HARMANの「Sound United」統合がオーディオ業界にもたらす影響 業界再編の呼び水になる可能性も本田雅一のクロスオーバーデジタル(2/4 ページ)

» 2025年05月09日 15時00分 公開
[本田雅一ITmedia]

「Sound United」が保有するブランドは

 ではHARMANが買収する「Sound United」は、どのようなブランドを保有しているのだろうか。

 Sound Unitedは元々独立した企業で、2022年に医療機器を取り扱うMasimoによって買収された。

 日本のオーディオファンからすると、Sound Unitedは「ディーアンドエムホールディングス」を買収した会社と言えば通りがいいかもしれない。ディーアンドエム(D&M)は、「デノン」と「Marantz」の頭文字で、その名の通りデノンと日本マランツの経営統合によって2002年に生まれた会社だ。

 デノンは1910年創業で、ミドル/ミドルハイクラスのプリメインアンプなど、コンポーネント形式の伝統的なオーディオ製品が広く知られている一方で、さまざまなジャンルの製品を手掛けてきた。世界的に市場は縮んでいるものの、特にAVレシーバー市場ではヤマハと共に大きな世界シェアを持つ。

 Marantzは1950年代に米国で生まれた高級オーディオブランドだ。しかし1970年代半ばから、機器設計を始めとする事業の軸足が日本(日本マランツ)に移り、世界に普及した。

 先述の経営統合により、デノンとMarantzは長らく同じ企業(資本)のもと展開しているが、音作りや製品作りの独立性は高く、両ブランドは共通する市場で異なるユーザー層を抱えている

アンプ Marantz/デノンブランドのオーディオ機器は、デノンと日本マランツの経営統合によって誕生したディーアンドエムホールディングスが手掛けている。現在、ディーアンドエムホールディングスはSound Untitedを通してMasimoの子会社となっている

 Sound Unitedが保有するブランド(メーカー)の中で、最も特別なものが高級スピーカーメーカー「Bowers & Wilkins(B&W)」だ。1966年の創業以来、ハイエンドオーディオ市場の頂点に君臨してきた。

 さらに、Sound Unitedは北米市場に強い「Polk Audio」、高品質なホームシアタースピーカーで知られる「Definitive Technology」、超高級アンプブランド「Classe」なども傘下に収めている。

Sound United Sound Unitedが保有するブランド(メーカー)

 そして、今回HARMANがSound Unitedを買収する上で大きな意味を持ちそうなのが、マルチルーム音楽ストリーミングのプラットフォーム「HEOS」だ。HEOSはSound United傘下の製品で共通して採用されており、宅内全体、あるいは店舗全体をカバーするオーディオシステムを簡単に構築できることが特徴だ。ある意味で、Sonosの強力なライバルである。

 つまり、HARMANにとってSound Unitedの買収は「老舗・名門ブランド」を手に入れると共に、各ブランドが持つ独自の「音作り」や「音響技術」、音作りを出発点とした「顧客基盤」、それに「オーディオ機器のネットワーク化技術」の基盤と、幅広いものを手に入れられる。

 得られる有形/無形の資産価値を考えると、3億5000万ドル(約510億6000万円)という買収額は決して高くはない。

HEOS Sound United傘下の製品で共通して採用されているプラットフォーム「HEOS」は、Sonosの強力なライバルとして認識されている

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

アクセストップ10

2026年07月28日 更新
  1. 鳴り物入りで登場した「Copilotキー」が早くもお蔵入りか──チャットボットからAIエージェントへの移行が示すMicrosoftの誤算 (2026年07月27日)
  2. 64GBメモリ/2TBストレージ/Ryzen AI Max+ 395搭載のハイエンドミニPC「MINISFORUM MS-S1 MAX」がタイムセールで27%オフの43万2799円に (2026年07月25日)
  3. なぜ元Appleエンジニアは熱意を失い起業したのか? スマートグラス「Even G2」イベントで語られた、次世代機「G3」へのロードマップ (2026年07月27日)
  4. 480mm水冷に160mmファン搭載ケース! 夏のアキバは「大風量パーツ」がアツい (2026年07月27日)
  5. エアコンがない部屋を冷やせる「Dreemstar 冷風扇」がセールで50%オフの9980円に (2026年07月23日)
  6. 高価なグラフィックスカードを守る「過熱保護ケーブル」に注目! 夏を乗り切るNoctua製簡易水冷も販路拡大で続々入荷 (2026年07月25日)
  7. ポタ電と組み合わせて使える「Soraiori ポータブルエアコン」がセールで16%オフの2万9980円に (2026年07月27日)
  8. NVIDIAが次世代AI超解像技術「DLSS 5」の今秋投入を明らかに/MicrosoftとMistralが欧州におけるAI演算能力の拡大で戦略的提携を発表 (2026年07月26日)
  9. プラネックス、10GbE接続に対応した5ポート搭載アンマネージドスイッチ (2026年07月24日)
  10. Jackery、定格1500Wを実現するポータブル電源「1000 New」の新モデル 19%小型化 (2026年07月27日)
最新トピックスPR

過去記事カレンダー