、モータージャーナリストなどに提供されることで、より高度な戦略分析や解説が可能になっている。

 映像配信も基本的には同じだ。コーナーの縁石やコース端のウォールに埋め込まれたカメラなど、さまざまな“特化型カメラ”がサーキット各所に設置され、F1独自ののシステムで制御、運用されている。

 この大量に集められた映像、センサーなどからのデータは、単に放映/配信されるだけでなく、チームが戦略を立案するための貴重な情報源として共有されるものだ。

 英国にあるデータセンターには、週末に開催されるレースごとに膨大なデータがストリーミングされ、即座に分析され、必要な形で各チームにフィードバックされる。そのサイクルの早さ、正確さ、安定性を支えるために、Lenovoが提供するサーバおよびPCなどが利用されているというわけだ。

photo
       1|2|3 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

アクセストップ10

2026年10月25日 更新
  1. 定格1650Wの7.5万円電源&Noctuaファン採用の異常検知アダプターが登場! (2026年10月24日)
  2. 「Galaxy Watch9」を1週間使って分かったこと Pixel Watchと比べた使い勝手は? (2026年10月23日)
  3. “置き場所に困る”大容量ポタ電の壁を打破! 冷蔵庫を3日動かすEcoFlow「DELTA Gen4」シリーズが日本上陸 (2026年10月23日)
  4. 天空が12月25日に発売する「GPD WIN Max 3」国内正規版 実機に触れてきた (2026年10月23日)
  5. FCCLが「FMV Keyboard X」の一般販売を開始 ハイスペックマウス「FMV Mouse X」も同時発売 (2026年10月22日)
  6. 約22万円の新型「Mac mini」で初めてのローカルAI体験 ストレージの価格高騰対策にピッタリかも (2026年10月20日)
  7. Anthropicが常時稼働するエージェント「Claude Duet」を発表/AMDとIntelが協業 PyTorchのx86 CPU最適化を「oneDNN」に一本化 (2026年10月25日)
  8. エイサー、Ryzen 3/5を搭載したコンパクトデスクトップPC Amazon専売モデルも用意 (2026年10月23日)
  9. 折りたたみ型から薄型まで! スマホやタブレットで“本気”の文字入力に使える持ち運び用キーボードを選ぶコツ (2026年10月23日)
  10. 「iPhone Duo」を1週間使って分かった、全部盛りではない“上質さ” 心地いい開閉ヒンジの内部を見るために“非破壊検査”してみた (2026年10月21日)
最新トピックスPR

過去記事カレンダー