檜山社長は具体的なAI活用のシーンも提案した。
1日のスケジュールを元に、仕事を開始する2時間前にAIがアラームで起こし、朝食の時間に就寝中に届いていたメールの件数や内容を報告。その中から最も重要だと思われる上司からのメールについては、内容を基づいて必要な資料をAIが用意する。
返信のドラフトをAIが書くことまで自動化で行う。AIが書いたメールは、これまでの履歴などをベースに、ユーザーの書き方を踏襲しており、本人が書いたような内容になっている。
出社すると、午前中のスケジュールがいっぱいであることをAIが検知し、午後の訪問先のアニュアルレポートの要約版をAIが事前に作り、仕事の効率化に貢献する。
檜山社長は「これは、技術的には既に可能な世界である。だが、仕事と個人のデータをシームレスに結びつけることは、これからの課題となる。また、個人の生活の中にAIが入ってくることを嫌う人もいる。こうした状況を捉えながら、AIの利活用の提案を進めていくことになる」として、技術先行ではなく、ユーザーニーズの高まりや社会寛容度の変化などを捉えながら提案していくことが重要であることを強調した。
Enterprise AI領域での活用としては、レノボ自らが生産/開発/営業/サービス/サプライチェーンにおいてAIを導入している事例が紹介された。セールス/マーケティング部門では、コンテンツ作成時の効率が90%向上したり、サプライチェーンにおける判断を60%高速化したり、「Microsoft 365 Copilot」の活用によって、週1.9時間の空き時間を生み出し、顧客対応の時間に活用したりといった効果が出ているという。
NECPCとレノボ・ジャパンのPC修理業務を担うNECPCの群馬事業場(群馬県太田市)では、故障部位の特定作業にAI診断を活用しているという。これにより、新人エンジニアの修理対応台数が5倍になったという。「熟練エンジニアが特定していた故障部位を、新人エンジニアでも把握できるようになった。これまでの修理データをAIに読み込ませて実現したもので、日々精度が高まっている。現在、1回目の診断で故障が特定できる確率は85〜90%にまで達している」という。
「ここで活用しているアルゴリズムは、クリニック(病院や診療所)の診断でも応用できる。サービスセンターで生まれた技術が、別の産業でも利用できると考えている」とも語った。
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